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プロローグ2

《竜騎士物語Ⅱ》それは剣と魔法を駆使して魔物を倒し、最強を目指すというゲーム。そして、俺が今から始めようとしているVRMMOでもある。


《竜騎士物語Ⅱ》はフルダイブシステムを搭載した近未来型のゲームだ。

《竜騎士物語Ⅰ》から、俺はこのシリーズにハマり、続編である《竜騎士物語Ⅱ》も当然のように購入した。

そのサービス開始が今日の12時から。

だから、俺は今、サービス開始を今か今かと待ちわびているわけだ。


時間があるので《騎士物語Ⅱ》の説明でもしておこう。

 このゲームは職業レベル制である。

最初に決められる職業は二つまで。課金なんかすればその限りでは無いのだけど、サービス開始時は課金できないし、そもそもで値段も高いから、俺は課金する気はない。

職業の他に、スキルも四つまで決めることができる。

《竜騎士物語Ⅰ》では、ボスを倒すごとに新しく空きスキル枠が追加されたが、《竜騎士物語Ⅱ》ではどうなるか分からない。


因みに、俺が決めたステータスはこんな感じだ。




名前:フルート

職業:【隠密者Lv1】【薬剤師Lv1】

スキル:《毒》《索敵》《隠密》《解析》




 職業とスキル、それぞれの効果は


 【隠密者】効果:暗器の上達率微小上昇。暗器の攻撃力微小上昇。隠密効果上昇。俊敏微上昇。

 【薬剤師】効果:ポーションを初めとする様々な薬を製造可能。


 《毒》効果:毒を精製し、攻撃時に対象に毒を蓄積させる。

 《索敵》効果:周りにいる敵、及び見方の位置が脳内マップに表示される。敵は赤、見方は青の点。

 《隠密》効果:敵からのヘイト上昇率を下げる。

 《分析》効果:対象のステータスを見ることができる。


 と、こんなところ。


俺はしばらくはソロプレイをするつもりなので、スキル《索敵》《隠密》は必須だ。更に【薬剤師】のことを考えたら、生えている草木の効果や名前がわかる《解析》も必要だろう。

《毒》は俺の好みの問題で《竜騎士物語Ⅰ》で、かなりお世話になったから今回もお世話になろうかなというわけ。


さて、と。そろそろ時間だ。


久々の《竜騎士物語》の世界だ。もうワクワクが止まらないね。


俺はゲーム機のスイッチを入れ、意識を電脳世界へと移した。


が、そこで思わぬ不都合が発生。


 ――なんだなんだ!?


まるで、洗濯機の中に入れられたような、そんな感覚が俺を襲う。

いや、実際に洗濯機に入れられたことがある訳ではないから、分からないけど、フィーリングとしてはそんな感じ。


などと冷静に分析している場合ではない。とにかく気持ちが悪い。

魂が引き裂かれるような、何か不純物が自分の身体に入り込むような感覚が断続的に続く。


――やべぇ、死んだな。


そう思った瞬間、俺は意識を失った。




 ◆ ◇ ◆ ◇




――あれ?俺はどうしちまったんだ?


最初に感じたのは風だった。

身体を撫でるように過ぎ去っていく風。随分と心地良い。


「生まれたのね」



――誰だ?



俺を呼ぶ声。声色からして女性。多分、若い。

とにかく、一目見てみたい。そして、俺がどうなってしまったのか確認せねば。


「ダれダ?」


あれ?なんだ、この濁声は?

俺から発せられた声なのは確かだけれど、俺とは似ても似つかない声だぞ。


「私の名前はロメルダというわ。あなた達の女王よ」


女王、女王ねぇ。確か前に来た迷惑メールで、職業は夜の女王とか言ってた人がいたな。

この人も似たような人なのだろうか?

そしたら、かなり早くこの場を離れたいのだが。


視界が無いと話にならないので、頑張って目を開ける。

頑張らないと目が開かないというのもおかしな話だが、そうなのだから仕方ない。


「マジか!?」


ロメルダさんは超美人でした。


いや、本当に。大人な女性って感じ。そんな中にもあどけなさが残っていて、最早、その容姿は反則だと言わざるを得ない。

触角と翅が生えてることなんて些細なことだと思える程に、ロメルダさんは美しかった。


「あれ、何で翅!?」


声の調子は戻ってきたが、頭の回転は戻ってないらしい。

流石に翅と触角はおかしいでしょ。


「面白い子。普通は私が何者で、自分が何者かは知って生まれてくる筈なのよ。まぁ、私も知識としてしか知らないのだけれどね。

 何せ、私も配下を生み出すのは初めてだから。」


自分が何者か?

そうだ、俺はどうなってしまったんだ?

ゲームを始めようとしてゲーム機の電源を入れて精神がイかれたとこまでなら覚えているんだけど。


とりあえず、身体が透けてないか確認してみる。

透けてたら大変だ。俺は幽霊に成ったってことだから。


「はぁ!?」


いやいや、自分の身体を見てビックリさね。

俺、なんか気持ち悪い生き物になってるんだもん。


「なにこれ?」


見た目的には《竜騎士物語》に出てくるゴブリンとか言う生き物に似ている。

というのも、丁度隣の卵から現れた奴がそんな容姿だからだ。

が、額に角の変わりに触角が生えている。


 一度、辺りを見回してみる。薄暗い洞窟のような場所にどうやら俺はいるらしい。そして俺の周りにはたくさんの卵がところ狭しと並んでいた。



「あら、第二生も誕生したわね」


「ア、ア、ア」


隣のは俺よりも体格は大きいようだが、知能が残念なようだ。

いや、それは俺が特別なだけか?


 てか、どうなってるんだ?


 運営側の手違いで俺のデータと魔物のデータが混ざったのかもしれない。


 いや、それはないか。明らかにこの感覚はリアル過ぎる。ゲームではこんなに視界はクリアではないし、感覚ももう少し曖昧だ。



「どうする?第一生君。あなた、喋れるみたいだし、私の喋り相手になってくれるなら、私が飼ってあげても良いわよ」



なんか、とてもエロティックに聞こえるのは俺の耳のせいでは無いはず。


「嫌だと言ったら?」


「別に構わないけど、あなたには食糧調達の為に狩りに行ってもらうことになるわよ?」


もう、何が何だか。全てがいきなり過ぎて頭が着いていけない。


「1日だけ、考えさせてくれ」


「良いわよ。どちらにしろ、1日は待たないと狩りには出られないもの。

 こっちにいらっしゃい。」


 立ち上がると、案外、身体は丈夫そうなことが分かった。

ロメルダに着いていくと、綿のような物が重なったベッドがあった。

明かりは所々の隙間から入ってくるから、辺りはそんなに暗くはない。


 壁をよく注視してみると、木であることが分かった。

 どうやら、ここは木の根の隙間にできた空間らしい。

 根っこでこんなに大きいのなら本体はどれだけ大きいのだろうか?




「ここで眠るといいわ」


 ロメルダが綿のベッドを指差す。

お言葉に甘えてベッドにダイブ。


「私は他の子のお世話をしてくるわ。よく考えておいてね、第一生くん」


 どうやらベッドでエロティックな展開にはならないらしい。残念だ。


さて、そんな馬鹿な思考は駆逐して、明日まで俺はじっくり考えなくてはならない。

俺に何があったのか、そしてこれからどうするべきなのか。


今夜は眠れそうにないな。


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