表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/307

第4節16部ー弱小PMCの機体ー

……——。


 結月静流は戦慄した。凄まじい破壊力を持つグレアノイド粒子砲を形成する、山頂から現れたグレアノイド体はどれだけ破壊してもとんでもない速さで再生する。

 そのたびに、一撃、また一撃と粒子砲を放たれ、なんとかブルーグラディウスの攻撃、防壁で地上にいる部隊に直撃しないよう逸らすことができていたのだが……。


「……フォトンノイド保有率25パーセント……。これ以上は反重力炉の稼働に支障が出ます。もう防げない……!!」


 粒子砲を逸らすための大規模な攻撃、防御を行う度にとんでもない量のフォトンノイド粒子を放出してしまう。そのため、機体の原動力からの供給が間に合わず、これ以上使うと機体が浮力を保てなくなり墜落してしまうのだ。

 

「この機体を盾にすれば1射くらいはどうにか……」


 いや、身を呈して防げたとして、次はどうする。それだけではみなが撤退する時間すら稼げないかもしれない。

 手詰まりだ。そう思わされようといた時、レーダーに不審なものが映り込んだ。

 反応ははるか頭上。そこから、とんでもない速度で何かが落下してきている。まるで隕石のように。


 ブルーグラディウスは頭を上げて、その落下物に視点を合わせてズームする。それは円筒形のコンテナ……のようなものだった。


「あれは……マスドライバー射出用コンテナ?」


 マスドライバーとは、物資輸送用の設備である。簡単に言えば、ものをとんでもない速度で上空に放り投げ、ミサイルよろしく、届けたい場所に荷物を着地させる。


 だが、それには受け止めるための施設が必要なのだ。あの島にはマスドライバーから射出された荷物を受ける施設などない。

 ブルーグラディウスのシステムは、すぐさまあのコンテナの挙動、速度から予想着地点をたたき出した。


「……あのグレアノイド体、直上ッ?」


 モニターに映し出された、落下コンテナの放物線はあの山頂に向かっていた。

 すでに粒子砲を構えたグレアノイド体の真上に落ちるのだ。

 とんでもない質量を持った、コンテナが。


 直後、コンテナはグレアノイド体の真上から少し角度をつけて落下し、その質量を持ってグレアノイド体を粉砕しながら山の中へ消えていってしまった。


 派手に破壊されたグレアノイド体が島全体に飛び散るほどの衝撃。だが、それでも再生を始めているところを見ると、本格的に余裕がなくなってきた。


 だが、その再生を始めている下では抉り込んだコンテナが、山の中の施設……それも、雛樹のいる区画にたどり着いていた。

 その区画の天井から突き出るかたちで突然現れたそのコンテナに驚いていると、すぐさま通信で高部が呼びかけてきた。



《君の機体を格納したコンテナが今到着した筈だ。確認できるかい?》

「はるか頭上にですが、コンテナらしきものが突き出ているのは」

《やはりその施設の外郭を突破することは叶わなかったか。すまない、今からそのコンテナの底を解放する。安全な場所に移動してくれないか?》

「わかりました」


 言われるがままに、雛樹はコンテナの真下から少し離れた場所に移動した。すると、そのコンテナの底がゆっくりと開き、何かがせり出してきた。何かの脚部を視認したと思うと、その何かが地面めがけて落下してきた。


 それは、静流が乗っているような二脚機甲だったのだが……どこかで見たことがある。

 えらくごてごてとした兵器が右肩部から腕にかけて装備されている以外は、あの時……夜刀神PMCの事務所地下で見た、グレアノイド寝食を受けた機体そのものだ。


 落下の衝撃のせいか、脚部から火花が散っている。


《すまない、その機体は特殊でね、替えのサスペンションの開発が間に合わなかったんだ》

「……いや、替えとかなにより……俺にこれを扱えと?」

《そうだ。不完全ではあるがそれは君の機体だからな》

「一度も乗ったことないです無理です」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ