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32話ー犬猿の仲ー

 グレアノイド鉱はエネルギー資源である以前に人体にとって有害な物質であり、採掘員には厳重な防護策が取られる。

 その採掘シャフトは企業連が所有しており、管理も企業連が行っているのだが……。


「ただそのシャフトは……その、なんて言えばいいのか」


「グレアノイドの採掘技術が確立してない頃に作ったから雑なのよぉ。メンテナンス用の通路やら何やらアリの巣みたいに張り巡らされてるしぃ、そこら中錆とグレアノイドの侵食痕だらけぇ。つまりぃ、ちょおきったなぁい」


 この海上都市がまだ本土の一部であり、方舟計画が実行に移される以前に作成されたものだ。古く、技術的にも成熟していない頃の施設のため粗が目立つのは仕方がないのだが……。


「汚ェのは慣れっこだろ、本土産はよ」


「RB軍曹」


「ッハ、ここ以外はどこも肥溜めみてェなもんだ。箱庭の姫さんにはわからねェとは思うがよ」


 アルビナと個人的な話をしていたRB軍曹が姿を現すやいなやそんなことをいうものだから一気にこの場の緊張感が高まってしまった。

 主にガーネットの殺気のせいでだが。


「……」


「そう睨むなよ。ったく、なんで姫さんが外に出てきてんだと思ってたが、お前さんが面倒見てんだってな。マジでクレイジー野郎じゃねェか」


 ニヤニヤと笑みを浮かべながら、はい降参と言わんばかりに軽く両手を挙げてガーネットをなだめようとしているのだが、ガーネットは今にも噛みつきそうな雰囲気であった。


「……よかったわねぇ。あたし、しどぉと居るときは暴れないようにしてるのぉ」


「そりゃいい心がけだ。俺もギプスまみれにゃなりたくねェからな」


 RBとガーネットのやり取りの意味がイマイチ掴めないでいた静流は雛樹のジャケットの袖をくいくいと引っ張り……。


「あの……それはそうとヒナキ、新田大尉はともかくとして蘇芳少佐には気をつけて下さいね」


「あの都感ある佐官クラスか」


「気に入られているうちはいいのですが、見切りがすさまじく速い上に容赦がありませんから」


 そもそも佐官でありながら部下を持たされず、付いてくる人間は新田大尉のみといった時点で変わり者だろうという察しはつくが……。


「見た感じではどうも手練には見えなかったけどな。芸者でもやってそうな風貌だった」


「あはは、ゲイシャってなんですか」


 厄介な人間だろうということは雛樹自身わかっていたことだ。それに、そもそも蘇芳が厄介だろうがなんだろうが関係はない。

 夜刀神が言うには、割のいい仕事だとは聞いている。懸念すべき事項はガーネットが拒む理由くらいのものだ。


「しどぉおなかすいたぁ。ご飯作ってぇ」


「俺が作るのか? 外食で済まそうと思ってたんだけど」


「しどぉが作ったのがいい」


 


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