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4日目 会話

注意。ぐだってます。

「ひ……久し振り……。」


「………。」


うっ、き、気まずい。



今、俺とレイラは食卓テーブルにて、向かい合って座っている。


「………。」


レイラは明らかに俺を睨んでいる。怖い。


レイラは魔人である。この世界の魔人は黒髪で鋭い紅目であるという特徴がある。そのためじっと見つめられたりすると睨まれている様で怖い。本人いわく睨んでいるつもりは全くないとのこと。


でも、今のレイラは完全に怒ってるよな……。怒気を感じるもの。


「……あのーレイラさん?」


恐る恐る声をかけてみる。

今、レイラのこめかみがピクッて動いたよ!ひゃー怖い!


「……まず言うべき言葉がありますよね?店長(マスター)?」


今度はさっきからいっぺんして微笑みを浮かべたレイラ。

でも目が笑ってないんだけど!?


とりあえず何か言わないと!


「……ごめんなさい……?」


ニコっというような効果音と共に一層笑みが深くなったよ!?

どういうこと!?違うってこと……!?

ああもう、どうすればいいんだ!


「………。」


レイラ は ニコニコ わらっている ▽


リンナ は どうする ? ▼


はなす

たたかう

どうぐ

>にげる


リンナ は にげだした ! ▼


ズササササッ


「あ、ちょっと!店長!?」


後ろから椅子のずれる音と共にレイラの声が聞こえたが無視して自室に駆け込み後ろ手に鍵を閉めた。


あーおそろしやーおそろしやー

レイラこえええ!

俺はレイラこそ魔王だと思う!あ、魔人の王なら魔王じゃん!もう魔王レイラで良いじゃん!

本当は魔人の王は闇王って言うらしいけどな!

闇属性に秀でている種族である魔人の王だから闇王って言うらしい。

因みに魔王は魔物達の王で大悪魔がなるんだって。


閑話休題。


勢いで逃げて来ちゃったけどどうしようか。レイラには色々聞かなきゃいけないこともあるし。


扉に寄りかかった状態で座り込む。


そもそも、忘れていたけどレイラは店番を任せていたただのNPCな筈なのだ。

いくらクオリティの高い《GOD HEAVEN》のNPCと言えども、あくまで店員だったレイラは居住スペースには入ってこなかった。ましてや店外で会うなんてことは有り得ない。

それがどうだ、外で再会した挙げ句に食卓テーブルで面と向き合って尋問(?)だなんて。


やっぱり、異世界なんだよな。


そういえばさっきはつい、久し振り、なんて言ったけど、よくよく考えてみれば《GOD HEAVEN》内では今日(・・)も会っている。別に久し振りでもなんでもないじゃないか。まあ、日付が変わってなければの話だが。



コンコン。


ノックの音が扉に寄りかかっていたせいか頭に響く。


「店長、あの怒ってませんから出てきてください……。」


レイラの若干沈んだ声が扉の向こうからした。


「私は、おかえりなさいが言いたかっただけなんです。」


え……と、つまり?

もしかして、


「ですから、いつも通り一言言って下されば良かったんです。」


ただ、ただいま、と言えばよかったということかあああああ!?


「ただいマンモス、と。」


レイラさん、俺そんなこと言ったことないです。



所変わらず、再び食卓テーブル。

俺とレイラは向かい合っていた。


「店長、先程はすみませんでした。」


「いや、良いって。ただいま、なんて基本的な言葉を忘れていた俺が悪いんだし。」


「そう、ですよね。私に非があるわけないですもんね!」


いやいやいや、それは違うと思うぞ。

っていうか、レイラってこんなキャラだったけ。

もっとクールなイメージだったんだけど。


そんなことより。


「なあ、レイラ。最後に会ったのっていつだったけ?」


「ちょうど二百年前の今日です。」


「……え?」


今、耳を疑うような言葉さらっと言われた気がした。

うーん、今日は耳の調子が悪いなー。


「店長の耳は正常です。」


こやつ心読みやがったでー。

レイラ……、恐ろしい子!


「ですから二百年振りの再会ですね。」


どうして、そんなに冷静なんだ?

二百年だぞ?


「まあ、たった二百年でしたから苦痛でもなんでもありませんでしたけど。店長が帰ってきて良かったです。」


魔人の時間間隔を舐めていました。



俺の種族であるエルフは長寿の種族として有名だが、それでも数百年が限度。数億年生きると言われる魔人から見たら二百年は一瞬の出来事なのだ。

「そうか、短いのか二百年って……。」


俺まで時間感覚が狂いそうだ。


「店長、虚空を見つめて(死んだ目をして)どうしたんですか?」


ルビはスルーしよう。


「大丈夫、通常営業だ。」


「ならいいんですけど。」


訝しげな目で俺を見ながらレイラはそう言った。


「俺の居なかった二百年にあったことを教えてくれないか?」


「はい。店長の居なくなった日……えーと《黄金の日》でしたっけ?に世界から店長みたいな人……プレイヤー?って言うんですか?のうち十分の一の人々が消失しました。店長も。」


レイラからさらっと出て来た言葉に再び驚きを隠せない。


な……に……そんなに“黄金の秘薬”調合に成功した人が居る……だと。


驚くべき場所が違うって?いやいや、これは重要なんだぞ?十分の一もの人が手に入れたなんて言ったらSSS(トリプルエス)の価値がないじゃないかああああ。


閑話休題。


レイラの言葉を反芻してみる。プレイヤーが十分の一消えた、か。レイラの口振りから察するにログアウトではなく文字通り消失したのだろう。恐らく消失した原因は“黄金の秘薬”。そして、俺以外のプレイヤーもこの世界に居る可能性があるということを意味していた。


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