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黒の魔女  作者: 羽月
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ビル登場

朝から壊れそうな勢いで扉が叩かれ、まだ睡眠が足りていない私はイライラしながらも扉を開けた。


「りーファー!!おまっ!!どういう事だよ!なんでまたばれてんだよ!!」


「・・・・・・うるさい」


バタンと締めれば再び激しくドアが叩かれる。


「おい!!ちゃんと説明しろって!!」


どうあっても、私の眠りを邪魔したいらしい。


「・・・dfけksf」


「うおっ!!」


扉の外で唸り声を上げる声が聞こえた。


「これで静かに眠れる・・・・」


もそもそと再びベットに潜り込もうとすると、布団をルーシーに取り上げられた。

いつの間に居たのか・・・。


「・・寒い・・・・」


ブルっと身震いをして、両手で自分を抱き込むようにベットの上で丸まる。

どうして、今朝はこんなに寒いんだろう。


「りーファー!!あれどうにかしなさい!!うるさいったらないのよ!!」


朝から元気なルーシーに思わず耳をふさぐ。


「・・・カエルにした」


「・・・は?」


「・・・もう、カエルにしたから静か。・・・・おやすみ」


ルーシーの手から布団を取り戻すと頭までかぶり就寝。

かと思いきや再び布団がめくられる。


「りーファー!!昨日もあれだけ魔法をむやみやたらに使うなって言ったでしょ!!今すぐ元にもどしなさーい!!」


もう・・・朝から散々だ。

ルーシーがキレると朝食がなくなってしまうので、しぶしぶキレられる前に玄関に向かい扉を開ける。

ぴょんぴょんと跳ねるカエルが未だにそこにいた。


「えdぇrf」


するとぽんっと音が聞こえ、黒い煙が沸き立った。


「りーファー!!」


「うるさい。あっちいけ」


しっしと手で払い扉を閉めようとすると、ガシリと扉を掴まれた。


「とにかく入れろ。寒い」


そういうと勝手に部屋へと入っていく。

はぁーっと溜息をつきながら私もしぶしぶ奴の後に続いた。


「ビル!!うるさい!もっと静かにしてよ!近所迷惑じゃない!」


部屋に入るなり今度はルーシーの怒鳴り声が聞こえる。

朝っぱらからなんでこの2人はこんなに元気なんだろう。

そんな事を考えながら、私は再び自分の部屋へ戻ろうとした。

が、ビルに腕を捕まえられた。


「わりぃわりぃ。だって、またバレタって聞いて、いてもたってもいらんなくてさ。…りーファー、逃げんなよ」


前半はルーシーに、後半は私に話しかけている。

逃げるなって言ったって、腕を掴まれていたら逃げようがない。

とにかく、私は眠いんだ。

どうして、こんな朝早くから起きなきゃいけないんだ。

じろりとビルを見上げるがビルはニヤリと笑ってこちらを見ていた。


「言っとくけど、もう10時だ。朝早いなんて時間じゃねーぞ?」


・・・私にはまだ朝早い時間だ。


「そうよ、りーファーいい加減起きなさい。ほら、すぐに朝ごはん用意するから」


そういわれ、しぶしぶ食卓につく。


「・・で、なんでばれたんだよ」


「知らない」


「は?知らないって、お前またどっかで魔法つかったんじゃねーのかよ?」


「使ってない」


「なら、なんでバレるんだ?白のやつに会ったとか?」


「会ってない」


「・・おかしいなぁ。お前、前もそんなんじゃなかったか?」


「・・・・」


「誰かに恨み買ってんじゃねーの?」


「・・・・今、あんたを恨んでる」


「・・・・なんでだよ」


「うるさい。とにかく、うるさい」


両手で耳をふさぐ。

いつの間にかちゃっかり隣りに座っているのもめんどくさい。


「はいはい、あんたたち朝から仲いいわね。ほら、朝食よ。もうこんな時間だし、お昼ごはんも一緒でいいわよね?」


どんっと目の前に美味しそうな食事が運ばれてきた。


「いただきます!」


一口パンをかじると目が覚める。


「ほんっと、食事のときだけは生き生きしてるわね」


くすくすと笑いながらルーシーは再び台所へと戻っていった。


「・・・なぁ、今度はどこに行くんだよ」


隣りで肘をついてこちらを見ているビルはぽつりとそう言った。


「ん、もごもごもごもごもご」


「そっか、アルバーナか・・・」


・・・わかったのか。

口いっぱいに食事をほおりこんでいる私の言葉がわかるとは・・・。


「ちょっと遠いから、一緒には行ってやれないな・・・・」


ぼそぼそと何やら独り言を言っているようだ。

まぁ、アルバーナは歩いていくには遠いしね。

私たち魔女には魔法があるから距離なんて関係ないけど、男に魔力はない。

そもそも、黒の魔女は忌み嫌われているのにもかかわらずビルがここに一緒にすんでいることが間違っている。

でも、ビルは幼いころに両親から捨てられ、今のビルのママ(黒の魔女)に拾われ育てられた為か、私たちを嫌う人間や白の魔女を憎んでいる。

いくら、元のあるべき場所へ帰れとビルのママが諭しても全く言う事をきかず、ずっとここに住んでいるのだ。


「だいひょうぶ・・・。びるがいたひょうがじゃま」


もぐもぐと口に入った状態でビルに返事をすると、ビルも困ったように笑う。


「邪魔ってひでーな」


ビルは私の頭に手を載せぐしゃぐしゃっと髪を掻き乱した。


「じゃ、また後で来るからそれまでに着替えとけよ」


そう言うと、ビルは足早に我が家を後にした。



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