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第4節2部—乱舞する二本の刃—

 つながりかけているドミネーターの頭上に、束なり球状となったグレアノイドが現れ……まるで爆ぜたかのように脈動すると、全方位へ攻撃を放った。

 無数の赤き槍は壁に、そして地面にぶつかったのちに角度を変え、雛樹とRBを襲う。

 

「んだこの数ァ!! 捌き切れるかクソ!!」


 致命の一撃だけを打ち落とし、被害を最低限にしようと防御行動を取ろうとするRBに対し、雛樹は膝をつき金属質の地面へ右手を下ろし、手のひらをピタリとつけた。

 そして右目を見開き、“その攻撃全てを視界に入れる”。


 右目の瞳は赤い残光を漂わせ、顔の右半分に電子回路のような赤いラインが浮き出てきた。

 今、彼の右目に見えているのは暗転した世界。その中で、はっきりと赤く光り迫り来る攻撃だけがはっきりと見えていた。


(グレアノイド高速変換、粒子精製……収束物質化……)

 

雛樹の行動が気になったRBではあったが、もう声をかける時間もない。


「敵性補足……!!」


 雛樹の足元、半径3メートルほどが黒い鉱石へ姿を変えたかと思えば、その全てが赤く輝く粒子に変わり、それが無数の刃となった。

 無数の赤い槍の先一つ一つを、地面から生成された赤き刃が迎え撃つ。


「……!?」


 RBが目の前で起こったことを理解しきれず、ただただ息を飲む。ドミネーター攻撃は一つとしてこちらに届いてはいない。だが、その攻撃の全てはその場に残っており、己の周囲は赤い檻のようになってしまっていた。


 ドミネーターからの攻撃を、自分が展開したグレアノイドの刃で威力を相殺させ静止させた。

 粒子化した足元の地面は大きく抉れ、かろうじて雛樹の足場が残っている状態である。

 

(グレアノイド再収束)


 檻のように周囲に張り巡らされたグレアノイドの刃と槍。その全てがぐにゃりと歪み、渦を巻いて雛樹の右腕に集まってきた。


 右腕の大部分を覆うように、グレアノイド粒子が収束、圧縮。

 その結果、雛樹の右腕に現れたのは赤く輝く巨大な刃。


 周囲に存在していた粒子を全て右腕に集め形作ったその刃の切っ先を地面に向けて構えた。それと同時にRBも同じく大剣の切っ先を、急接近してきたドミネーターへ向けた。


「合わせな、シドー!!」

「合わせてやる!! 好きにやれ!」


 肉薄し、身体中から赤い触腕のようなものをひねり出し、それを鞭のようにしならせ切り裂かんとしてくる。それに重ねるように繰り出される、巨大かつ異常な力を持って振るわれる二本の腕による嵐のようなラッシュ。


 その怒涛の破壊行動を、RBと雛樹は紙一重のところで回避しながら……。


「13時方向前だ!!」

「了解!!」


 RBの指示した方角へ雛樹は滑り込み、触腕による突き刺しを回避しつつ胴体を腕の刃で斬りつける。

 まるで人の柔肌でも斬ったかのようにあっさりと胴体を中程まで断つ。

 しかし、ドミネーターに痛覚はない。怯むことなく目の前のRBをその腕で叩き潰そうとするが……。


「狙いがブレッブレだぜ大将!!」


 怯むことはないが、斬り付けられたことにより体勢を崩していたドミネーターの腕はRBの大剣により無残にも斬り飛ばされた。

 宙を舞い、重々しい音を立てて転がったその腕は、赤い粒子となって消えていく。


「終わりだ、人型……!!」


 背後に回った雛樹が腕の刃を振りかぶった。


 だが、その怪物はまるでサイレンのような鳴き声をあげながら残った腕と触腕を振り回す。

 だが片腕を失っていることにより、弱々しく向かってきた腕を足場にし、跳躍しながら触腕を斬り伏せ、脳天から刃を深く突き刺していく。


 そして、突き刺した刃を枝分かれさせ、内部から滅多刺しにし、ドミネーターの体内を突き破った刃が胴や頭部から露出する。

 生々しい眼も、体内から突き出た雛樹の刃によって全て潰されていた。


 痙攣しだしたドミネーターの体は、頭部からグレアノイド粒子となって消えていく。

 同時に雛樹の腕を覆っていた刃も消え去り……。



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