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異世界ファンタジー概論  作者: NN
1.狩りとはつまりバトルではない
10/15

10.

 高温の物質を急冷すると、一体何が起こるか。

 答えは脆くなる、である。

 この現象は金属に良く見られる。金属の自由結合が、熱により揺らいでいるときに、時間を掛けて冷やすのではなくいきなり冷やすと、結合が元に戻りきらず、ぼろぼろのままになる、というわけだ。

 そして、迷宮の魔力により長年成長し続けたスケルトンの骨は、よもや金属と同じように結合の組成を変形させていた、というわけだ。


「第二幕だぜ、おら」


 俺の氷魔石は、スケルトンの上半身を凍らせることに成功した。

 それはつまり、スケルトンの上半身を氷漬けにしてほぼ機能させなくさせることに成功した、ということと、氷が解けたあとのヤツの防御力を著しく低下させた、という二つを意味する。


 だが、スケルトン・ケンタウロスは下半身が自由だ。

 ここからが、非常に厳しい時間になる。




 だから、相手の動きを封じる。


「オリハルコンのワイヤーネット、だぜ」


 相手にオリハルコンの網をぶっ被せて、相手の体を絡め取る。

 これで相手の機動力は、少なくとも半減はしたはずだ。


「そして、その冷えた足は、振動に弱い」


 冷えた物質は、確かに硬くなるが、同時に展性と塑性が失われる。

 これもまた金属に良く見られる現象である。


「完了」


 リリエラの魔法が、今完了した。


「振動魔法、Impulse Shock」


 瞬間、空間がたわむ。

 直線状の空間を破壊する空気の振動が、衝撃波として、そのまま骸骨の足をぶち抜いた。

 二本抜き。

 縦に二本、右の前足後ろ足の太ももが、破裂したように割れた。

 だが、まだ辛うじて繋がっている。


「追唱、Sympathy」


 そこに、割れた足に追撃するかのごとく、共鳴する周波数の音波をその足にぶつける。

 相手の下半身の骨に疎らにひびが入る。

 そして右足は耐え切れず、二本とも千切れる。






「―――ッ!」


 ネットに絡まったまま、スケルトン・ケンタウロスは地面へと横倒れになった。

 だが、残った二本の足を振り回して、暴れ回っている。


「でも、余裕ですわ」


 だが、アルテミスは。

 その驚くべき弓の腕を発揮して、まずは太股の付け根から、順々に関節に矢を差し込んで動きを鈍くさせていった。

 金属のこすれるような音がして、スケルトン・ケンタウロスの左足は、暴れる動きをどんどんぎこちなく、遅くさせていった。


「いきます!」


 気功をまとったターニャが前に出た。そして、スケルトンの左前足を打ちぬいた。

 破裂。

 気功を内側から流して爆発させたのだろう、左前足は、付け根の骨のみを残して、爆散していた。


「はああっ!」

「えいっ!」


 レベッカとマリーも左後ろ足を叩き割った。

 冷やされたところに共鳴振動でひびが入り、そしてそのまま横叩きにあえば、骨も砕けるものだ。




「―――追唱、大魔術、Impulse Cannon/Impact」


 そして、上半身を拭き飛ばすほどの、音響の大砲が爆ぜた。


 スケルトン・ケンタウロスは、そのまま、粉砕されて、その動きを止めた。

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