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第4節18部ー操縦士としての邂逅ー

 使用した兵器の影響か、高部との通信が途切れ、アドバイスを受けられなくなってしまった。

 兵器出力が限界を超え、エネルギーを放出しながら瓦解し始めた。凄まじい衝撃とけたたましいデンジャーアラート。

 モニターに映し出された機体情報に次々と破損箇所、過負荷を受けている箇所が赤く表示されていく。


 次第に機体が後退していく。地面に打ち込んだ両脚部のアンカーが機体を支えきれなくなっていたのだ。


「こいつの止め方も聞いとくべきだった……!!」


 腕の兵器の負荷によりかなりの重さを持った操縦桿を握り、力の限り引く。

 まだまだエネルギーを放出する腕の兵器の砲口を下から上へと薙ぐように操作した。


 グレアノイド体はそれにより、下から山頂部まで跡形もなく消し飛ぶ。

 さらにはその山まで半分削り取ってしまったが、機体の後退は止まった。


「消しとばしたはいいものの……!!」


 このままでは、腕の兵器に機体が飲まれかねない。なんとかしてこの兵器へのグレアノイド粒子供給を断って外さなければ機体ごと消し飛んでしまう。


 と、この機体に装備されたレーダーに反応が現れた。それは、山に開いた穴からこちらへ向かってきている、フォトンノイド反応を持った何かだった。

 雛樹はレーダーに示された事柄をまだ識別できないため、その反応が何か理解できなかったのだが……。


 それは迷わずこちらに接近してきた。


 モニターに映されていたのは、青く美しい機体。見覚えがある。これはターシャが乗っていたウィンバックアブソリューター、ブルーグラディウスだ。


 それが、今この機体に装備された兵器を鷲掴みにし、無理やり引きはがそうとしていたのだ。


「くっ……耐えてください、グラディウス……!!」


 結月静流は残ったわずかなフォトンノイド粒子を使用し、機体の周囲に防御膜を張りながら、初めて目にする黒い機体へ接近し、暴走する装備とその機体をつなぐパイプラインを断とうとしていた。

 兵器と機体をつなぐ粒子供給ラインは追加装甲により護られている。そのため、その装甲を引き剥がす必要があったのだ。


 四方八方に放出されている粒子砲、その流れ弾に当たってブルーグラディウスの粒子防壁がみるみるうちに削れていく。


 だが、防壁に回すフォトンノイド粒子が尽きる一歩手前で、その追加装甲をひん曲げ、供給ラインを露出させることに成功した。


「断ちなさい、ムラクモォォッ!!」


 間髪入れず、展開していた一基の独立機動ブレード、ムラクモを使用してその黒い機体と禍々しい粒子砲をつなぐ供給ラインをぶった斬った。


 切断部からまるで血液のように噴き出るグレアノイド粒子とともに、赤熱し煙を上げた腕の装備が、瓦解し地面へ落下していく。


「と……止まった、のか?」

《こちら、センチュリオンテクノロジー所属、結月です。聞こえますか? 応答おねがいします!》

「……ターシャ」


 コクピット内に響く、結月静流の声。繰り返される呼びかけの仕方から、この機体の中に誰が乗っているのかわかっていないようだ。



「……応答がないですね。グレアノイドを動力に動いている機体となれば、ステイシスが乗っていると思ったのですが……」


 静流は怪訝な表情を浮かべながら、コントロールパネルを空中に展開させ、指で操作した。


「仕方ありませんね、システムにハッキングをかけて無理やり回線を開けさせてしまいましょう」


 幸いなことに、その黒い機体に備わったシステムセキュリティはブルーグラディウスのハッキングに対して強固なものではなかった。

 むしろ必要最低限のセキュリティのみで、脆弱も脆弱。ハッキングをかけた静流が不安になるほどのものだったため、すぐに回線を通すことができた。


「そちらの声は筒抜けになりましたよ。観念して応答すべきです、ステイシス——……」

《ターシャ、俺だ。祠堂雛樹だ》

「……!! ひ、ヒナキッ!? なぜ……」

《とにかく助かった。操縦の仕方やら何やらわからなくて通信回線も開けなかったんだよ》


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