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動き出す狂信者

「うわあ……すっごい乱暴なやり方ぁ」


 ベリオノイズの高出力スラスターによる排撃。

 凄まじい重量を持つ二脚機甲を動かす推進機関の熱と衝撃で寄生型ドミネーターの細胞を一つ残らず焼き吹き飛ばす。

 床から火花を散らせながら進むベリオノイズの踵、そのスラスター部から噴出されるそれは緩慢な動きしか行わない寄生型にとって天敵とも言えるものだった。


 先ほどまで立っていた寄生型は全て灰と化し散り、一仕事終えたベリオノイズはスラスターの稼働テストでも終えたかのような気軽さで停止。


「しどぉ、それあたしに当たりそうになったんだけどぉ」


《悪い、前面部のスラスターの出力が思ったより上がっててコントロールが……》


 雛樹は外部スピーカーを通してガーネットと会話する。

 取り替えたスラスター部分の出力が想定以上に上がっていたため動きが予想以上に大きくなったようだ。

 近くにいたガーネットを巻き込まないように脚部を滑らせるようにスラスターを最大出力で稼働させるつもりが勢い余って掠めてしまった。


「くふふ、面倒な奴まとめてやれたしぃ別にぃ……」


 流石にもう眠たいのかガーネットは大きな欠伸をひとつ。

 

「しどぉここは片付いたけどぉ、どうするのぉ? このサイレン聞く限りまだ侵入者いるわよぉ?」


 基地内に緊急時のサイレンがまだ鳴り響いている。

 おそらく先ほど雛樹らが倒したのは先遣隊だろう。


《本隊はおそらくまだ外に展開してるはずだ。ターシャのとこの3機がいるとはいえ、寄生型の事もあるし俺もベリオノイズで出る》


「あたしも出るぅ?」


《ペイブロウはどれくらい稼働できるんだ?》


「瓦礫退けるので結構パワー使ったから全力の戦闘で30分程度ぉ」


《短いな……。基地内に入り込んだ奴らの相手を頼めるか? うちの社長の事も心配だしな》


「かしこまりぃ。じゃあはづはづ守ってくるぅ」


 口調こそ軽いもののなんとも頼もしい一言である。

 ガーネットの戦力があれば葉月は問題なくガードできるはずだ。


 雛樹は外に向かうため格納庫の扉の方へベリオノイズを前進させた。


「しどぉ!」


《どうした?》


「あんまり無茶しちゃだめよぉ? ここでの戦闘は任務外なんだからぁ」


《わかってる。まああれだ、ここの軍に形だけでも貢献しておこうかと》


「支払額まけてもらうつもりぃ?」


《そんなとこだ》


「抜け目なぁい」


 会話を終えてベリオノイズは背面スラスターを起動させ、勢いよく格納庫から出撃する。

 ここからはベリオノイズ単騎で動くよりセンチュリオンテクノロジーの3機と合流し、連携をとるのが最善だろう。


……。


「先行部隊からの連絡が途切れたと」


《はい。我らの神の元に召されたと報告が》


「脆い……脆すぎる。やはり急造品ではこの程度ね」


《どうしますか、我らが使徒様》


「私が出ます。あなた方も準備なさい」


《使徒様のおっしゃる通りに……》


 防衛基地郊外に息を潜めるように待機する所属不明、数機の黒く強大な二脚兵器。

 暗いコクピットの中で使徒様と呼ばれた女性パイロットはその両の瞳に赤い光を燻らせた。

 

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