8.
「じゃあ、後はジョルジュね」
「え、レベッカ、俺もう既にしたじゃん」
「まさか、まだまだ足りないでしょ? そのアイテムの出所とかさ」
「それは企業秘密で」
まさか俺に白羽の矢が立てられるとは思ってもいなかった。
俺も探られたら色々と痛い腹の持ち主ではある。ちょっとばかり、どころではない。本当に色々とチートを保有しているのだ。
―――
名前:ジョルジュ
種族:人間(異邦人)
職業:ローグ Lv:14
スキル
・鑑定Lv5
・魅力Lv5
・調合Lv2
・契約Lv2
・暗殺術Lv3+
・強運+
・回復魔術Lv2+
・技巧石抽出
・経験石抽出
・アイテムボックス
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三つ、チートを保有している。
まず一つ、俺はLv5のスキルを保有している。それも二つ。
鑑定と魅力。この二つのスキルについて説明しよう。
鑑定は、その名の通り様々な物を鑑定出来るスキルだ。
このスキルの有無は非常に大きい。情報がものをいう世界で、これ以上に便利なスキルはあるまい。
例えば森で遭難した時、道端の草やキノコを鑑定出来るかどうかは死活問題になる。
麻痺や毒になったときのための対策に薬草を摘み取って保持出来る、そして空腹をしのぐためにキノコを食べられる。
あるいは、その草やキノコが毒であっても、それを弓矢に塗り、暗器として使用することも可能なのだ。
では魅力はどうだ。
このスキルもまた、情報がものをいう世界でこの上なく便利であった。
というのも、この魅力スキルは、異性のみならず同性にも効果があるのだ。
もちろん俺は男の小姓のような真似をしたわけではない。ただ、俺が魅力的な人物に見える、つまり好感を持てる好青年であったり、ついつい話を聞きこんでしまう面白い人だったり、そのように見えるわけなのだ。
恐らくはレベッカも魅力をそのように使って色々と情報を集めたり、自分に利するように世を渡ってきたのだろう。
俺も同じように、自分に利するように世を渡ってきただけのことだ。
詳しくは、また後々触れるだろう。
「えー、ジョルジュの使ってるアイテム、結構気になってるんだけどなあ」
「ダメだぜー、レベッカ。いくら君でも教えられんことは教えられん」
二つ目、俺のアイテムの出所。これもチートといえるだろう。
何せ、闇市の「骨董屋」は知る人ぞ知る魔道具専門店。会員制の秘密の店なのだ。
少しばかり説明しよう。
別に一般の客が購入できないというわけではない。裏にちょっと詳しい冒険者ならば、まあ表の商品棚に出ている商品は買える。
問題は本命の裏道具。
これを購入するには会員として認められる必要がある。俺がどうやって認められたかという話は省くが、俺は晴れて「骨董屋」の会員になったわけだ。
レベッカの質問への答えは、つまるところ「骨董屋」の秘密をばらすことに等しい。
裏道具は、ほぼ違法道具。
レベッカに信頼はあれど、その他のメンバーにはまだないので、教えるわけにはいかない。
「他の質問! 他の質問ある人いない?」
なので、多少強引に話を変えさせてもらった。
以降、適当な問答が続いた。
例えば。
「ジョルジュ君、お金回りに困ってないか?」
「え、……いや、平均のB級よりちょこっと稼いでるんで、別にマリーさんに心配されるほどでもないかな」
「ジョルジュさんって彼女いるんですか?」
「いない! ターニャならよく知ってるだろ」
「ジョルジュ、貴方って良い所の育ちなのかしら? 振る舞いに品がありましてよ」
「ありがとうアルテミス。でも俺の出生は秘密ってことで頼む」
「最近どうよ?」
「うーん、ぼちぼち欲しいアイテムも買えそうだし、順調」
「宗教は」
「うーん、俺は無宗教派。しいていえば冒険者の神を信仰してるね」
などなど。
和気藹々とした会話だった。「月の弓」の皆は気心の知れたいい人が多い、と思った。
俺の三つ目のチートは、いうまでもなく技巧石と経験石を抽出できること。
俺のストックの中には、格闘術、剣術、などのスキルを保持した石と、経験値をたくさん含んだ石が眠っている。
晩御飯を食べながらの、この「月の弓」との団欒は、この三つのチートなくしては成立しえなかっただろう。
俺は静かに微笑んだ。僅かにレベッカが反応を見せたが、それだけだった。