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転生者を狩ってみた  作者: temp
1/1

いきなりで申し訳ないが、俺は親馬鹿だ。

娘のアイリを生んですぐに妻が逝き、アイリは俺の全てになった。


アイリは本当に賢い子で、2歳のときにはもう言葉を覚えていた。

顔も俺よりも妻に良く似ていて、将来美人になることは疑いようもない。

なんせ、妻は国一番の美人だと言われていた程だ。

そんなあいつを落とせた俺もなかなかのイケメンだがな。はっはっは!


ただ、最近アイリの様子が少しおかしい。本人にもわからないらしいのだが、何かをとても不安がっているのだ。

毛布にくるまって、一緒のベッドで横になっているアイリが、俺のことを見つめている。


「パパ、ずっと一緒にいてね・・・」

「ん?当たり前だろ?アイリにお婿さんができるまではね!」

「んもー!お婿さんなんていらない!私パパとずっといるもん!」


ふふ、可愛いやつめ。

しかし、おちゃらけてみたものの、今日も何かをとても怖がっているようだ。

子供特有の敏感な時期なのかもしれないな。俺も子供の頃は、将来親と離れることを想像したり、自分や親がいつか死ぬということを考えては、怖がってた記憶がある。


アイリの不安を拭うために、アイリが大好きな勇者と魔王の絵本を読む。

ある日突然この世に現れた、神の力を持つもの「勇者」が魔物を蹂躙し、ついに魔王を討ち滅ぼす話だ。勇者の成長速度は凄まじく、魔物の群れを素手で殲滅できる身体能力、国を滅ぼすことすらできる魔法やスキルを持っていたという。実話だけになんだか羨ましい。

初めは勇者の無双っぷりに、興奮して聞いていたアイリだったが、疲れているのか気づいたら眠ってしまっていた。

寝顔も寝相もあいつそっくりだ。いつも俺の腕に両手で抱きついて寝るんだ。愛しくて、懐かしくて、すこし哀しい。

俺はゆっくりとアイリの髪を撫でながら、静かに眠りについた。










翌朝、アイリの様子がいつもと違った。


「えっと、おはようございます」

「?おはよう」


いきなり敬語とは、寝ぼけてるのかな。


「今日の朝食はアイリの番だったよな?まだ作ってないの?」


朝食といっても、果物を潰してミルクを混ぜただけの、簡単なものをいつも作ってもらっている。


「あ、はい」

「・・・?」

「あの、ちょっと気分が優れないので、今日は朝食抜きでお願いします」

「あ、ああ。そっか。じゃあベッドであったかくして寝ておきなさい」


なんかよそよそしいな。どうしたんだろう。

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