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29話-莫大な金額-

 雛樹とガーネットが通されたのは10人程度が無理なく入れる程度の会議室だった。

 そこにはすでに結月静流と夜刀神葉月が神妙な面持ちで座っていたのだが……。

 葉月に至っては顔面蒼白でペラ紙一枚を眺めている。


「そこへ座りたまえ」


 おそらくこの基地の指揮系統を担う痩せぎすの初老男性が雛樹とガーネットに向けて言った。

 碧眼に白い肌と色素の薄い髪。ロシア人ではあるだろうが随分と流暢な日本語を話す。

 それに従って二人は席に着き、ひとまずは落ち着いた。

 

(随分和やかな雰囲気だな……一人を除いてだけど)


 あれだけのことがあった後だ。

 ロシア側はさぞかし殺気立っているだろうとばかり思っていたがそんなことはなく、歓迎とでも言うような雰囲気であり困惑を隠せない。


 今からどう料理されるのかびくついていたがその心配はなさそうだ。

 

 まあその和やかさの理由はおそらく、葉月が眺めている紙にあるのだろうが。


「我々としては新たなパーツを提供していただけると言うならばこの件は不問にさせていただきたい。どうかね?」


「ええ……それは是非とも……ですが」


 葉月が持っていたのは脚部などが破壊されたロシア軍第一機甲師団の二脚機甲及び4脚機甲のパーツ……その見積書だった。

 なんでも今回の件はロシア軍側でも非があったと認めた上で、故障したパーツを見積額の3分の1の値段で提供すれば不問にするとのことだったのだ。


 で、その見積書はガンドッグファクトリーからのもので部品名、型式、数量、単価が記載されており……その一番下には合計金額が。


 85万ユーロ。


 日本円にしておよそ1億500万円ほどの金額であった。


 実はこれでもガンドックファクトリー側が今回の遠征任務に持ってきていた、予備のローグレードパーツの見積書なので比較的安価ではあるのだ。


 だがその金額の3分の1で提供しろ……ということでガンドッグファクトリー側が7割引するなんてことはありえない。

 そう、残りのおよそ7000万円は夜刀神PMCが支払うことになるのだ。


「……吐きそう」


「葉月、我慢してください。ヴァレリー防衛長官、我々センチュリオンテクノロジー製汎用パーツであれば生産量の都合上、もう少し安価でご提供できます」


「それは今すぐ搬入していただけるのかね?」


「いえ、それは……。しかし最短でも2週間後には」


「だめだ、話にならん。今すぐ修繕しなければ我々はこの戦線を維持できんのだぞ。付近にΔ級の存在を確認してからというもの、怪物共の出現頻度が大幅に増えているのだからな」


 静流は歯噛みする。

 ロシア軍第一機甲師団の二脚機甲兵器を修繕するだけの予備パーツはセンチュリオンテクノロジーも所有している。

 4脚機甲のパーツは無いにせよ、2脚機甲のみだけでも大幅な値下げは可能だった。


 しかしガンドッグファクトリー製のものと換装するには脚部接合部の規格が違うため汎用接合パッケージが必要になる。

 それを発注、搬送するのに2週間は最低でもかかるというのだ。


 

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