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馬鹿げた戦闘方法


 後方より放たれた青い砲撃が左右に着弾し、衝撃を放つ。

 ワイヤーにより足止めされた人型ドミネーターはその砲弾により1体、2体と削られていく。


 ……が、その足止めにも限界がある。

 複数のドミネーターのトルクにより、ワイヤーを固定している樹木ごと引き抜かれて拘束が解かれていく。

 限界を察した雛樹は機体をその場にとどめるために打ち込んでいた脚部のアンカーを引き抜く。


《祠堂君!! そろそろ限界だろう!》


「流石、察しがいいな! 助かる」


 後方で指示を出していたライアンが自ら前線まで出てきてベリオノイズの元へ来ていた。

 雛樹が行っていたワイヤーによる足止めが、レーダー上のドミネーターの動きから限界だと察した彼がベリオノイズをカバーしに来たのだ。


 ベリオノイズが最大まで伸ばしたワイヤーを巻き取り切る十数秒の間、敵性を察知し向かってきたドミネーターを迎撃しベリオノイズを守る。


 他の兵士に自ら息を合わせに行くライアンだからこそ行える行動だ。

 雛樹は二脚機甲乗りとして彼を見習わなくてはと思いながらワイヤーの収納、ハーケンの再装填を完了させた。


 ベリオノイズは高周波アックスを右手に装備、左手に借り物のライフルを装備する。

 

《あと13体だ! 私と祠堂で前衛につく、お前たちは防衛ラインを死守しろ》


《サー》

《了解!》


 アルデバラン、ライアン機は間合い500m以内の近接戦闘に備えてフォトンノイド砲の銃身を小口径で切り詰めたものに自動換装させ右腕に装備し、左腕部にフォトンノイドを圧縮し出力したエネルギーブレードの展開を確認した。

 

 レーダーに表示されたドミネーターを表す赤い点が3つほどベリオノイズに接近してきた。

 接近を知らせるアラートが鳴る共に雛樹は後方スラスターの出力を上げ……。


 凄まじいほどのゼロ加速。

 ドミネーターの感知速度を超える速さ、かつ樹木をブラインドとして利用しつつ向かってきたドミネーターのすぐ背面に移動し、高周波アックスを振りかぶった。


 そのアックスの分厚い刃はいともたやすく人型ドミネーターの背面をバッサリと裂く。

 しかし、そのすぐ至近距離にいたドミネーターはベリオノイズの動きに反応し突進してきた。

 アックスを振り下ろしたままの姿勢のベリオノイズは姿勢をそのままにもう片方の腕のみを稼働させ、カービンライフルの引き金を引く。


 超硬質大口径のタングスタン合金弾頭はガードの姿勢をとって向かってきたドミネータの腕を削り切り、その両腕を吹き飛ばした。

 胴体のみになったドミネーターはそれでも突進をやめず、ベリオノイズに突っ込んだが、突っ込むだけの攻撃など問題ではない。


 ベリオノイズは右脚部でそのドミネーターを蹴り飛ばし、よろよろと後方へ退かせた。

 その上でハーケンを射出。

 後方へ退いていたドミネーターの胴体に刺さったハーケンはその体をビタリと固定させた。


 ワイヤーを巻き取りながらスラスターによる突進を行いゼロ距離まで間合いを詰めると、右腕部のパイルバンカーを押し当て、撃ち込んだ。

 核を破壊されたドミネーターはそのまま崩れ落ち……。


 最後に100mほど離れていたドミネーターに対し高周波アックスを投擲し、一撃にて止めを刺した。


「3体程度ならあっという間か。聞いていた話より凄まじい戦闘センスだな、夜刀神PMCの祠堂雛樹は。何故そんな名の通ってない民間軍事会社に籍を置いているのか……うーん、不思議だ。うちに来てくれないものか」


 雛樹の戦闘方法から狂戦士めいたものを感じたライアンは感嘆の息を漏らす。

 並の二脚機甲乗りはあんな馬鹿げた戦闘の仕方はしない。

 それはまるで鬼が金棒を持って暴れる姿そのものだった。


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