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旧人類の所有物  作者: 白湯のお湯割り
第一章 : 旧人類 目覚める
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第1話 原石発見!

挿絵(By みてみん)


「開発資金が尽きました」


机に突っ伏しながら、リュミスはため息をついた。


目の前には、誰にも見向きもされなかった発明品の山。


その中の一つ——透ける布を手に取り、ぼやく。


「何も隠せないし、穴開ければ破けるし、染料もはじく。確かにこれは、ゴミですね……」


布屋に持っていったら鼻で笑われた。もちろん、まともに取り合ってすらもらえなかった。


「はぁ……明日にはこの家ごと差し押さえかぁ……」


積み上がる発明品の数々。どれもこれも、使い道がないと言われたものだ。


まるで——意思を持つアンドロイドの自分みたいに。


誰も見たことのないものを作りたかっただけなのに。世知辛い。


「せめて……この謎の石だけでも研究したかったなぁ……」


リュミスは、机の上の黒い球体を見つめながらぼやいた。


遺跡で見つけた、正体不明の物体。どこをどう調べても材質不明、解析不能。


——未知なるものに出会うのは、楽しい。何をするよりも。


「うぅ……明日から住む場所を探さないと……


お金が欲しいです……」


——リュミスが呟いたその時。


ビキッ……バキバキッ……!


球体に、ひびが走る。


「……?」


次の瞬間——。


パカァン!!!


黒い球体が割れ、中から蒸気とともに全裸の男が飛び出した。


「——ッ!?!?」


リュミスは硬直する。


男は床に膝をつき、荒い息をつきながらも、視線を彷徨わせた。


「……ここは……?」


ゆっくりと顔を上げる。そして、まっすぐにリュミスを見つめ——。


「……おい、俺を目覚めさせたのは、お前か?」


低く、しかし確かに熱を孕んだ声。


その目は、獲物を見つけた猛獣のように輝いていた。


「ど、どちら様ですか!?」


「フィン・エストレア。この世のすべてを手に入れる男だ。」


男は、ゆっくりと指をリュミスへ、そして布へと向ける。

そして——。


「原石があるじゃねぇか」


男の声が、部屋に響き渡る。


リュミスは、硬直したまま目を瞬かせた。


(え、待って……今、なにを……?)


生まれたばかりのような、服すら着ていない状態で——

最初に言うのが、それ!?


呆然とするリュミスをよそに、男の目は輝きを増していく。


「カハハ!そそるぜ、金の匂いがする……!」


(これ……やばい奴を起こしちゃったのでは……!?)

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