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69話ー背に乗る護り神

態度こそ問題なさげに装ってはいるが調子の悪さが挙動に出ている。

それも致し方はないだろう。

どれ程の時間かはわからないが、おそらく相当な時間無抵抗のまま嬲られ続けていたのだから。


「仕方ないな……ほら、背負ってやるから来い」


「え、え? どうすればいいのぉ?」


背中を見せて屈んだ雛樹に対し、何故か大きく動揺しあわあわしだすガーネット。


「たまに飛びついてくるだろ。その要領で来ればいいんだよ。運んでやるから俺の気が変わらないうちに早くしろ」


「なんか恥ずかしいんだけどぉ……」


「お前やっぱり最近変だな。歩けるならいいんだぞ」


「乗る、乗るからちょっと深呼吸させてぇ」


俺はいつまで屈んでればいいんだと小さくため息をつく雛樹を横目に、ガーネットは高鳴る心臓を抑えるように軽く握った右手を胸の谷間に埋めさせて2回ほど深呼吸をした。

そして……。


「……いくわよぅ」


「ん」


おずおずと雛樹の背中に覆い被さるようにして身を預けた。

預けたが、何故か胸が雛樹の背中に当たらないよう少し上半身は起こしてある。


「そら行くぞ。変にしがみつかなくていいから自然にしてろ」


「ん……」


立ち上がる際、自分のお尻付近に回ってきた雛樹の手に動揺しながらガーネットは返事した。

自分でも何故こんなに動揺しているのか全くわからない。

思考も視界もぐるぐるする。


「脚! 腕! しがみつかなくていいって言ったろ!死ぬわ!」


「ど、どうすればいいのよぅ」


「力抜いて背中にもたれてくれ。余計な力が入ってると持ちづらいんだよ」


「こ、こぉすればいいんでしょぉ、こうすればぁ……」


ガーネットは意を決して上半身をぴったりと雛樹の背中に預けることに。

必然的にハリと弾力のある胸が潰れ、形を変えながら押し付けられる。


(なんでこんなに恥ずかしいのよぅ……)


ガーネットは頰を紅潮させ……、さらには体を預ける雛樹の鼓動を感じてさらに顔を赤くほてらせた。


(しどぉだって緊張してるくせにぃ。バレバレなんだからぁ)


腕を雛樹の首に回して自分の体をある程度固定し、ボソリと呟く。


「心臓の音早ぁい」


「……。疲れてる中荷物を持って歩いたらこうなる。当たり前だろ」


「どぉだか」


「…………」


しばらくこつこつと雛樹の足音だけ響く格納庫内。その静寂をあらかた堪能した後ガーネットは言う。



「すっけべぇ」


「……落とすぞ」


「その前にしどぉを落とすわよぉ」


にひひといたずらに笑いながら、ガーネットは雛樹の首に回している腕に優しく力を込めた。


「はいはい……バカやってないでさっさと帰るぞ。デブリーフィングもあるしな。急がないと」


「しどぉ真面目ぇ」


「今回の件で随分引っかかることが増えたからな。さっさと整理する必要がある」


「……そうねぇ。あたしが読み取った6年後のしどぉのことも話さないとだしぃ。どうするぅ?それ、あたしとしどぉだけの秘密にするぅ?」


ガーネットのその問いかけに対し、雛樹はしばらく考え込んだ後……。


「情報の内容次第だとしか。話すのは先に俺に頼む。他に共有する情報かどうかは俺が判断するから」


「かしこまりぃ」



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