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ベリオノイズメンテナンス



 格納庫に向かう途中でまたあのロシア軍人に絡まれるのではないかと構えていたがそんなことはなく、一度極寒の外へ出てから機構兵器専用格納庫を目指す。

 随分と遠い。

 本来であれば車両で移動したいところだった。

 だだっ広い格納庫群を横目に寒さに背を丸めながら歩く。


 おそらくこの辺りの格納庫は重火器や戦車、輸送車両などの格納庫だろう。

 先に見えるライトアップまでされた機甲兵器用格納庫に比べて小型の格納庫が並んでいた。


(……やけに静かだな)


 この辺りは雪が積もっていない。

 車両通行用に雪が退けられている上、床に温熱効果を持たせる機能が備わっているのだろう。

 格納庫のシャッターはところどころ空いていて明かりがついているが不自然なほどに静かだ。


 体が冷え、震えて吐く息の水分が全て凝固し白煙に変わる。

 手足などの感覚も鈍くなってきたため急いで先の格納庫へ走った。


 巨大な格納庫に空いたシャッターから入ると運び込まれた二脚機甲や4脚機構が100人は下ろうかという技術者の手でメンテナンスされていた。

 その技術者も全てが機甲兵器専門職ではなく、十数人いる専門技術者の指示に従って動いているという。


 機甲兵器を吊り下げるハンガーに掛け、破損した箇所を取り外し新たなパーツに換装するための準備を進めているそうだ。


 そんな中で数人の技術者から恨めしい目で睨まれてしまった。

 それも仕方ないだろう、それらを破壊したのは自分でありガーネットでもあるのだから。


 ベリオノイズは格納庫の隅でひっそりと膝をつかされ静止していた。

 見た所装甲に大きなキズや塗装の剥がれは見受けられたが大きな割れなどは見当たらない。


「ガーネット、来たぞ。どこだ?」


「んー……」


 随分とくぐもった声が機体の中から聞こえてきた。

 コクピットではなく装甲の内側、前部スラスターからだ。


「お、おい、どうした?」


「……」


 一向に顔を見せないガーネットを訝しみ、雛樹は少々心配したような声色で呼びかけた。


「……もう怒ってない?」


「え、ああ。怒ってない怒ってない。随分その……凹んでるみたいだし」


「……もぉ殴らない?」


「殴らないって」


「……」


 しばらく待っていると声が聞こえてきたスラスター部分からひょっこりと顔をのぞかせた。


「お前……どこに入ってるんだよ」


「損傷箇所を見てたのぉ。スラスターが機能してないようだったからぁ」


「ああ、そうなのか。どうだ? まだ問題なく動きそうか?」


「んー……。思ったよりひどい損傷はないし、出力は落ちそうだけどスラスターも修理できそぉ」


 機体内部から飛び降りてきたガーネットは見事に着地を決めてからベリオノイズに向かって向き直った。


「内部機構が古いおかげでペイブローの予備パーツで代替できそうだしぃ」


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