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第4節3部—ステイシスを奪還せよ—

「ハッ、しぶといヤツだったな」

「あそこまで損傷した状態で再起する個体を見たのは初めてだ……」

「俺も……だが、ああオイ、ゆっくりしてる暇はなさそうだ」


 後方から聞こえてきた推進音。金属球を保持した二脚機甲が迫ってきている。

 その強奪者を追う機影は見えない。都市に侵入したドミネーターの制圧に手を回しているため、対処が遅れているのだろう。


「あんなオモチャに頼り切ってっからこうなんだ。ま、いっちょ腕でもすっ飛ばして……あ?」

「どうしたんだ?」


 RBが、大剣を振りかざしトリガーを引いたのだが推進機関が動かなかったのだ。


「うげぇ……燃料切れ起こしてやがる! シドー、追えるか?」

「問題なく」

「なら任せるぜ。俺はこいつに燃料を装填した後、雑魚掃除に向かうからよ」


 RBは隣でアンカーガンを構える雛樹を横目で確認し、苦笑いを浮かべた。


「さっきのトドメ、見事だったぜ。ちゃんと名前聞いとこうか、シドー」


 その場を去ろうとしたRBだったが、足を止めて改めて名を聞こうとした。雛樹はその男の背に視線を移し……。


「夜刀神民間軍事会社所属、祠堂雛樹」

「はん、お前みたいなやつが弱小PMC所属たァ……社長は幸せもんだぜ」

「おたくは?」

「俺か? 俺は……そうだな。現GNC所属……だが、元ワシントンシティ特殊防衛部隊“デッドシールズ”所属兵だ。国は違えどお前と同じ本土出身者で対ドミネーター部隊に所属してた。ま、仲良くしようぜ、シドー」

「ワシントン……」


 アメリカ、ワシントン。かつて存在した都市の名だ。アメリカ大陸も、ドミネーターの出現により大打撃を受けたと聞いてはいたが……。


「じゃあな、頼んだぜ、シドー」

「なんとかしてみる」


自分たちの横を凄まじい速さで過ぎ去っていった二脚機甲。過ぎ去りざまに、その機体の背中へアンカーを打ち込んだ雛樹はその場から消えた。


「おい、これでいいのか、総一郎さんよ」

《ああ、よくやったRB君。ステイシスは彼に任せることにした》


 奪還対象がどんどん離れていくことに苛立ちを覚えながら、RBは通信機から聞こえてくる声に舌打ちした。


「あいつが失敗して、奪われた時はどうすんだ?」

《それはそれでいい。今は眠らせてあるが、起きて異変に気づいた時、心身共に安定を失った彼女ステイシスがどうなるかは予想がついているからね。しかし、ドミネーターを打ち込んでくるのは予想外だった。対処させてしまってすまない》

「ああ、あの見たことねェ奴か。まぁそりゃいいんだ、高部総一郎。俺ァあんたがどうも胡散臭くてかなわねェのさ。せめてお姫さんをシドーに任せた意味を教えやがれ」

《君が私直属の部下ならば教えてやれただろうが、そうではな》


 苛立ちを隠せなくなったRBは、相手が言葉途中だというのに通信を強引に切り、舌打ちした。


「クソッタレが……。まあ、あの野郎の機嫌を損ねるとこいつの燃料を回してもらえなくなるからな……」


 そう言って肩に担いだ大剣の刃に目を向けた……。


 ……——。


「あああああああ!! 熱い!!!」


 ステイシスを奪った二脚機甲に取り付いた雛樹だったが……ブースター近くに位置してしまったらしくとんでもない熱がその身を襲っていた。


《あなた、一体何をやっているの!?》

「今、球体を奪った機体に取り付いてる!! これ警備任務だよな。もうこれやってること警備じゃないんだけど」

《突然冷静にならないで……。さっきまで回線が混線してて繋がらなかったの。オペレートできなくてごめんなさい》

「謝るのは後にしてくれ! それよりこのロボットを止めたいんっ……うわ!! だ! どうすればいい!」


 アンカーが外れ、足を滑らせて落ちそうになったがかろうじて持ちこたえた雛樹は、すぐさま助言を求めた。


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