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寄生体発生

 この土地にのみ出るものとは思えない。

 ガーネットですらこのタイプを見たことがないというのは不自然だ。

 こういった見たことがないタイプのドミネーターを見る……というのは前にもあった。


 そう、セントラルストリートパレードの際に打ち込まれてきた人型のドミネーター。


(あれは確か……本土の研究機関が改良させた個体だったはず……)


「ガーネット、そいつらが人工的に作られた個体だという可能性は?」


「ありえるぅ。寄生さえさせなかったら接触面からのグレアノイド侵食くらいしか実害ないしぃ」


 ガーネットは手のひらで転がしていたスライム状のそれに対し、「どこからきたのかしらぁ、ねぇー?」などと微笑ましくも無駄な問いかけをしていた。


 人の亡骸に寄生し活動を始めるドミネーター……自然発生的に現れたのもではなく、必然的に敵兵士に取り付いたとすれば。


 そもそも、その兵士自身がそのスライム状のドミネーターをなんらかの形で保持していた可能性が……有る。

 ドミネーターを神と崇める教団の言う、神に仇なす者……とはおそらくΔタイプドミネーターを撃滅しようとしている方舟の人間、及びこのロシア軍のことだろうが……。



「しどぉの予想大当たりかもぉ?」


「こいつらの大半か……」


 周囲に微弱なドミネーター反応。

 一度殺害したはずの兵士たちがゾンビとして蘇生した可能ようにゆらゆらと立ち上がっていく。

 ガーネットはスライム状のそれをポケットの中に突っ込むと周囲を囲みつつある寄生型ドミネーターに対し攻撃を仕掛けた。


 グレアノイド物質光で伸ばした爪での斬撃、それを瞬きする間に8連。

 およそ半数を巻きこんだその強烈な攻撃をまともに喰らい、全身細切れになった寄生兵士の肉片は床に散らばってなお蠢いている。


「これで死んでないのか!?」


「寄生された細胞部分を全部破壊しないと再生するぅ」


「核は!?」


「見当たんなかったぁ」


 ガーネットが先ほどの寄生体を倒した時は、寄生された細胞部分を全て切り離した上でさらに粉みじんになるまで刻んでようやく……といったところだったらしい。


「でもぉ、一体一体の能力はそれほど強くもないから落ち着いてぇ」


「わかった。とりあえずこいつらを残らず叩くぞ、ガーネット」


「かしこまりぃ」


 ドミネーターを神と崇める彼らは己がその神と成ることになんのためらいもないのだろう。

 死して人の身を捨て怪物になることが本望とも取れるその光景に、雛樹はひどい嫌悪感を覚えていた。

 

「しどぉは右のおねがぁい、わたし正面のぉ」


「正面のほうが多いぞ!」


「だいじょぶぅ」


 右方に展開していた寄生体の方が少ない。

 これはおそらく、寄生する対象が寄生しても動かせないほど損傷していたからだろうか。

 手榴弾の直撃でバラバラになった亡骸は寄生されておらずそのままだ。


 ガーネットを尻目にまだ人の形を残す目の前の3体に向かってライフル弾を打ち込んだ。

 人間の体部分にライフル弾は大穴を開け、血液が飛び散るがすぐさま寄生個体の細胞が傷を埋める。

 そしてその埋まったところから急速にグレアノイド変異が始まりスライム状の人型に近づいていく。




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