学校の朝の影
教室は半分空いていた。涼は先に教室に入り、リュックサックを机の上に置いて窓の外を見つめた。空はまだ灰色だった。
レンが早足で現れた。
レン:「リョウ!もう来たの?遅刻すると思ってたよ。」
リョウ:「雨の音で早く目が覚めたよ。」
レン:「俺は逆に、眠れなくて。今日はどうしようか考えてたんだ。」
さやかが壊れた傘を持って入ってきた。
さやか:「見て!風でぼろぼろに破れちゃった。今は雨の中を何事もなかったように歩き回らなきゃいけないんだ。」
ミユが顔を上げた。
ミユ:「レンに貸してもらったらどう?」
レン:「だめ!私のも半分壊れてる。」
隅からハルナが落ち着いて言った。
ハルナ:「シェアすればいいよ。そんなに難しくないよ。」
さやか:「シェア?レンと?びしょ濡れになるよ。」
レン:「おい!」
教室に笑い声が響いた。
リョウ:「天気が本当に僕たちに不利に働いているね。」
サヤカ:「天気だけじゃないよ、学校のせいだよ。いつも寒くて、いつもどんよりしてる。」
ミユ:「今週ずっと雨が降るらしいよ。」
リョウ:「それなら運動会の練習もできないね。」
サヤカ:「その方がいいよ。凍えずに済むし。」
レン:「いや!遊びたかったんだ。雨は何もかも台無しにする。」
ハルナ:「何もかも台無しにするわけじゃない。雨が静けさをもたらすこともある。」
レン:「君はいつも詩的だね。」
ハルナ:「詩じゃない。僕の気分だよ。」
時計は7時20分を指していた。外では、生徒たちが傘をさしたまま中庭を横切っていた。
サヤカ:「今日は何かいつもと違うことをする?」
リョウ:「例えば何を?」
サヤカ:「わからない…ゲームとか、何か時間をつぶすもの。」
レン:「うん!カード持って行くよ。」
ミユ:「カード?授業中に?」
レン:「先生が来る前にね。」
レンはリュックサックからトランプを取り出した。
レン:「さあ、早く。1ラウンド。」
リョウ:「バレたくないから。」
サヤカ:「もしバレたら、レンのアイディアだったって言うわ。」
レン:「裏切り者!」
ハルナは優しく微笑みながら見ていた。
ハルナ:「1ラウンドくらいなら大丈夫。」
二人はテーブルを囲んだ。カードが配られた。雰囲気が変わった。笑い声、冗談、ルールに関する些細な議論。
ミユ:「また勝ったね、レン!」
レン:「明らかに私が最強だよ。」
サヤカ:「違う、ズルしてる。」
レン:「ズル?絶対ないわ!」
リョウ:「バレないことが大事だ。」
ベルが鳴った。皆は慌ててカードを片付けた。先生が教室に入ってきた。教室は静寂を取り戻したが、生徒たちの活気は依然として残っていた。
春菜は心の中で思った。「どんなに退屈な日常でも、彼らは何か火をつけるんだな。」




