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大事な仲間



 他の誰かではなく自分が少しでもΔタイプに接近し決定打を与えなければならない。

 他の誰よりも多く報奨金を得られなければ夜刀神PMCの存続が危うくなる。


 見た目では飄々としているが責任と焦りを抱えているようにガーネットは雛樹に対して感じていた。


「なりふりかまってる場合じゃないことはわかるんだけどな」


「んーん、あたしも頑張るぅ」


「やる気だな、まあでもその方が助かる。じゃあそのためにさっさとベリオノイズ直さないとな……」


 ガーネットと雛樹は近場にいたロシア人エンジニアの元へと走り、消耗品など足りないパーツの都合をつけてもらえないか相談することになった。

 何人かには首を横に振られたり無視されたりしたものの……。


『全ては無理だが問題ない。金はあるか?』


『ん、現金ー?』


『いいや、現金でなくても大丈夫だ。電子マネーか?』


『そぉ』


『じゃあこの端末に君の端末をかざしてくれ』


 老齢のまさにベテランと言うべきエンジニアがようやくまともに取り合ってくれた。

 多少割高ではあるが汎用性のある細かいパーツばかりだったので日本円にして30万円ほどで揃えることができた。

 ロシア語での会話だったため詳しいことは雛樹にはわからなかったがガーネットが大金を支払ったことはわかったため……。


「お前それ後で経費として申請しないと……」


「大丈夫ぅ。お金の使い道よくわからないしぃ、こうやって必要な時に払えるならこれでいいでしょお?」


 一応責任は重く受け止めているガーネットに対して雛樹はこれ以上何か言うことはなかった。

 自分で金を支払い事務所に負担をかけないことである程度ガーネットの罪悪感を拭えるのならその方がいいと考えたからだ。


 と、雛樹はその老齢のエンジニアから話しかけられた。

 ロシアの言葉であったため内容はわからないのだが……。


「なんて言ってた?」


「可愛らしいエンジニアを連れて羨ましい限り、大事にするんだぞだってぇ」


「ん、そうだな。確かに可愛らしいエンジニアではある、周りのおっさんに比べたら」


「そぉ? かわいらしいってのがどんな事かよくわからないけどぉ。しどぉは大事にしてくれてるぅ」


「頼れる相棒だからな。大事にするさ……ほら、部品が届くまでしばらく休憩するぞ。飯もらってきたから食べな」


 そう言った雛樹からガーネットが渡されたものは携帯糧食だった。

 必要最低限のカロリーと栄養素を含むモロモロとしたクッキーバーである。


 それをかじったガーネットは顔をしかめて……。


「うぅ……これおいしくなぁい」


「このクソ寒い中でもまともに食える数少ない食べ物だぞ。スープなんて持ってこようもんなら凍るし……」


「ハンバーガーとかクレープとか……しどぉの作ったの食べたぁい」

















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