第2話 ニーシャちゃんの巣穴のお掃除。わたしの彼は、きれい好き。あっ、時計は触っちゃダメだったわね。
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
例えば、ある美しいメスキツネ『タマモ』は、流れる星に9本の尾を願い、美女に変化して王様と結婚したといいます。
また、ある麗しい白銀のオスキツネ『クラマ』は、流れる星に魔界への転生を祈り、植物を武器に変え、バラを持って戦う赤髪の少年に転生したといいます。
キラキラと流れるお星さま。
今日もまた、キツネたちの願いをかなえてくれるのでしょうか?
★彡
ホッキョクギツネのニーシャちゃんは、お掃除中。
でもね、自分のお部屋じゃありません。大好きな彼の巣穴のお掃除中なのです。
巣穴の持ち主ヌーシャは、人気者。
フォックーズというアイドルグループに所属しています。
残念ながら、彼は、今日もコンサートのためお出かけです。
健気に、彼の帰りを待つのです。
ニーシャちゃんは、掃除をする時は基本的に高い箇所から行います。
床掃除から始めて、最後に天井の掃除をすると天井のホコリが床に落ちますよね?
そういうことを避けるためのコツですね。
がんばったのは、フローリング床の拭き掃除。
冬は空気が乾燥していますので、空拭きをすると静電気で逆にホコリが溜まってしまいます。
洗剤をほんのちょっぴり混ぜて一生懸命拭き取ります。
おかげで床はピッカピカ。
ニーシャちゃんは、満足そうに棚に手を突きました。
ドンっ。
お掃除が終わり、ホッとしたせいでしょうか?油断したニーシャちゃんは、彼の大事にしていたコレクションの時計を落としてしまいました。
あぁ、壊れてないかしら?
大丈夫。時計は、「大丈夫だよ」というようにチクタクと音を鳴らします。
ニーシャちゃんは、そぉっと時計を元の場所に戻すと、彼のお家を出ました。
早く、彼が帰ってこないかな?
そう思って、空を見上げた時、小さなお星さまが、ピューッと流れるのが見えました。
☆彡 あっ、流れ星っ。
とっさに、ニーシャは、祈ります。
明日は、彼に会えますように・・・
両手を組み、目の高さにあげた時、ニーシャの頭に白いものが舞い落ちてきました。どうやら、今夜は雪になりそうです。
コンコンコンコンっ
ニーシャは、軽くせき込みながら、愛しい彼のお家を後にしました。
★彡
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
空には、今日も星が流れます。ニーシャちゃんのお願いも、きっとお星さまが叶えてくれますよ。
文字数(空白・改行含まない):1000字
こちらは『冬の童話祭2022』用、超短編小説です。
くわえて、こちらは『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』用、超短編小説です。




