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赤い雫の誘惑  作者: 朝比奈 黎兎
第Ⅰ章
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化学はだめなんだよ

 

 公立浪江高校。通称、浪高。俺がそこに転校してきたのは、今年の春。因みに今は梅雨真っ盛り。ま、今日は晴れてるけど。校則はへんなとこ厳しい、まぁ平凡な高校かな。

 梅雨晴れのこの日は、真夏日かと思うほど気温が高い。たぶん30度は超えてるきがする。透明の下敷きは必須アイテムだ。あちこちで扇ぐ生徒が見える。

 注意はされない。こんなとこは緩い。


「お前、手が止まってるぞ」

「何言ってんだよ、ちゃんと書いてるだろ?」

「左手……風来ないぞ」


 左手って……下敷き持ってる手?


「啓太……自分で扇げよ!!」

「身長差でお前の上から風来るんだよ。いいじゃん、いま流行りのエコだよ」

「エコ違うし。俺ちびしゃないし」

「173は俺からしたらちび」


 俺からしたらって、179じゃないっけ?たった6cmじゃんか。

 仕方なく、俺は啓太にまで涼しさを分けてやった。仕方なくだからな。

 英語のよくわからない授業も終わり、次は化学だ。さっきから噂の先生に関する予想や、噂でクラス内は賑やかだ。特に女子。まぁ男の先生で男子が賑やかになるのも異常なんだよね。この世界じゃ。


「今日の化学は楽そうだな」

「あー、先生の自己紹介とかで終わるから」

「ま、その後にどれほど化学の知識があるか、なんて小テストあったりしてな」

「はぇ!?やだ!!そんなのやだぁ!!」


 俺のそんな声とチャイムが鳴るのは、虚しくも同時だった。そして開くドアとともに入ってきたのは、俺より濃い金髪の男だ。新しい化学の先生だな。当たり前だけど。


 白いシャツにすらっとした黒いパンツ。ネクタイすらきっちりしてるけど、その見た目からか真面目な雰囲気は伺えない。


 その教師がクラスを見回す。俺の方を向いたとき、偶然目があった。その瞬間、体を何かが走った。ぞくりとした、嫌な感じ。思わず両肩を抱き寄せたほどだ。


「えー、皆はじめまして。日向先生が産休に入られるため、その代わりにしばらくの間だけど、俺が化学の授業を受け持つよ」


 そういって、その先生は黒板にすらすらと自分の名前を書いていく。


皐月憐こうづきれん。よろしくな」


 ぱっと見じゃ読めない名前だな。「さつき」だったら読めるけどさ。しっかし、達筆だな。俺黒板に書くと絶対下手っぴだからな、先生って字が上手いのが必須なのかな。


「で、さっそくだけど。みんながどれほど化学に付いてできるのか知りたいから、簡単な問題用意したからな」


 そういって、皐月先生は一人ひとりその問題を配ってく。なんでも顔と名前を一致させたいかららしい。啓太なんか、まだクラスの半分も名前覚えてないって知ってる?せいぜい数人なんだぞ。

 啓太に配り終えた次は俺。何となくさっきの事もあって、顔を合わせたくなかったけど。顔をそむけてるのも不審だから仕方なく顔を合わせた。なんか整った顔してるな。ホスト行けよホスト。何で教師だ。


「玖月優里……ね」

「?俺、がっかりする位、化学できないよ」

「くす、だろうね」

「はぁ?」


 何それ。化学できない顔してるとでも?どんな顔だ!!むかつくなあいつ!!

 むかつきつつ、それじゃあ問題といてやろうじゃんとその問題を見て俺は固まった。そこに書かれた文字は日本語じゃなかった。日本語でもなければ、英語でもイタリア語でもない。つか、俺イタリア語知らない。とにかく、この世界には存在しない文字だ。でも、俺にはわかる。というかそもそもこの文字が俺の母国語?みたいなものだ。

 ほかのもそうなのかと俺はすぐ後ろの啓太の問題を覗き込む。


「おい、カンニングどうどうとしすぎだろ」

「カンニングするまでもないけどね!!」

「は?」

「そこー、カンニングはだめだぞー」


 だから、カンニングしたって0点だろこれ!!啓太のは普通だ。酸素の化学式は?とか俺にはちんぷんかんぷんな問題だ。俺だけこんな変な問題……。

 ふと、教壇にいる皐月をチラ見する。まさかあいつ……俺の事知ってるのか。そしてあいつも……関係者なのか。


は見つかったかい?  親愛なるユーリ様』


 そんなのが書かれた問題用紙。何が親愛なるだ。どこの誰だか分かんねーけど。知り合いに皐月なんかしらねー……思いつかないけど、親愛なるなんて言われる知り合いいないんだよ。


『大きなお世話だ馬鹿ヤロ――――!!』


 でかでかと、シャープペンでそう殴り書いたのはいうまでもない。



 そして、それが原因で、俺は放課後そいつに呼び出しをくらった。

皐月先生はこれからきっとこの話をかき乱してくれるはず……


そして多分、やつのせいで私はスランプに陥る気が、今からしてますw

そうならないよう頑張りますよ。

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