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Prelude
昨日、余命宣告を受けた。
そう、それはレコード盤
進めば最後、巻き戻せない針
レコード盤をセットしても、CDや電子デバイスのようにループ再生をすることは出来ない。それは死へとゆっくりに、だか着実に針は進んでゆく。
「僕が生きていた証はなんだ?」
陳腐でありふれた、アニメ台詞が頭でリワインドした。
しかし考えられずにはいられない。
自分が厨二病のイタイ奴だと分かっていても、その問いを止めることができない。しかし答えも浮かび上がらない。
生きていた証がなければ、そもそも自分が生きてきた事が証明できないのではないだろうか。
そんなことを考えていると、頭がぼんやりしてきた。
ずっと同じことを考えていた気がする。
昨日、死を宣告されてから、ずっと考えていたのだろうか。
いつものことだけど、ぼんやりすると少し記憶が飛ぶ。
これも病魔の足音なのだろうか。
時間がない。とにかく時間がない。
残り5日。
僕は記録を残すことにした。
生きていた証を探すために、このテープに吹き込むのだ。
僕のレコードを。