好きだから
残り数話になってきました。
それでも変わりそうのない更新速度……
奴を呼び出すのに、何も姑息な手はいらなかった。俺が呼べば、魔界だろうと地獄だろうとやって来るからだ。
「ユーリ!!」
「そっから近づいて来たら、容赦なく消すからな」
「ひどっ!!で?俺に用って何?魔界から呼ぶからビックリした!それで、いつにする?」
「……なんの?」
「俺とユーリの結婚し……ぶっ!?」
勝手に話作んな!!全く、手をださないようにはしようって思ってたのに、ものの数分でダメか。
「でもさ、じゃあなんでユーリの契約者いるの?」
「お前、やっぱ馬鹿だな。残念な頭は、昔からか」
「さっきからひどいー」
「……ルーク、俺はお前との許婚関係を解消する」
残念な頭を持つと、すぐには理解できないらしい。しばらく、ぽけっとしていたが、理解できたのかハッとして俺の方を見てきた。
「ユーリ冗談はやめてよ」
「冗談じゃないよ。俺が好きなのはお前じゃない……」
唇が震える。胸がバクバクして息苦しい。でもいつまでも、この気持ちから逃げてるわけにはいかない。
向き合うのは今しかない。
「それに……俺の大事な人苦しめた。そんなお前を、もう許せない」
「何言ってるのかわかんないよ」
「8年前……お前、人間を殺しただろ」
「8年前?あーそうかも。餌をさがして俺も人間界行ったとき。それとユーリに関係ないでしょ?」
「……その人間は、啓太の家族だ」
その言葉を聞いても、奴は顔色を変えなかった。聞いた直後はちょっとだけ驚いてたけど、今はそれもない。いつもと変わらないその表情。なんで、そうなんだよ。
「へぇー、あ、そうなんだ。そんな昔の事すっかり忘れちゃってるね。はは、おいしかったかもわかんないや。え、なに?そんなつまんないことで、俺呼んだの?えーなにそれー。それよりさ、せっかくだし魔界デートしようよ、ユーリ」
「ッ……ざけんな!!」
「優里!!よせ!!」
昔からって言うか、許嫁として紹介されたときから気に食わない性格だなとは思ってたけど、今日はもう我慢できない。自分を抑えられない。傍にいた啓太がとっさに俺の肩を掴んで引きとめてくれなかったら、たぶん俺はルークに攻撃してた。
「ていうかさー、さっき許嫁解消?とか言ってたけど、できるわけないじゃん?ユーリにそんな人できるなんて思えないし―。俺よりいい人いないよ、ねー?」
「うぜぇ、それ以上口開くな。お前に理解してもらいたくないから、信じてもらわなくて大いに結構だし。それに……いるから、好きな人」
「誰?」
「啓太」
「は?」
「っへ?」
恥ずかしくて、このまま消え去りたくて、でもそうもいかないからうつむいた。そして隣にいた啓太のTシャツの裾を握りしめる。あたりは静寂に包まれてたが、近くに潜んでいた司法局員がルークを連行して行くときは、少々騒々しかった。
というか、何故二人きりで放置するのかわからない。俺もついて来たかった。Tシャツつかんじゃったけど、今は無性に離れたくなってるんですけど。でもそのタイミングのがしちゃった気もする。今さらですが、どういたらいいわけ?
それに俺告白しちゃったわけですけど?何で啓太は「っへ?」って言ったっきり、何も反応しないんですか?どぎまぎすぎて敬語になっちゃってますよ?啓太さん、何かしゃべってください。この無音状態が何気に嫌です。
「っく……ハハハ……ぶっは!!」
「ふへ?」
すみません。いくらなんでも爆笑はしなくていいです。むしろ何で爆笑?
「やっべ腹いてぇ……つかむり、我慢できないっ……ブッ……」
「け……啓太?」
え、なにこれ。俺何で笑われてるの?一世一代の告白したんだけど、やばい涙出てきた。
「うおっ!?何で泣いてんだよ」
「笑ったから……俺まじめなんだよ……。ほんとのほんとに、啓太が好きなのに。なのにそんな笑わなくたっていいじゃんかぁ……」
「お前ってさすっげえもの好きなんだなって前から思ってたんだけどさ」
「何いきなりっ……」
「改めてそう思う。俺なんかのどこがいいわけ?」
「ぐすっ……全部」
これは即答できる。肉まんよりも大好きで、絶対に欠かせない。
「言うと思った。そして、改めてやっぱり……お前もの好きだよな」
「さっきからなんなのさぁ……」
「しょげんなしょげんな。好きなものには直球でくるんだよなお前は。そういうお前好きだよ」
「むぅ……ん?え……え?」
「ほら帰っぞ。俺腹減った」
そういえばぼくもおなかすいた……って、そんなんじゃごまかされないぞ!!待って帰んないでよ!!てか、置いてかないでよ馬鹿!!




