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1話 始まり

俺が昨日、考えに考え抜いた結果、俺は所謂、《転生》というものをした、という結論に至った。


しかも、どうやら《竜騎士物語Ⅱ》のステータスを引き継いでいるらしい。


というのも、あまりにも世界がファンタジー過ぎて、《竜騎士物語Ⅰ》の時の癖で《分析》を使おうとしてしまったのだ。

対象は隣に来た不細工な仲間。きっと俺も人のことは言えないんだろうな、と思ったら泣けてきた。

それは、とりあえずおいておいて、とにかく、結果として《分析》は使えた。



名前:なし

種族:《幼生虫人(キャタルト)

レベル:1



どういうことだろうか?

そう考えて自分自身に《分析》を使ってみたところで謎は解けた。



名前:フルート

種族:《幼生虫人(キャタルト)

レベル:1

職業:【隠密者Lv1】【薬剤師Lv1】

スキル:《毒》《索敵》《隠密》《分析》



うん。ゲームのステータスと化け物のステータスが混ざっている。


これが、俺がゲームのステータスを引き継いだまま、《転生》したのではないか、と思った理由だ。


骨董無形な話だが、それ以外に説明のしようがない。


人生には諦めも必要だ。つまり、俺は人間を辞めて、虫螻になってしまったらしい。


 しかし、《幼生虫人》なんて種族、《竜騎士物語Ⅰ》には出てきていない。もしかして《竜騎士物語Ⅱ》で新しく追加された魔物なのだろうか?

 もしくは、この世界が《竜騎士物語》に関連があるという前提自体が間違っているのか?

 悩んでも答えは出そうもないので、一度この疑問は置いておくことにしよう。



「あら、起きたのね。どうするかは決まった?」


まぁ、この綺麗な女性を毎日見れるなら、最悪な状況って訳でも無いか。

もう、そう思ってポジティブに生きるしかない。

俺は昨日1日で、いろいろ諦め、生きるという決意を固めていた。


 余談だが、ロメルダ相手に《分析》は使えなかった。これは、対象と自分のレベルなんかが離れていると起こる現象だ。

 どうやらロメルダは俺よりも幾分とレベルが高いらしい。

 まぁ、見た目からして俺なんかより高等そうだしな。


「狩りとやらに行くことにしたよ」


確かにロメルダに飼われるというのも魅力的ではある。

しかし折角、ゲームのステータスを引き継いでいるんだから、ここはレベルを上げるべきだろう。


強くなれば、それだけ死ぬ確率は減るし。


それに、女性のヒモとして生きるのは俺の男としての矜持が許さない。


「あら、残念ね。外は危険に溢れているわ。多分、死ぬわよ、あなた」


「死なないよ」


何も根拠は無い。でも、そう思いこむことにした。



――俺は死なない。



「そう。それなら行ってきなさい。獲物は‥‥そうね、半分は私に持ってきて、半分はあなたが食べて良いわよ。

 本当なら配下に渡すのは一割程度なのだけれど、あなたは記念すべき第一生だし、私のお気に入りだから特別よ」



それでも半分は取られるのか、とも思ったが文句は言わない。

こんな身体では自分一人で生きていくのは難しそうだし、俺も話相手は欲しいしな。

ロメルダの言うことは聞いておいた方が良いだろう。


「分かった。それと、俺の名前はフルートって言うから、覚えときな」


ゲーム時の名前をロメルダに教える。

いつまでも、『あなた』とか『第一生』とか言われるのも嫌だし。


「ふふ。本当に面白い子ねフルート。なら、この子達も連れて行きなさい。この子達はフルートにあげるから、可愛がってあげるのよ?」


差し出されたのは昨日、俺と同様に生まれたのであろう、二人。

一人は身体が大きく、多分、昨日、俺の横で生まれた第二生だ。

もう一人は俺と同じくらいの大きさで、これといった特徴はない。

ただ、両方とも見た目が醜悪な為、どうにも可愛がれそうにない。


まぁ、一人よりは生存率も上がるだろうし、貰ってくけどさ。


元々、ソロプレイの方が得意ではあるけど、本当に命が掛かっているというならば話は別だ。



 さて、俺達の他にもお仲間はたくさんいるようで、ロメルダの周りにゾロゾロと集まってきていた。見渡すだけでざっと、三十匹くらいはいるだろう。

 《分析》で分かった《幼生虫人》という種族からも予想はできたが、どうやらこの集団は蟻の群れのようなものらしい。



「さぁ、子供達、狩りに出掛けなさい」



 ロメルダの言葉に反応して、トコトコと外に出て行くお仲間達。

 正直、頼りない。大丈夫なのだろうか、あれで。


「フルート、あなたも行くのでしょ?」


「あぁ、行ってくる」


 ロメルダから貰った二人を連れて、お仲間の後を追う。

出口らしき場所から外に出た。

すると、背後に聳え立つ巨大な大木が目に入った。


「デカいな」


「デカいデカい」


「大きい、デス」


俺の呟きに二人が答える。

 こいつら、多少の知能はあるらしいけど、かなり馬鹿だ。生まれたばかりだから馬鹿なのか、種族的に馬鹿なのか、できれば前者であって欲しい。

 喋れるには喋れるし、俺の言うことも聞いてはくれるみたいだから、役立たずというわけではないが。



しかし、この木は本当に大きいな。今の俺が、小学生並みの身長しかないことを考えても、あまりに巨大だ。


こんなもの、地球には無かった。


やはり異世界なんだな、と実感する。


だが、残念なことにあまり呆けている暇もない。

正直、空腹度合いがヤバい。腹が減った。


これは、まず、何かを仕留めて食わないと餓死してしまいそうだ。


大木の周りは大木に比べたら小さい木々が連なり、ジャングルのようになっている。

あそこなら何か食べれるようなものがあるに違いない。

いろいろとやりたいことはあるが、まずは腹ごしらえだ。


 お仲間も同じ考えなのか、散り散りにジャングルに向かっていった。

 チームを組むとか、そういう高等な事を考える奴はいないようだ。


 ‥‥本当に大丈夫なのだろうか?





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「アグルとフィンあいつの正面に立って注意を惹きつけろ。ただし、あの角には気をつけろよ」


「ワカッタ」


「分かりマした」


ジャングルに突入する前に、お供二人に名前をつけておいた。

身体のデカいのは、アグル。俺と同じくらいの大きさのはフィン。

名前は俺のフィーリングで決めた。特に意味は無い。


さて、ジャングルに入って《索敵》を使ったらすぐに見つかったのが今、俺達の目の前にいる兎さん。

しかし、ただの兎さんだと侮る無かれ。この兎さん、牙がある上に角まで生えていらっしゃる。

正面、可愛らしさの欠片もない。


角兎はまだこちらに気がついてはいない様子。


とりあえず、まずは《分析》で相手の様子を探る。



種族:《角兎(ホーンラビット)

レベル:5

備考:角のある兎。肉食で凶暴。逃げるのが速く、強者には寄り付かない。角は漢方薬などにもなる。



この程度なら勝てそうだな。

ということで、予定通り戦闘開始。


 アグルとフィンの二人が角兎の目の前に飛び出し、角兎の注意を惹く。



二人が陽動してくれているうちに《隠密》で気配を消し、角兎の後ろに回る。

途中で拾った尖った木の枝を片手に慎重に背後から近づいた。


ブスリ。


「キュン!!」


突き刺した木の枝には《毒》の効果で麻痺毒を付加してあった為、角兎は痺れて動けなくなった。


グシャリ。


動けなくなった角兎の頭部を踏み砕く。


これで俺の勝ちだ。


それと同時に身体に力が漲る。

なんだなんだ、と思い自分のステータスを確認することに。



名前:フルート

種族:《幼生虫人》

レベル:2

職業:【隠密者Lv2】【薬剤師Lv1】

スキル:《毒》《索敵》《隠密》《分析》



自分のレベルと職業レベルが上がっていた。おそらく、角兎を倒したことが原因だろう。

【薬剤師】のレベルが上がっていないのは、生産職業のレベルは生産行為を行わないと上がらないからだと思われる。

この辺りは《竜騎士物語》と同じ仕様らしい。



角兎の角だけは根元から折って回収しておく。

木の枝よりはよっぽどマシな武器になりそうだ。余ったら【薬剤師】のレベル上げに使えるし、無駄にはならない。


「ゴハン」


アグルが期待の眼差しで俺を見る。

触角もヒラヒラと揺れていて、なかなかに可愛いかもしれない。

所謂、キモカワイイという奴だ。


まぁ、そんなことはどうでもいい。


重要なのはこの角兎の死体をどうするかである。半分はロメルダに献上しなきゃならないという話だけれど、さて、どうしたものか。


う~ん。よし、決めた。こいつは全部食べて、二匹目の奴を丸ごとロメルダに渡せば良いだろう。


しかし、獲物の半分は渡すなんて、狩った獲物の数は自己申告にも等しいんだから誤魔化してもどうにかなる気がするな。

いや、もしかしたら、嘘をついたら分かるのかもしれない。

とりあえず、帰ったらそのあたりはどうしているのかロメルダに直接、聞いてみることにしよう。


今回はとりあえず、嘘は吐かない方向で。



「ほら、食えよ」


アグルとフィンに角兎の足だけをもぎ取ってから、足以外を渡す。俺が注入した毒はもう抜けてるはずだから、食べても安全だ。

まぁ、抜けてなくても麻痺するだけだし、そんなに心配する必要もないか。


あまり、詳しい描写は避けさせてもらうが、兎を生で食う光景というのは、なかなかにグロい。

だが、なぜか俺はグロいことにはそこまで慣れていない筈なのだが、余裕で堪えられる。

これも転生による影響だろうか?


 あと、角兎の肉はとっても美味しかった。少し筋っぽいけど、全然許せるレベル。

 できれば焼き肉にしたかったが、贅沢は言えまい。



食事も終わったので狩りを再開する。

この辺りには魔物が多いのか、《索敵》に反応が多数現れている。

途中で、薬草なんかを摘みながら、一番近くの反応があった場所へ行ってみることにした。


息を殺しながら音を立てずに道無き道を進む俺達三人。


「アグルとフィンはここで待機してろ」


これ以上獲物に近付くと《隠密》が使えないこいつらだと見つかってしまう可能性が高い。

角兎程度なら問題は無いのだが、残念ながら《索敵》では敵の強さまでは分からないので、やはり俺が先に行って様子を見るべきだろう。







という訳で、単身で様子を見に来た訳だが。


これは無理だな。


《隠密》により気配を消して、藪の中に隠れながら敵を観察する俺。


対象は大きな猪。


どれくらい大きいか、というと高さだけで俺×3くらいの大きさ。

多分、全長3メートルくらいだと思う。


《分析》を試みるも失敗に終わる。

つまり、格が違うって訳だ。俺達ではかないそうもない。


こいつは諦めた方が良いな。

俺は大人しく、二人の待つ場所に戻ることにした。


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