表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

いざ、入☆浴!

 私は銭湯に入る時は出来る限り身を清めてから入ることにしている。20分かけて全身をくまなく洗い、湯船へGO!


 前回電気風呂だったところがシュワシュワ風呂になっている。ええやん。全身がピカピカツルツル(髪はフッサフサのフサだけどね)になった私は、滑らないようによちよち歩き、手すりに掴まりゆっくり湯船に足を入れた。


「ウギャース!」


 思わず私は叫んだ。熱い、熱すぎる。デジタルで表示された温度計を見ると、46℃となっていた。マジかよ⋯⋯46℃なんて入ったことないよ。仕方がないのでシュワシュワ風呂は諦めた。


 浴場を見渡すと、綺麗な青い海のような湯を見つけた。


『スカイミント風呂』


 メントールを配合した澄み渡った空のようなお湯をお楽しみください。と書いてある。海じゃなくて空だったのか。あ、でも、海が青いのって空が映ってるからって言わない? なので私もあながち間違っていないのでは?


 スカイミント風呂に入ると、とても爽やかな香りがした。温度が38℃と少しぬるいがまあ許容範囲だろう。


 湯船に浸かり、足を伸ばし、上を向く。天井の一部がガラス張りになっており、空が少し見える。平和だなぁ。あったかいし、眠たくなっちゃうなぁ。


 ザブン!


 ビッグボムのような人が入ってきた。もっと大人しく入れよ。この人の水しぶき(お湯しぶき?)が目に入ったせいで、さっきまで眠たくなってた目がギンギンに覚めちゃったよ。メントール配合って本当なんだね、すごくスーッとする。まるで目薬。


「うぃーす」


「ちーす」


 ビッグボムの友達らしき男がビッグボムの隣に入ってきた。ビッグボムだけあだ名があるのも不公平だな、なにか考えてみよう。そうだ、お前は『とても細い骨』だ。めっちゃガリガリなんよ。髪くらい細いぞ。ちなみに私はビッグボムが何なのかは分からない。なんかビッグボム! って感じの人なのよ。


「ここのマッサージどう?」


「まあ、下の中くらいかな。いや、下の中の下かも」


 ビッグボムととても細い骨が話している。私が1番聞きたくない話をなぜ隣でするんだ。天罰で2人ともちょんまげになってしまえ。んで龍に食われろ。


 目に入ったメントールが涙で薄まり、また目がとろーんとしてきた。まだ50分くらいあるし、少し寝てしまおうか。風呂で寝るのって危ないかな。まあ、他にもたくさん人いるし、大丈夫か。


 私はしばらく気持ちよく眠っていたが、案の定途中で溺れかけて起きた。めちゃくちゃミントの味がする。あと15分か、もう少しだけ浸かってから出よう。


 マッサージまで10分ほどになった頃、私はスカイミント風呂から上がった。なんということだ、1時間近く風呂に入っていたというのにめちゃくちゃ寒い! メントールのせいか! 風呂入って寒くなるって、1番ダメなやつだよ!


 私は震えながら体を拭き、ロッカーの前で着替えた。すぐに頭を乾かし、マッサージの場所へ向かう。中国人らしき女性が出てきた。受付の人はこの人のことを先生と呼んでいた。いいよね、先生って呼ばれるの。ロマンだよね。


 30分なのですぐ終わってしまうだろうが、最後なので楽しみたいところだ。下の中の下のマッサージ師よ、その力見せてみよ!


 うつ伏せ状態の私の背中をグイグイと押す先生。そういえばマッサージって受けたことほぼ無いな。肩凝ったこともないからなぁ。肩凝りっていう概念だけ知ってる状態なのだ。


 背中がかなり痛い。先生すごいな。この指の力があれば指相撲世界一になれるんじゃないか? いいなぁ。私も何かで世界一になってみたいものだ。先生が羨ましいよ。あ、違うな。私の妄想の中で世界一になっただけだったなそういえば。


 足もマッサージしてくれるのだが、これもめちゃくちゃ痛い。正直泣きそうになっていた。全身を激痛一色に染められ、最後に頭のマッサージをしてもらった。


 これがめっっっっっっっっ(´;ω;`)ちゃくちゃいっっっったいの! めっちゃくちゃ痛ったいの!


 私は小さい頃、頭に釘が刺さったことがあるのだが、それと同じレベルの痛さだ。でも釘は1箇所。この先生は30箇所くらい刺してくる。あまりの痛さに私は涙目になっていた。


「お疲れです」


「ありがとうございました」


 私はどんな時でも挨拶は欠かさない。これは人として当然であり、これが欠けた瞬間私は人ではなくなる。なので私は挨拶を返してくれない人は人だとは思っていない。人の皮を被った昆布か何かだろ多分。


 もう13時近くになっている。ここの食堂は相変わらず混んでおり、行く気になれない。そもそも今日は牛丼が食べたい気分なので、地元に戻ってすき家にでも行こう。そう思いながら私は銭湯を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 マッサージが痛いっていうネタは定番ですが、普段その定番を外し奇抜なネタを提供する人間がそれをやると逆に凄い説得力があります。  いや、今回は終始真面目な話だとは解ってはいるんですけどね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ