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68話ーお迎え


ベリオノイズの格納庫まではセンチュリオンテクノロジーの輸送車で送ってもらうことができた。

もちろん格納庫は自社で用意したものではなく、センチュリオンテクノロジーが提供しているレンタル設備である。


だがレンタル品とはいえ一流企業の格納庫。

地下に存在するそこは堅牢な作りとなっておりセキュリティも万全である。

葉月の呼び出しですぐに現場に届けられたのもその一流企業の力をなけなしの資金を使って行使したからであった。


「お気をつけて」


「ありがとう、助かった」


この格納庫周辺にある車両ドッグに向かうついでに乗せてくれた士官に挨拶をし、雛樹はベリオノイズが格納されたドッグへむかう。

グレアノイドコアという常人には有害な機関で動くベリオノイズはある程度隔離された環境の下管理されているため、整然と並ぶ二脚機甲とは縁のない場所に存在している。



ハンガーに固定され、吊り下げられる形で格納されているベリオノイズのハッチまで行くには昇降リフトが必要になるが雛樹はワイヤーガンを用いて登り、ハッチを解放した。


「……ちょっとぉ。いきなり入ってくるの反則ぅ」


と、コクピット内で真っ裸というあられもない姿のガーネットがむすりとしながら言う。

どことなく恥ずかしそうに、びしょ濡れになっていた拘束衣を胸元あたりに持ってきて肌を隠す。


「え、なんだその反応。いつも全裸一歩手前の格好で家の中うろついてる癖に」


「あたしも知らないわよぉ」


艶やかな褐色の大きな胸に拘束衣を押しつけながらむすりとした表情を浮かべるガーネットを見て、なぜか雛樹の方が恥ずかしくなり少しばかり目を逸らした。


「遅くなって悪い。ほら」


「……ん」


雛樹からまだ生乾きのジャケットを受け取って、素肌の上からそれを羽織った。

雛樹のもののため袖を通そうとするとダボダボで手が出ない。

何を思ったのか余った袖の部分を自分の鼻元に持って行きくんくんと匂いを嗅いだ。


「しどぉのにおいがするぅ」


「臭くはないだろ。それ洗ったばっかだぞ」


「臭いなんていうわけないでしょお。しどぉの匂い好きなんだからぁ。落ち着くぅ」


「そらよかった。ほら行くぞ、お前には説教したいこととか怒りたいこととか叱りたいこととか色々あるんだから」


「やだぁ! 全部同じ意味じゃない! ごめんなさいしたのにぃっ」


「ごめんなさい分は差し引いてやるからちゃんと叱られろ。どんだけ心配したと思ってんの」


「やぁぁあぁ」


「やじゃないの。いいからさっさと降りるぞ」


珍しく駄々をこねるガーネットの腕をひっ掴み、担ぎ上げて無理やりベリオノイズから降ろしてやった。

やはりというべきか、彼女は6年後の怪物との戦闘で相当消耗しているらしい。

抵抗はするが全く問題にならない程度の力しか出ていない。


「流石に調子悪そうだな?」


「うぅ……血を流しすぎたのよぉ。寒いし眠ぅい……」






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