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26話ー彼らの噂ー


「よかったねえ結月ちゃん。愛しのおにーちゃんに会えて」


「なぜ雛樹が兄だなんだということになってるんですか……」


「アルビナさんに聞いた」


「……うあう」


 何を言いふらしてくれてるんだと悪態をつきたくはあったが、家庭内でも職場内でも反抗できる立場にないため、出かかった言葉を押し殺してしまった。


 だがそんなことよりもだ。最後の最後で雛樹の表情が曇ったことが気になった。

 自分と同じで、何か下手を打ったのか。

 腹部をすこしばかりかばうように歩いていたため、おそらくなんらかの任務で負傷したのだろうが……。


「あれが噂のRB軍曹と、本土CTF201部隊の生き残り、祠堂雛樹さんかぁ。どっちも若いし、そんなに強くはなさそうやったね、兄貴」


「アホウ。RBはこの都市内でも頭一つ抜けた実力を持っとる。単身でタイプγ級のドミネーター潰したっちゅう記録も残っとるくらいや」


 RBは海上都市内でも有名な兵士である。

 相手にするドミネーターに対して使う武器は二種類のみ。

 大型のリボルバー拳銃と、加速式対グレアノイドブレードを持つ大剣の二つ。


 彼が残す対ドミネーター戦の記録はそのことごとくが常人には参考にすらならない程無茶な戦闘方法のため、その戦闘記録に価値はなく、彼自身の評価はあまり高くない。


 だが、そのドミネーター制圧能力から荒事ばかりに首を突っ込まされるという半ば貧乏くじ係となっている節がある。


「でも一番気になんのは祠堂雛樹さんや。RB軍曹みたいなんがゴロゴロおったんやろ?」


「そこんとこはあんま知らんな……どうなんや結月ちゃん」


 ノックノック兄妹に話を振られ、静流はすこしばかり首を傾げ言葉を選び……。


「CTF201は本土軍の中でも特殊で……その、遊撃部隊のような役割を果たしていました。だからこそ、その部隊はその部隊のみで命令を遂行する必要があり、CTF201の力はそのチームワークにあったと思います」


 もちろん一人一人の練度も相当なものではあった。

 元々CTF201に所属していて、この海上都市で確固とした立場を築いたアルビナですら部隊内で丁度中間ほどの技量を持った兵士だったのだ。


「γ以上のドミネーターを撃退した実績すらあるんですから、はっきり言ってこの都市からしても異常な部隊だったとは思います。当時十代だった雛樹ですら、ドミネーターと生身で対峙するのに全く臆することがなかったのですから……」


「ほーん。考え方としては、海上都市の力を使って正当な力を振るうのが蘇芳少佐と新田大尉、完全にイレギュラーな強さを持つんがRBと祠堂雛樹っちゅう訳やな」


「考え方としてはそういうことですね。CTF201の戦闘方法を個人用の戦闘スタイルに変えて運用しているのがヒナキです」


 対人戦闘スキルも、対ドミネーター戦のみを想定して鍛えられている海上都市の下位兵士とは比べ物にならないものである。

 だからこそ企業連から警戒されており、厄介者扱いされてはいるのだが……。



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