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粒子拡散


 

 なんの反応もなかったはずの空から突如として叩きつけられたその強大なエネルギーはライアン率いる部隊に無視できないダメージを与えることになる。


 シエラ3、高崎機右肩部大破索敵レーダー使用不能、フォトンノイド粒子レイルライフル破損。

 シエラ2アーリヤ機、レイルライフル破損、各駆動関節部に一時的な障害発生、左半身の各部装甲損傷。

 ライアン機、背部大口径粒子砲破損、レーダー使用不能、右腕部全損。


「クソ……なんなんだ今のは」


 ライアンは全損した右腕部を切り離しながら空を確認したが……何も見えない。

 レーダー類が使用不可なため有効な索敵方法がない。


 だがHUDに表示された先ほどの攻撃のエネルギー量は通常の二脚機甲がストックできる粒子量をはるかに超えていた。

 しかもフォトンノイドではなく、グレアノイド粒子を使用した……そう、かの最高戦力ステイシス機と同じ物質の光線だった。

 しかし、HUDに表示されているエネルギー量から鑑みるに自分たちの受けたダメージが比例していない。


 まともに受けてしまえば機体ごと押し潰されていたはずだ。

 なぜこの程度の損傷で済んだのか……。


《こちら北方防衛機甲部隊所属、ユーリ。先ほどの粒子砲はこちらの音波波動砲を当てて軽減させたが相殺はできなかった。損傷状態はどう?》


「こちらセンチュリオンテクノロジー所属ライアン。本当に助かった、各部損傷はあるもののまだ動ける。それより彼は……シドウ君は」


《彼は姉……結月少尉のバックアップを受けてすでに体勢を立て直し、先ほどの粒子砲の出処を探している》


 ……。


 機体強度の問題で先ほどの粒子砲による攻撃で一番危なかったのはベリオノイズだった。

 そのため静流はベリオノイズに対して最大限の防護を行い、グレアノイド粒子砲より機体を守った。


 だが静流が搭乗している機体は彼女の専用機、ブルーグラディウスではない。

 ロシア軍が所有する4脚機甲兵器の予備機であるガンドッグファクトリー製フェンリル。

 彼女の妹、ユーリが駆るものと同じ機体である。

 ブルーグラディウスでの出撃許可がどうしても降りず、緊急手段としてロシア軍の機体を借りて出撃したのだ。


 普段二脚の機甲兵器しか乗らない彼女だが機甲兵器の訓練にて複脚機の乗り方は把握していたため、機体の癖さえわかってしまえば自分の手足のように駆動させることが可能だった。


「ヒナキ、機体に深い損傷は見られませんが貴方自身は大丈夫なのですか!?」


《ああうん、大丈夫大丈夫》


「ちょっ……適当な返事をしないでください! 相当な深手を負ったとガーネットから聞きましたよ!」


《傷の事よりさっきの攻撃の事だ。助かったよ、ターシャ》


「ギリギリ粒子砲の収束を解けたからよかったものの、まともにもらっていたら確実にスクラップにされてましたよ」


 グレアノイド粒子を収束圧縮させ撃ち出す砲撃に対し、その粒子収束を解く攻撃を当てて一部を相殺させたのだ。

 静流の機体の音による波動砲は直接粒子砲へ、ユーリの波動砲は積もった雪へ当てた。

 光学兵器である粒子砲の弱点は反射、拡散。

 その射出軌道上に光子、粒子を拡散し霧散させるような物があるとその威力は大幅に落ちる。


 そのため雪を大きく巻き上げた上で波動砲をあてて威力を減衰させることに成功した。


「流石は方舟の最高戦力というべきですか……彼女の指示がなければあの規模の粒子砲は一部でも防げませんでした」


《ガーネットもいるのか?》


「いえ、彼女は基地にいますが……あ、今かわりますね」


 と、静流が言った後何かがマイクに当てられるようなことりという音がし……。


《しどぉ、聞こえるぅ?》


「聞こえるぞ。そっちは大丈夫か?」


《寄生体がまだいくらかいるから安全とまではいかないけどぉまあ大丈夫ぅ。それよりそっちでしょお?》


 スピーカーからは随分と強い風の音が聞こえる。

 ガーネットは今外、それも基地で一番高い管制塔の屋上にいるらしい。



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