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第3節9部—パニックパレード—

 そして、ドミネーター群と同じく。近海に展開していた、この騒ぎの大元である“大型潜水艦”。


「おほっ、いいねー派手だねぇ。いいもん持ってんじゃん方舟の奴ら」

「作戦部隊コード、ボイス、ハンドレッドのバイタルサイン消失を確認ー。よかったのぉ? 同志でしょう?」

「いいっつーの。方舟に手練れがいんのは知ってたからよー。捕まって全部ゲロられんよりましじゃん」


 潜水艦、艦橋でやけに愉快そうに状況報告をしている男女。一人は顔の右半分に抽象的な入れ墨を入れた30代くらいの赤い短髪の男。一人は、どう見ても娼婦にしか見えない赤と黒のツートンカラーの長髪を持つ若く見える女。


 しかし二人とも、着崩してはいるものの同じ軍服を着用し、潜水艦を操るために艦橋へついている。どこかの組織、部隊の人間であることは間違いない。


「ドミネーター、タイプヒューマノイドアルター、セット。ゲートに開いた穴からぶち込んでやろうじゃん。騒ぎはでかいほうがいいだろー」

「うふふ、りょーかーい。潜水艦オルターズバイス浮上。改良型ドミネーター射出準備。ちゃんと持って帰ってきてねぇ、みんな。方舟の守り神、“ステイシス”ちゃんを……」


 海面を盛大に割りながら浮上してきた、大型潜水艦。その甲板の一部が開き、なにやら巨大な砲台がせり出してきた。

 その砲口を向けられたのは、海上都市センチュリオンノア、その中央玄関に開いた穴。


「“ドミネーター射出”。御愁傷様ねぇ、平和ボケした方舟のみなさーん」


 砲台から射出された、ドミネーターと宣言された黒い塊は凄まじい勢いで空を飛ぶ。


 飛来物着弾前、第三区画。


 後方からとんでもない熱を感じる。ビルの壁面に取り付いた雛樹は、そのままゆっくりと背後を見た。

 消えた。あの粒子砲から射出されたエネルギーはあのビルの上半分を跡形もなく消してしまった。

 ビルの断面が赤熱している。まるで焼き切ったかのように。


 射出された先、上空の雲に穴が空いているのが見える。空すら貫く粒子砲の威力に背筋が凍えた。


 あれに巻き込まれていれば、あの不審な兵士達共々消し飛んでいただろう。


 眼下には相変わらず混乱し、逃げ惑う人々。


 警備兵達の決死の避難誘導のおかげで着実にその数を減らしてはいっているが……。


《祠堂雛樹!! 祠堂! 返事をしなさい!!》

「はいよ」

《やっと返事したわねこのポンコツ!! このっ……うっ……、よかった……ほんとによかった……》

「う、もしかして……泣いてる、とか」

《泣いてないわよ!! このボケ!! 無茶するなっていったでしょう!!。吹き飛ばされたと思ったわよ!!》

「ああ、結構危なかった……。死ぬかと思った。あんまり無茶するもんじゃないな。でもここからの眺めは随分といいぞ。外海がよく見える」

《……やっぱり、セントラルゲートが破壊されたのね……企業連はどうするつもりかしら。もう警備兵だけで対処できる事態ではないわよ。とにかく、GNCの兵士と連携を取って、できる限り対処しましょう。観客の避難誘導に加わって》


 逐一肯定の返事をしていた雛樹だったのだが……、壁面に取り付いたこのビル、7階部分から見るセントラルゲートの穴の向こうからなにかが飛来してきているのが見えた。


 黒い塊だ。右目が赤色を呈し、瞳孔が縦に絞られる。


「ドミネーターだ」

《……なんですって?》

「やばい、ゲートの穴から飛び込んでくる!!」

《見間違いじゃないのね!?》

「じゃない! まずいぞ……こんな大混乱のど真ん中で……!!」


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