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第4節9部—守護者、強奪完了—

 間違いなく、この機体は……奪われたステイシスはセントラルゲートを越える。

 ここまでうまく事を運んできて、詰めが甘いなどということはないだろう。

 セントラルストリートをぶち抜き、海上へ出た企業連正規軍の高性能二脚機構は、まっすぐ滑空しセントラルゲートの大穴へ。


 しかし大穴には多数のドミネーターが行く手を塞いでいる、はずだったのだが。

 その機体が接近したと同時に、道を開けたのだ。まるで蜘蛛の子を散らすかのごとく。

 ステイシスが二脚機構と共にセントラルゲートを越え、しばらくしてその機体の背面推進機関が停止した。前面、側面の推進機関で機体の姿勢を制御しつつ、そのまま海面へ落下。


 大質量が落ちたために起きた水柱と、熱された推進機関により蒸発し、霧状になった海水がもうもうと立ち上り、二脚機甲と金属球は海中へ没していく。


 機体の落ちていく先、海の底で待っていたのは巨大な潜水艦。全てはこの潜水艦に乗る何者かが、ステイシスを手に入れるためにおこなったことだ。

 そして今、その目的のものがようやくその潜水艦、オルターズバイスへと渡る。


「あはっ、案外うまくいったわねー」

「こっちの手練れを一部なくすことになっちまったがしゃーねーな」


 潜水艦、その格納庫へ乱暴に収容された二脚機甲と金属球は、装甲や球の表面に海水を滴らせている。つい先ほど、着底したその二つを回収し終えたところらしい。


「さて、とりあえず物の確認しなきゃじゃん。あの檻を開けてお姫様の姿を見せてくれや」

「素手で触れちゃダメよー? 真っ黒な石になりたくなかったらね」


 潜水艦を操る乗組員の男女二人がそう言うと、ステイシスを金属球から取り出す役目を持つ、特殊な防護服を着用した5人の乗組員が作業に取り掛かった。


 いくつもの工具を使い、金属球の扉を開かせた。その金属球の中に入っていたのは……、赤く光るクリスタルの中で眠りについている、褐色の肌と純白の髪を持つ少女だった。


「これがステイシスかよ。情報どおりの外見だけどよ、こんな奴が箱舟の守護者と言うには頼りなくねぇ?」

「あらー。かーわいい女の子ねぇ」


 金属球から出した時点で、ステイシスを覆っていた赤いクリスタルは上部から消えていき、取り出された彼女は防護服を着た男たちによって担架に乗せられた。


「拘束位は外すんじゃねーぞ? 起きちまうとどうなるかわかんねーからな」


 随分と露出の多い拘束位だが、素材はしっかりしている。暴れ出せば危険なステイシスの動きを封じる最後の砦なのだろう。

 

「それにしてもいい体してやがんじゃん。外見年齢14から16歳だったかぁ? 随分と発育がいいもんだぜ。方舟の守護者なんかにしておくにゃもったいねーな」


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