雷門麻兎は救われない。～僕と神様と人類無救済コメディズム～

　あてんしょんぷりーず！
　この物語は何処かで見覚えのある全く知らない誰か達が送る、普遍的退屈日常すとーりぃだ！

　魔法はなく、奇跡もなく、至って代わり映えのない平和な世界。
　そこで暮らす至って普通で平凡な少年──雷門麻兎(らいもんアサト)が主人公となる物語でもあるよ！

　そんな彼の傍にいる親友は、お節介の世話焼きな怒りん坊。
　出会すだけでも恐ろしいのは、綺麗な見た目をした苛めっ子の双子兄。
　他にも知っている人はいるにはいるけれど……如何せん“家から出ない”から余り知人と呼べる人は、そんなに多くない。

　今はまだ、ね。

　そんな、嘗てのとらぶるで引きこもりになってしまった哀れな主人公はある日、冒涜的かつ傾国的にトンデモ美人で超きゅーと！　な神様──金花(キンカ)と出逢ってしまう！
　そんでもって、祟り神でもある上に目茶苦茶に綺麗で！　麗しく！　そして尊大な、男とも女ともどっち付かずな愛すべき金花ちゃん様に“悪い事”をしてしまったのだ……！
　そしてそして！？　怒っても愛らしい金花ちゃん様に……な、な、なんと！　“取り憑かれ”てしまうのです！
　ああっなんと言う事でしょう！
　こんな悲しい事、きっと他にはないでしょうに！
　だってこんなに綺麗且つ可愛い金花ちゃん様に取り憑かれて仕舞うのだもの………光栄すぎて咽び泣きもきっと収まる事ないハズ！

「金花ちゃん様……誰と話してるの？」
「放っとけ放っとけ、あの“邪神”に関わると録な目に遭わな──」

　しゃらっぷ！
　神様を敬わない悪童はお仕置きだ！

「うげっやべ……うわああっ！？　誰だ此処にバナナの皮捨てた奴！！　道端に捨てるなゴミ箱に捨てろ！！」
「うわぁ、或駆(アルク)が物凄い勢いで転がってっちゃった……これも金花ちゃん様の、神様の力？」

　そうさ！　運も出目も金花ちゃん様の采配次第。
　賽の神様の手にかかれば突然の“ふぁんぶる”だってお茶の子さいさい！
　故にこそ！
　哀れな探索者達は金花ちゃん様──神様を楽しませるべく、面白可笑しな日常を歩むのです！

　この物語はそんな、退屈で愉快なお話なのさ！