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第3節5部—後手の制圧—

「っ、今からでも遅くないさ……! ほら、その物騒なものしまって握手しないかっ? こっちは大歓迎だ……!!」

「軽口を叩くな……苦し紛れの対話は意味をなさんぞ201の生き残り……!!」


 キリキリと、ナイフの切っ先が震えながら押してきて、雛樹のジャケットに届く。あと数秒でそのナイフは自分の心臓へ沈み込むだろうが……。


 うまく腕をずらし、アンカーショットの狙いを定められた。右腕をうまく使い左腕の射出ボタンに触れた瞬間、先の鋭いアンカーが慢心していた相手の左肩へ深々と突き刺さる。

 突然のことに悲鳴にも似た驚きの声を上げ、ナイフを取り落とし体勢が後方へ退くように崩れた。


「ッ!!」


 取り落としたナイフは、もちろんのことながら雛樹の胸板に刃先から落ちた。 が、もう刺さる寸でのところまで迫らせていたために、大した刺し傷はつかずに済んだのだ。

 そのナイフが床に転がる前に、素早く刃を左手の人差し指と親指で挟み込み、右側へ頭を向けた。その先には……。


「ボイス、そのまま後方へ流れろ!!」


 隊長格の男がこちらにライフルの銃口を向けていた。ナイフを胸に突きつけられながらもその男には気を割いていたため、位置関係は把握できていた。掴んだナイフを流れるような動きで投げ——……。


 音もなく浅い弧を描きつつ飛んだナイフは、ライフルを構えた男の肩に深々と刺さる。痛みと衝撃で大きく跳ね上がったライフルの銃口から、数発の弾丸が暴発し、部屋の壁と天井に弾痕を残してゆく。


「……!!」

「そこでおとなしくしてろ、声野郎ボイスマン


 マウントを取っていた、ボイスという兵士を押しのけ、顎をかかとで突くように蹴り抜き意識を飛ばさせ、床に伏せさせた。

 間髪入れずライフルを投げ捨て、刺さったナイフを抜こうとしていた隊長格の男の方へ向きながら、腰からハンドガン、ガバメントを抜き放ち肉薄。


 相手の肩に刺さっている柄の先を左手で押し込み、背後のガラス張りの壁へ叩きつけた。


「ぐっ……ぁぁああ……ッ!!」


 隊長格の男の肩に刺さっていたナイフは雛樹によってさらに押し込まれ、貫通し厚いガラスの窓に突き刺さっていく。

 完全に壁へ抑え込まれた男はただただ痛みに呻き声を上げていた。


「やろうとしていることを吐け。ここで吐かないのなら、あなたを始末し、あそこで転がっている男を企業連へ引き渡す。二人を運ぶのは手間だからな」


 雛樹はガバメントの銃口を強く男の腹へ押し付けながら、剣呑な目つきと落ち着き払った声でそう言った。


「ぐぁ……!! ……今更知って何になる……」

「……今更?」

「そうさ、今更だ……。手順ハッキングはもう完了している……あとは……事が始まるのを待つだけだ……!! お前にはもう止められんよ!!」 

「……!?」


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