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忘れられない歌

音楽室は夕日の温かい光に包まれていた。空気は楽譜の埃と、思い出の匂いが漂っていた。マヤは静かに集中してギターのチューニングをし、タクミは部が設立された当初から共に歩んできた、黄ばんだ楽譜を並べていた。

レンはおもちゃのマイクをトロフィーのように掲げて入ってきた。


「今日は僕がリードボーカル!」


カナは諦めたような表情で、しかしどこか笑みを浮かべながらレンを見た。


「レン、そのマイク、壊れてるよ。」


ハルナは手書きの歌詞がびっしり書かれたノートを開いた。


「僕たちが結成当初から歌ってきた歌を歌おう。笑ったり泣いたり…そして成長させてくれた歌を。」


サヤカは恥ずかしそうに、歌詞にできそうな詩が入ったファイルを取り出した。エミは興奮気味に、色とりどりのライトで「魔法のような演出」を試みたが、結果は派手というより滑稽なものだった。


その日、二人の新メンバーが現れた。マヤの妹でバイオリンを持ったヒナタと、タクミの隣人で地元のバンドでドラムを叩いているリョウヘイだ。二人はリハーサルに参加し、グループに新鮮な風を吹き込んだ。



午後は突如コンサートへと変わった。マヤとヒナタのギターとバイオリンのデュエットは、サヤカの目に涙を誘った。


タクミとリョウヘイの即興のリズムセクションは、部屋中にエネルギーを満ち溢れさせた。


レンはオモチャのマイクを手に、情熱的に歌い上げ、皆は笑いと拍手を送った。


ハルナは詩を朗読し、それが歌詞へと変化していき、エミは光の演出でそれに彩りを添えた。


ナオはカメラでその瞬間を捉え、ミユはまるでスタジアムで歌っているかのようにレンの似顔絵を描いた。カガミは曲の合間に芝居がかったセリフを朗読し、ユイは音楽に導かれるかのように優雅に踊った。


そして、日が沈む頃、マヤは密かに作曲していたメロディーを奏でた。その歌は、共に過ごした午後、廊下での笑い声、そして言葉にされなかった約束を歌っていた。皆は静かに耳を傾け、胸に込み上げてくる感情に浸っていた。


ハルナは静かにこう締めくくった。「忘れられない歌ってあるよね。ただの音楽じゃないから。歌い継ぐ思い出なんだ」


グループは静まり返った。たとえクラブがなくなっても、あのメロディーは自分たちの心の中にずっと残るだろうと、彼らは分かっていた。

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