午後のノスタルジア
静かな午後は、懐かしさを分かち合うひとときへと変わる。春奈は友人たちと交流し、声に出して考えを巡らせ、日常の中にも慰めとなる静寂があることに気づく。
太陽が沈み始め、街はオレンジ色に染まっていた。ハルナはレンとアオイに付き添われ、学校の近くの通りを歩いていた。涼しい夕方の空気は、前日の祭りの喧騒とは対照的な静けさをもたらしていた。
「不思議ね」ハルナは歩道に伸びる長い影を見ながら言った。「今日は何もかもが静かになった気がする」「祭りの余韻だからね」レンは疲れた笑みを浮かべながら答えた。「あんなに騒がしかった後だから、静けさがより一層強く感じられる」アオイは歩きながら優しくボールを蹴った。「この静けさがいい。まるで休息みたい」
二人は公園のベンチで立ち止まった。リョウは既にそこにいて、本を読んでいた。彼は顔を上げて、軽く挨拶した。「ここで何をしているの?」「ただ歩いているだけよ」ハルナは答えた。「午後を楽しもうと思ったの」
一行はベンチの周りに座った。雰囲気が違っていた。笑い声や駆け引きはなく、誰もが声のトーンに気を配っているかのように、穏やかな会話が交わされていた。
「親善試合のこと覚えてる?」
「レンが沈黙を破って尋ねた。「ええ」と葵が答えた。「君たちが真剣にプレーするのを見たのは初めてだった…でも、長くは続かなかったけど」ハルナは小さく笑った。「あの試合はゴールというより冗談が多かった。でも楽しかったよ」
リョウは本を閉じ、空を見上げた。「時々、ああいう瞬間が一番長く続くと思うんだ。大きな出来事じゃなくて、小さな出来事をね。」
「今日の午後みたいにね」と春奈はベンチに頭をもたせかけながら付け加えた。
一行は数秒間沈黙し、ゆっくりと沈んでいく夕日を眺めた。公園は影に覆われ、街のざわめきは遠く感じられた。
「マヤとサヤカならきっと喜んでくれただろうね」と春奈は静かに言った。レンは頷いた。マヤはしゃべりっぱなしで、サヤカはジャケットを持ってきていないことを指摘するだろう。
「ええ」と葵は付け加えた。「でも、二人はここにいないけれど、そこにいるような気がする」
会話はより親密になった。心を支配していたのは悲しみではなく、懐かしさだった。それぞれが、もう学校にいない友達との思い出を語り合い、それらの思い出が午後の静けさに溶け込んでいった。
「おじいちゃんが昔言ってた言葉を知ってる?」と涼が言った。「午後は鏡のようなもので、心の中にあるものを映し出すんだって」と春奈は微笑んだ。
「だから今日は、懐かしさを映し出すのね」でも、悪い意味じゃない。優しい抱擁みたい。
一行は少し歩くことにした。広場を通り抜けると、祭りの屋台がまだいくつか撤去中だった。照明は消え、看板は半分落ちていて、まるで昨日の出来事が夢だったかのような気がした。
「不思議ね」と葵は言った。「何もかもがあっという間に撤去されてしまう」「そういうことよ」と春菜は答えた。「はかないものにも魅力はあるのよ」
蓮はボールを蹴り、ぎこちなくキャッチした。「はかない…まるで僕の目標みたいに」「お前の目標なんて最初からなかったんだ」と涼が冗談を言うと、皆が笑い出した。
午後が更け、空が紫色に染まった。一行は橋の上で立ち止まり、街が徐々に明るくなっていくのが見えた。春菜は欄干に手を置き、深呼吸をした。「この瞬間が好きなの。祭りでもないし、試合でもないし、別れでもない。ただ…ここにいるだけでいい。」「それも大切よ」と葵は言った。「シンプルなことを楽しむことを学ぶこと。」
レンは地平線を見つめた。「数年後、今日の午後のことを覚えていると思う?」「ええ」とハルナはきっぱりと答えた。「思い出すのに大げさなことは必要ないから。ただ一緒にいられるだけで十分よ。」
一行は最初の星が見えるまでそこにいた。言葉は必要なかった。懐かしさは仲間意識に変わり、その午後は共有された思い出へと変わっていった。




