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苦手な方はご注意ください。

短編集

思いついた異世界ネタと銃器ネタを書気綴っただけの話

作者: よぎそーと

「よし」

 狙いをつけて引き金を引く。

 火縄が火薬に当たって爆発。

 ドングリ型の弾丸が発射される。

 それは怪物に当たり、確かに貫通していった。



 鎧すら貫通する弾丸である。

 中型の怪物であっても耐えられるものではない。

 鎧のごとき分厚い皮膚と、これまた鋼のごとき硬度の筋肉を貫く。

 その体内に拡がっていくのは、鉛の硬度と重みと、高速発射による衝撃。

 陣地を越えた化け物とはいえ、生き物。

 そんなものを食らってはタダでは済まない。



 ぎしゃあああああああああああああああ!!



 悲鳴をあげてのたうちまわる。

 巨大なトカゲというような姿を持つ怪物は、体にあいたわずかな穴。

 それがもたらした激痛に身をのけぞらせる。



 それをもたらした者は、それを見てもまだ動きを止めない。

 確かに怪物は動きを止めた。

 痛みにもだえている。

 だが、まだ生きている。

 死んで倒れたわけではない。



 生きてる限り、脅威であり続ける。

 もとより人間を大幅に上回る生命力の持ち主だ。

 銃弾一発程度で死ぬわけがない。

 痛い思いはしてるだろうが、それだけだ。

 まだ死んでいない。



 なので、次の攻撃に向かっていく。

 鎖閂式ささんしき────ボルト・アクションで薬室を開く。

 そこに弾丸と紙でくるんだ火薬を置く。

 それから再び薬室を閉じて、撃鉄を起こす。

 火縄をつけて、狙いをつける。

 まだ生きてる怪物に銃口を向けて、引き金を引いた。

 二度目の銃声が鳴り響いた。



 その後も同じ動作を繰り返し。

 怪物は何発かの銃弾を受ける。

 その都度痛みに体をゆらしていく。

 そうしていくうちに、体の急所を撃ち抜かれたのか。

 怪物の動きが止まる。

 力なく床に倒れ、そのまま動かなくなる。

 しばらくして完全に息の根が止まったようで、体が霧状になっていく。

 怪物が死んだときの現象だ。

 こうなって初めて怪物が死んだと確認出来るのだ。



 そうして消えていく怪物。

 その後に残る、魔力を蓄えた石である魔石。

 この魔石が怪物の生命の源である。

 と同時に、人に不可思議な力をもたらす源泉になる。



 この魔石を手に入れる事が、迷宮に挑む者達の目的だ。

 石油や電気のように、燃料や動力源として魔力は使われている。

 この魔力を得る方法は、怪物を倒して魔石を手に入れるしかない。

 その為に多くの者が迷宮に挑む。

 生きる糧を手に入れる為に。



 だが、怪物を倒した男は、それよりも自分の手にした銃に目を向ける。

 その顔には感動で笑みと涙が浮かんでいた。

「ようやく出来た」

 ただそれだけを呟く。

 魔石を回収するのを後回しにして。



 剣と魔法の世界。

 男はこの世界に生まれてきた。

 そこで食っていくために迷宮に向かう事となった。

 他に食い扶持が無かったからだ。



 生まれは単なる肉体労働者の家庭である。

 農家のように次ぐべき田畑もなく。

 職人のように受け継ぐ技術もなく。

 商人のように引き継ぐ店があるわけではない。

 そんな家や親の人間が食っていく方法となると限られる。

 何とか仕事を探して食いつなぐか。

 迷宮でしのぎを削って生き残っていくかだ。



 男は迷宮を選ぶしかなかった。

 労働者の仕事は飽和状態。

 おまけに、単純労働でも体力やそれなりの機転は必要になる。

 仕事の勘所もやはり求められる。

 最初に幾らか仕事をしてみて、そういったものがないのを実感した。

 体は残念ながらそこまで大きくも、力があるわけでもない。

 また、職場の雰囲気にどうしても馴染めなかった。

 ならばと考えての迷宮入りである。

 もちろん、こちらの方がよっぽど厳しいのではあるが。



 しかし、不思議と才能があったのだろう。

 体力的には不利と考えられてた男であるが。

 どうにかこうにか生き延びて、何年も生活をしている。

(これも前世のおかげか……?)

 そんな事も思いもする。



 前世。

 現代日本の記憶が男にはある。

 それに思い至った時に、男は呆れたり嘆いたりした。

「異世界転生かよ……」

 某小説投稿サイトなどでよく見られた展開だ。

 それが自分に起こるとは思わなかった。

 が、起こってしまった以上仕方がない。

 この世界で生き抜いていくしかなかった。



 そうして辿り着いたのが、如何にして強力な武器を持つかだ。

 この世界、魔力で己を強化する事は出来る。

 迷宮に挑む者達は、それを利用して戦っている。

 だが、それを更に簡単に。

 もって手軽に出来ないか。

 男はそう考えた。

 考えて辿り着いたのが、銃である。



 火縄銃。

 この世界でも作れるとしたらこれだろうと思った。

 乗り越えねばならない障害は大きいが。

 それでも、前世の最新式の銃器などよりはやりやすい。

 そう考えていた。

 何せ、戦国時代の日本で製造出来たのだ。

 同程度のこの世界の技術力でもどうにかなるだろうと。



 ただ、全く何もないものを作り出すのは難しい。

 最低限、どういうものかを職人に伝えねばならない。

 出来れば設計図も書いた方がいい。

 また、火薬調合に弾丸の製造も考えねばならない。

 やる事は山積みだった。



 ならば、自分で出来る事はやろうと思った。

 幸い、魔力を用いれば知恵を強化したりも出来る。

 その延長で、様々な知識や技術を手に入れる事も出来る。

 これはこの世界で広く知られている事だった。

 男はこれを、経験値とレベルアップと呼んでいる。



 それは基本的に一時的なものではある。

 技術や知識、能力の向上などは、短時間のみの効果だ。

 用いる魔力の量にもよるが、通常そう長くは続かない。

 せいぜい、何分かだけである。



 だが、用い続ければ体に染みつく。

 染みついて自分の知識や技術となっていく。

 体力や知力といった能力も向上していく。

 男はこれを用いて、必要な知識や技術を手に入れていった。



 もちろん、日々の生活がある。

 そう簡単に求める水準まで到達出来たわけではない。

 だが、慎重に、そして大胆に。

 生き延びる事を最優先にしつつ、日々の生活を支え。

 そうしながら、目的へと向かっていった。



 そしてある日、必要な知識や技術に到達する。

 求めてるものを作るには何をどうすれば良いのかが分かった。

 その為に、化学や工学、金属の知識や加工技術。

 その他様々な事を身につけた。

 それだけでこの世界では、学者や技術者、はては研究者と呼ばれるにふさわしいものを。

 その能力を男は、火縄銃の製作に注ぎ込んだ。



 そして。

 どうせなら出来るだけの改造や改良をしてみようと思った。

 その為に、原型となる火縄銃が出来たあとも、製作に携わり続けた。



 なお、出来上がった火縄銃であるが。

 その後、男の迷宮探索・怪物退治を大きく助ける事になる。

 弓よりも威力が高く、力が無くても使える。

 そんな武器は、体格・体力が平均的で平凡な男には貴重な戦力になった。



 魔力によって能力を強化して戦えばいいだけと思われるかもしれないが。

 そうして魔力を用いればその分収入が減る。

 その収入減少を食い止めるのに、火縄銃は大いに役立ってくれた。

 火薬の原材料を手に入れるのにそれなりの出費はするが。

 それでも、怪物退治において大きな助けになってくれている。



 その火縄銃をどうにか連射出来ないか。

 連射は無理でも、装填を簡単にできないか。

 そう考えていた。

 そこで考えついたのが、鎖閂式ボルト・アクションだった。



 弾丸と火薬を込める部分。

 ここを鎖閂式のように手元で開けるようにする。

 そこから直接弾丸と火薬を入れられるようにする。

 火薬は紙で事前に袋状にしておく。

 そうして弾丸と紙巻き火薬を同時に入れて、薬室を閉める。

 あとは、火縄をつけて、引き金を引く。



 この方法で、装填速度はかなり速くなった。

 問題がないわけではないが、火縄銃の弱点である装填速度はかなり解消出来た。

 早ければ数秒で次弾を撃てる。

 熟練者でも20秒はかかると言われている。

 それをこれだけ短縮出来たのだ。

 効果は大きいと言える。



 そして威力だが。

 魔力を弾丸に込めなくても、中型に分類される怪物を倒す事が出来た。

 火薬の値段を考えても、利益は大きい。

 しかも、危険のない遠距離による攻撃だ。

 接近しなくても良いというのはとてつもなくありがたい。



 今後はこれを主に使っていこうと考えながら、男はようやく怪物が残した魔石を拾う。

 また、これを数多く用意出来るなら、初心者でもすぐに戦力に出来る。

 それは迷宮での生存や稼ぎに大きく影響を及ぼす。

 それも考えながら、男は今少し迷宮を歩き回ろうと考えた。

 もう少し鎖閂式火縄銃の性能を試すために。

 真に受ける人がいるとは思えないが、念のために書いておく。

 ここに書いてるボルト・アクションの火縄銃なんて空想でしかない。

 現実にあるとは思わないし、あったとしてもまともに使えたのかどうかは知らない。

 ただ、思いついたから書いてみただけだ。

 当然ながら科学考証なんてこれっぽっちもしてない。



 空想の中でくらい用いてもいいだろうと思って、こんな文章をこさえただけだ。

 まあ、思いついても書くようなアホは俺くらいだと思う。



 もしかしたら、俺が知らないだけで、既に使われてるネタかもしれんが。

 残念ながら、他に使ってる人をしらんので、何とも言えない。

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