表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
305/307

ある歩兵の助力



乾いた衣服に身を包ませたガーネットはとりあえず大丈夫だろう。

続いて雛樹も着衣するが、ガーネットの体を拭ったために濡れてしまっている。

この極寒の中、下手に濡れた服を着ると凍傷が進む恐れがあるが、それでも風を凌げるだけマシというものだ。


……。


『ちぃ……まだあのデトネーターレベルには程遠い機体だな』


 海上都市特殊編成部隊内、黒き機体を堕としたメガロマニアは撤退のため微速ながら上昇していた。

 気を失っているメガロマニア適合パイロットを一瞥しながらマスクで顔を覆った男は悪態をつく。


『さっさと俺にも適応したグレアノイドコアウィンバックを……あ?』


 突如としてコクピット内に響き渡った警告音。

 なんらかがこちらに接近してきているが……接近してきている物体が小さく視認できない。

 時折確認できるのは赤い噴射炎の光のみ。

 ロックされた形跡もないがミサイルか何かがこちらへ向かってきているのかと思い、フレアを放出する。

 赤外線追尾のミサイルであればこの欺瞞工作で逸れるはずだ。


 だが……向かってきているそれの軌道が一切逸れない。

 それどころかこちらへ向かって軌道を修正しながら向かってきている。

 

『なんだありゃ……人か!?』


 直後、大きく瞬く炎とともに機体が大きく揺れた。

 機体損傷を知らせるけたたましいピープ音。

 

 右腕部が、落とされた。


 何かがぶつかったのか、いや、インパクトの際聞こえた音から斬り落とされたのか。

 白煙を上げて落下していく腕を回収すべきか。

 いや、この衝撃の理由がわからない以上下手に高度を下げるのはまずい。


「ッハ、腕一本もらってくぜ、Mr.アンノウン」


 落ちてゆく腕とともに、閃光の如く現れた彼は地上へ落ちてゆく。


『クソが……!! なんであの化け物がここにいんだ……』


……。


 身の丈以上の大剣から出力される推進剤を駆使し、空中での体勢を整えながら砕かれた湖面に降りる。

 落下の衝撃を殺すために湖面を滑り、氷を足や剣先で削りながら速度を落としていく。


「よォ、顔色悪ィじゃねェか。シドー」


「随分久々に会った気がするよ、RB軍曹」


「重要拠点周りの索敵哨戒も飽きてきたとこだ。こっちが随分賑やかになってるってンで様子見にきたってわけよ。まだ保つか? その姫さん担いで戻ろうぜ、随分冷えるしな」


「あぁ……いい気付けになった。まだその辺りにドミネーターの残党がいるかもしれない」


「その辺りは任せてくれていいぜ。報告じゃベータ級しかいねェって話だしな」


 RB軍曹はおもむろに取り出した通信端末で先ほど切り落とした未確認機体の右腕の回収を指示している。

 雛樹はガーネットを担ぎ、歩を進めた。


「敵は?」


「ドミネーター連中を神として崇拝するカルト集団。あの黒い機体は……」


「あァ、あれについては調べさせる。右腕ぶった斬ってきてやったからな」


「ぶった斬……嘘だろ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こういう時の軍曹のサポートが心強い
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ