65話ー作戦終了ー
いや、この時気づくべきだった。
そして追うべきだった。
6年後の自分たちを。
しかしそこまで考えが回らなかった。
ドミネーター因子に対する研究を行い、その力を兵力に変えようとしている彼らにとってそれがどれだけ重要なものであったかなど……。
そう、たとえそれが朽ちた兵器だったとしても……。
……--。
「夜刀神PMC所属機、ベリオノイズが北側海岸から浮上したと報告がありました」
「了解。いますぐ伝えてやれ、夜刀神嬢は気が気ではないはずだ」
採掘シャフトが破壊されたと聞いて後方待機していた二脚機甲部隊はシャフト施設を囲むように展開していた。
その北側で展開していた二脚機甲部隊がレーダーにグレアノイド反応を海岸に発見し、ドミネーターかと見てみればシャフトに投入された黒い機体だったため報告を上げたのだ。
「グレアノイド反応を示す機体とはどういうことだろうな」
「初期段階で試作された機体はグレアノイドの原動核を積んだ機体があったそうだが……それだろうか。今は製造が禁止されているようだが」
「それにしてもとんでもなく安上がりな機体構成だったな。弱小の民間PMCが持っている機体と聞いて興味はあったが……まあ大方予想通りだ。あまり汚染粒子を撒き散らさないでもらいたいものだ」
北側に展開し、ベリオノイズのグレアノイド反応に驚いていたセンチュリオンテクノロジーの二脚機甲パイロットが撤退しつつそんな話をしていた。
現在の二脚機甲に乗るパイロットから見ればベリオノイズの機体構成などどこのスクラップ場から拾い集めてきたパーツを組み合わせているんだとしか言えないものなのだろう。
二脚機甲搬送用トランスポーターに乗せられた黒い機体はオートバランサーが無いため立って乗ることができず、片膝をついてしゃがまされている。
「流石に疲れたな……」
「あたしもぉ」
「お前はしばらく寝てたろ」
「しどぉも寝てたぁ」
「酸欠で失神したのを寝たとは言わんだろ」
「じゃああたしも寝たとは言えなぁい」
「無駄に心配かけてくれちゃってこいつは……」
「もうごめんなさいしたぁ」
「……。着いてもお前はここにいろよ。出て行ったら色々ややこしいからな」
「はぁい」
「……はぁぁぁ」
「……はぁぁぁ」
ベリオノイズのコクピット内でひとしきり会話した後同じタイミングで二人してため息をついた。
緊張の糸が切れ、お互いに溜まった疲労を吐き出すように。
そのあと葉月と通信がつながり、ある程度の任務報告をした後機体から降り……。
「……よォ、お互いボロボロになっちまったもんだぜ。まあ俺ァヘマ踏んだだけだが」
「その負傷でよくあれだけ立ち回れたな。その怪我で」
「慣れてるからな……。しかし逃しちまったか……」
「今のコンディションで叩ける相手じゃなかった。シャフトから脱出できただけでも運が良かったと考えないとな」
センチュリオンテクノロジーの医療車で治療を受け、包帯まみれになったRB軍曹はまだ掠れた声で話していた。