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当たりのバス停はどれだ!

 銭湯の最寄り駅に着いた私はバス停のある西出口に向かっていた。前回来た時は反対の出口から出てしまって、真逆の方向に500m歩いた。その反省を活かし、こちらから出るのだ。2.5kmほど歩くのもいいが、今日は楽に行きたいので最初からバスに乗る。


 西出口を出ると、車道を挟んだ向こう側にバス停が見えた。今日は完璧に準備してきてあるので、もう変なところに行くことはない。冷静に、かつ迅速に動く。


 横断歩道の信号が青になったので、私は歩き出した。サイトの案内によると、最寄りのバス停に止まるバスは12・14・16系統だ。普段は全然バスに乗らないので正直系統と言われてもよく分からないが、時刻表を見れば分かるだろう。


 私は横断歩道を渡り切ると、日陰に入ってスマホを起動した。どのバス停で降りるのかを再確認するのだ。やはり〇〇町だな、記憶通りだ。私はスマホをポケットにしまい、歩き出した。


 ブーンプシュン⋯⋯ブロロロロ


 素晴らしい、ちょうどバスが来た。数人並んでいるので、この人たちが乗り込んでいる間に時刻表を見よう。12・14・16系統⋯⋯あれ、〇〇系統っていう表記がそもそも見つからない。どうやって見るのこれ。あ、最後のひとりが乗ってしまった⋯⋯ええい! あんな近くのバス停ならだいたいどのバスでも通るだろう、乗ってしまえ!


 中に入ると、わりと席が空いていた。満員電車でここまで来たので、座れるとめちゃくちゃ嬉しい。お茶を飲んで、ふーっとひと息。外の景色を見ながら飲むお茶は美味い。知らない土地の景色って、いいよね。今日はいい天気だし、最高よ。


 そんなことを思いながら外を見ていると、イオンの建物が目に入った。はて、前に来た時に通っただろうか。位置情報で調べてみるか⋯⋯いやダメだ、スマホの充電がもう38%しかないんだった。音楽聴きすぎた。にしても減るの早すぎだよね。


 なので普通に地図アプリを開いてイオンを探した。イオンイオン⋯⋯イオンなんてないじゃん! じゃあなんだアレは! 幽霊イオンか! クソ、一瞬だけつけるか! 位置情報オン! 確認! オフ!


 ⋯⋯真逆の方向に来てんじゃん。なんでいつもこうなるんだろ。どんな時でも何をやる時でもいつもこうなんだよなぁ。トムとジェリーでいうと、いつもトムが受けている仕打ちみたいな感じだ。


 仕方がない、その辺で降りて駅まで戻ろう。私はすぐに降車ボタンを押した。次のバス停はどこだろうか。無いなぁ、なかなか無いなぁ⋯⋯結局3分くらい走ってようやく止まった。はー、けっこう来てしまったな。どうしようもないので私は駅まで歩いた。


 駅までの道には色んなお店があった。こういうのを見るのも楽しくて好きだ。有名な居酒屋、聞いた事のない個人店、大人のお店などなど、いろんな世界が広がっていた。


「今日はスゲェあっちぃなぁ!」


 エステ店の前にいた若い女性に話しかけられた。カタコトっぽいので外国人だろう。うん、確かに暑い。


「おめぇ今日休みか? いつも大変やなぁ」


 離職中なので毎日お休みですよ、6月までニートですわ。ていうか、この人なんなの? いきなり失礼じゃない? そもそもどこでそんな言葉遣い覚えたんだよ。


「サス⋯⋯」


 若い女性に恐れおののいていた私は精一杯声を絞り出し、その場を去った。でもまだ女子高生とかじゃなくて良かった。女子高生だったらもうホントにこわいから。複数人いたらもう⋯⋯ショック死するかもしれない。


 結局2km弱歩いて駅まで戻ってきた。お金払って変なとこ行って、スタート地点に戻っただけ。もう銭湯も開店してる。戻ったけど、よく見たらここ裏側だな。東側。駅の中を通って向こうに行こう。


 ん、バス停があるぞ? 裏側にもひとつだけバス停があるのか、知らなかったなぁ。もしかしたらこれに乗っても行けたりするのかな。時刻表を見ると、四角で囲まれた26という数字が目に入った。なるほど、系統ってこれのことか。ということは、26だからダメだな。私は踵を返して駅に向かった。


 それにしても都会はすごいなぁ。バス停が部屋みたいになってて、ガラス張りのデカい壁に時刻表が貼ってあるんだもんなぁ。ん、ちょっと待てよ? そういえばもう1個何か貼ってあった気がする。戻って確認しよう。うん、何も貼ってなかった。時刻表と間違えそうな紙どころか、全く何も貼ってないただのガラスだった。


 やはり裏に回らなければならないようだ。私は駅の中を通って裏側に行った。さて、12・14・16⋯⋯ここは18、惜しい。19・20、違う! 22違う! 23違う! ⋯⋯だんだん増えていっているのか? ということは18よりあっちに行けばあるのでは? そう思った私は18系統のバス停まで戻った。


 ちなみに18以降のバス停は10mずつくらいの間隔であったのだが、しばらく歩いても16が見当たらない。じゃあどうやって行けばいいんだよ。なんで18以降はいっぱいあるのに16が見つからないんだ。始発を見つけられないなら、途中で乗るしかないな。私は銭湯のある大きな道まで歩くことにした。

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― 新着の感想 ―
 よく知らない交通機関だとこういうことってありますよね。  ……って、またしても変な人と出逢ってるし。
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