4.
結局、ネイティと魔物の森に行って一日で12体ものオークを葬ることに成功した。
オークリーダーを含めると14体だ。
今日だけでの稼ぎで35万近くの稼ぎになる。
「野営、ですか」
「まあな」
基本的に冒険者は野営を行なうものだ。そうネイティに説明する。
野営をしながらネイティに冒険に慣れてもらうことが目的だ。
例えば、気配察知。魔物が接近する気配をネイティに察知してもらうことで、俺の負担が減り、より安全に魔物を狩ることができるだろう。
そういうスキルを磨くためには、野営などを通して魔物の気配になれてもらうほかない。
俺は焚き火に薪をくべながら、ネイティを見た。
彼女はまだ、言ってもお姫さまだ。
戦闘スキルが非常に高いことが気になるが、この年でこれだけの能力を得ているのは、恐らくだが集団で狩りをこなしていたからではないかと睨んでいる。
つまり、ハーピィの仲間と集団で魔物を定期的に狩っていた、という可能性が高いわけだ。
狩りにはなれているが、野営にはまだなれていると言いがたい。
「ネイティ、お前には魔物の気配を察知する練習をしてもらう」
「はい」
「恐らく、昔に集団狩りをしていた経験があるとは思うが、単独での狩りはあまりしたことがないだろう」
「まあ、確かにそうですが」
「狩りの一環で気配察知のコツは掴んだかもしれない。けども、集団の狩りということは、自分で気配察知をしなくても周りがある程度してくれていたはずだ。つまり、必要に駆られて気配察知をしていたわけではないはずだ」
「……そうですね」
「だが、これから冒険者として生計を立てるにあたって、気配察知は不可欠だ。ネイティにはそれを極めてもらう予定だ」
「はい」
ネイティは従順な素振りで頷いた。
勝手な思い込みだが、ネイティほどのハーピィとなると、気配察知を極めれば俺なんかより遥かに鋭いような気がする。
イメージだが、風を読む、とか言い出しそうだ。
「?」
そんなことを思いながらネイティを見ていると不思議がられた。
まあいい。
今日の戦果。
肉体強化の技巧石Lv2×2、Lv1×3
異常状態耐性の技巧石Lv1×1
斧術の技巧石Lv2×2、Lv1×5
これらを今まで集めてきた技巧石に吸収させる。
肉体強化の技巧石Lv3
異常状態耐性の技巧石Lv2
斧術の技巧石Lv3
やはり、Lv4まではまだまだ遠いようだ。
今回の技巧石のドロップでもしかしたら、と思ったが、どうもまだ足りないようだ。
続いて、今日の収穫。
薬草×12
魔力草×4
精力草×2
毒草複数。
これらを調合して、回復薬、毒薬を作る。
調合スキルも何度も使用しているが、まだLv3には至っていない。片手間でやってるからだろうか。ぼちぼちLv3になれそうな予感はするのだが。
最後に暗殺術の訓練。
といっても、暗殺術なんてそう簡単に鍛えられる物ではない。俺がやるのはあくまで気配隠蔽のイメージトレーニングだ。
暗殺術なんて、晒し首の盗賊の亡骸から強奪したスキルだが、まあまあ便利なので愛用している。
「ご主人様、炎は残しますか?」
「ああ、ネイティ。残しておいてくれ」
さて、野営なので交代で寝番をする。戦闘奴隷が手にはいってようやく寝番を他人に任せることが出来るようになった。
これで活動の幅が広がるというものだ。
俺はさっそくネイティに寝番を任せて、仮眠をとることにした。