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ルームメイトは多重人格者?  作者: 真嶋 幸
4/10

嬉し恥ずかしお部屋探し


さてさて、この物語はやっと、同居に至るまでを皆様にお伝えできましたが、いかがでしたでしょうか?


長いですね…

ですが、この後もダラダラ行きますよ!


前回では、水沢 直くんの多重人格について、途中から『 時の流れに身を任せ〜作戦。』に切り替えたので、彼の中に潜む住人について分析が疎かになってしまいましたが、今後は同居することになったが為に、様々な人格と直面していきます。


それは…前回の続き、とある休日に住居を探すところから………



…………………………………………………



『 ではすぐに部屋を探しましょう!俺は、即実行派なんで。』


あれ以来、とにかく毎日メールが届くのよ。

部屋の間取り図が添付されてね…


水沢くんは、ルームシェア先の大家さんと何やら揉めたそうで、2月中に家を出ないといけないらしい。

でもね、 2月中となると…あと1ヶ月くらいしかないんですよ。

私自身は、慌てて探さなくてもいいんですけども……


『 もしも見つからないなら、君とはルームシェアできない。 』


とか、急かされてるんですよ!


希望としては、都内に近く低家賃、職場まで乗り換え無しなら、なお宜しい。 で…色々と検索しております。


よしっ 、2DKで8万円くらいで…どやっ



「ふ〜む。……まぁまぁ…あるにはあるが…う〜ん。」



水沢くんが添付してくる間取りも悪くはないが、何かね…ピンとこなくてね…というのも田舎くさいって感じ…あっ、表現がよろしくないわ。古風な印象の外観と間取りなのよ〜。


なので、私も一生懸命探しておりますが………



「おっ…これは、よろしいのでは?」



2DK、7.4万円、最寄駅から徒歩15分…敷金礼金 0円、保証人不要。…トイレバス別、独立洗面台 etc……


ほうほうほう…悪くない。

内見を申し込んでみよう。


ポチッと…


チャットで、内見予約の申し込みをするのね。

今は、スマホのお陰で何でも安全にサクサクできて、本当に良き時代だわ。アナログ人間の私にも優しい。


トゥルル……トゥルル……トゥルル……


ん? 電話?



「はい?」


「あっもしもし、私…〇〇の佐藤と申しますが、先程の内見予約についてお話よろしいでしょうか?」


「え?…あっはい。」



私がなぜ疑問形なのかと言いますと、チャットでやり取りしてるのに、何でわざわざ電話してきたのかな?という事なんです。



「お話と言いますのは、ルームシェアの項目にチェックされていたので、気になりましてご連絡した次第です。」


「はぁ…?」



この時点でも、まだ何の事やら理解できてません。


内見予約の申し込みの際、個人情報などを入力して、希望項目にチェックする箇所にルームシェアがあったので、チェックしただけなのに…



「お客様は…ルームシェアをご希望なんでしょうか?」


「はい、そうですが…」


「そうですか……失礼に思うかもしれませんが、詳しくご説明いただけますか?」



え…どうしよう。何で?ダメなの?

嘘ついちゃう??…う〜ん。それは嫌だ。



「え………とですね。事情がありまして、異性なんですけども……ルームシェアしたいなって……はは。ダメなんですか?!」



やべっ、最後の方だけ、逆ギレ風になってしまった。



「あのですね。ルームシェアをするという事が、よくお分かり頂いていないようですが、そもそも物件が違うんですよ!」



逆ギレで返された! 何だこいつ!



「はあ?物件が違うって、どういうこと?違うんだったら、何でルームシェアのチェック項目がついてるのよ!」



逆ギレには逆ギレで返す! (鉄則)



「希望項目は、こちらの物件とは関係なく、個人に向けてお尋ねしている項目です。」



むむむ…



「…まずですね。家主がルームシェアを許可しているかが、重要なんです。勝手に契約者以外の人が、入れ替わりに居住する可能性がある訳ですから。」



最もだわ…



「ルームシェアがご希望でしたら、少ないですけれどもご紹介できる物件、ございますので……一度弊社にお越しいただけないでしょうか?」



何だか、面倒くさそうな話になってきた…

まぁ…よく調べもしないで楽観的に考えてたけど、確かにルームシェアで物件を探しても、あまりヒットしないんだよね。

困ったな… 水沢くんに相談するか。



「あの…えっと……彼と相談して、ご連絡いたしま〜す。」



そうそう、一旦退いて仕切り直しをする。(戦略)

敵は頭が切れると見た!



「そうですか…かしこまりました。では、ご連絡お待ちしております。……プツ。」



ふぅ…


ルームシェアについて、部屋の探し方を間違えてたのか……普通の管理会社じゃダメなんだ。


だってさぁ…初めてだしぃ……



「う……」



まてよ…別にルームシェアで、探さなくてもいいのでは?


…私たち、異性だし。

年の差カップルなんて、今のご時世そんなに恥ずかしくない!


20年前なら、後ろ指さされたかもしれない。

40年前なら、石を投げられたかもしれない。


でも、今なら大丈夫だ!

この熱が冷めないうちに、水沢くんに相談しよう。そうしよう。


《お疲れ様です。

内見してみたい物件があったんだけど、ルームシェアで引っ掛かっちゃってね。で…同棲だったら、問題ないみたいなんだけど…どうする?》


これでいいだろうか?

メールの文章を何度も何度も読み返しては、同棲という文字の所で…ゴクリと固唾を呑んでしまう。

別に卑猥な事を想像しているわけではないけど…


何だかね…私だって女だし。

父親以外の男性と、一緒に住んだことないし。

47歳を間近にして、23歳の男性(ゲイ)と暮らそうとしてるんだから…脇汗かくわ!


同棲だったら無理って、返事が来たら…どうする?


どうしよう…どうしよう…どうしよう…どうしよう…どうしよう… どうしよう…どうしよう……………



「あ─────っ!!」



わちゃわちゃ考えるのはやめよう!



「えいっ!」



→送信



ドキドキ…ドキドキ



既読



既読はやっ!


一旦、この場から離れよう…心臓に悪い。

トイレ行っとこう〜っと。



…トゥルン…



げっ 、メールの通知音……トイレに行こうと思ったのに、ダメだ気になる。


よしっ。せーので確認するぞ!



ドキドキ…ドキドキ…ドキドキ…ドキドキ…



「せーのっ」



ドキドキ…ドキドキ………!!



《じゃ、同棲で。》



──ドキンッ──



「はは……は」



思わずへたれこんでしまった。



「めっちゃシンプル…」



はぁ……


そして肩透かし…私、考え過ぎだわ。



《分かった!じゃあ同棲ってことにして、進めてみるね。》


既読


《お願い。あっそうだ。俺この雑貨の仕事、今月末で辞めるから。言い忘れてたわごめん。》



「はっ?」


《はっ? 何それ》



思ったことをそのまま送った。

またもや、急な展開について行けない…



《暇すぎて、人間がダメになるから辞めるって言った。もう、次の仕事見つかったから大丈夫!》


まぁ……気持ちは分かるけどさ



《どんな仕事?》


《火鍋屋。時給1500円。》



時給いいじゃん!私よりいいじゃん!



《分かったよ。》


既読



分かんない。やっぱりよく分かんない!

この人と暮らして、本当に大丈夫だろうか…

急な展開が多すぎる!


頭の中を整理しよう。


① 私たちは、ルームシェアをする。(同棲)

② 1ヶ月以内に、部屋を探して引越しする。

③ 水沢くんと職場が変わる。


…あっこれだけか。

冷静に考えれば大丈夫だ。大丈夫……なんだか混乱してた。


そっか職場…変わっちゃうんだな…

今までは、水沢くんが居たから続けられたけど…

居ないなら、ここで働く意味があるんだろうか。


派遣だから時給はまぁまぁいいけど、この仕事にやりがいは全く感じない。ほとんど店番していて給料貰えて、贅沢なこと言ってるけど…引越しの準備にまとまったお休みも欲しいし、契約を終了するか悩む。



……………………………………………………



悩みました。

ええ、とても悩みましたとも…


ここまでの流れが、ダラダラし過ぎたので結論から言いますと、 私も派遣先の契約を2月末で終了しまして、その間に有休を消化させてもらって、引越しを進める。3月から新しい派遣先と契約すればOK。

と、まぁ…とりあえずこの計画に落ち着きました。


そして肝心の部屋探しですが、実は良い物件が見つかったんです!

最寄り駅からは、徒歩30分程かかりますが、3DKで家賃6.9万。 その他諸々の設備あり、初期費用が安いetc。

ネットで見つけて、直ぐに内見予約をして…

あ…前回嫌な思いをした管理会社ではなく、別の管理会社から探しました。


気になる点としては、契約の中にフリーレント1ヶ月とあること。事前に問い合せたところ、1ヶ月分の家賃が無料になる代わりに、1年間は退居できない規約になっていて、それを破ると1ヶ月分の違約金が発生するのだとか…


しかし、百聞は一見にしかず…2人で内見して参りました。


2020年2月14日



「では、以上で契約は完了です。ありがとうございました。」


この日、私たちは同棲と偽り、ルームシェアする部屋を決めた。2人の都合のいい日が、偶然にもバレンタインデーだったので、何となくイチャつく演技も取り入れてみた。


時々見つめ合っては、はにかんだりして…うふふ。


この年の差23歳のカップル?を担当者は、どのように思ったかどうかは分からないが、とりあえず契約できてホッとした。


部屋の鍵を受け取ると、水沢くんがカーテンを買ってくれると言うので…その足でホームセンターに立ち寄り、彼が見立てたカーテンを購入すると新住居に戻った。


日当たりが良くて、電気をつけなくても十分に明るく暖かい部屋。


カーテンを設置していく…


彼が生活をする和室には、お茶葉みたいな緑色のカーテン。

私が生活をする洋室には、明るい青緑色…まるで、ビリジアンを薄めたような、綺麗な色のカーテンが設置された。



「うん。いいじゃん!」



設置したばかりのカーテンを開けて、再び陽の差した和室に寝転がりながら、どんな部屋にしたいか語り合った。


あまりにも気持ち良すぎて、半分寝かかった時に…彼の一言で現実に戻される。



「ところで、引越しどうするの?」


「ん? どうするって…25日にするって、契約の時に決めたじゃない?」


「そうじゃなくて、荷物運ぶでしょ?業者に頼むの?」



むむむ……目を細めて首を傾げるポーズをしている。

腕を組み始めました。

何よ?何なのよ?その次の、私の言葉を予測しているポーズは?



「業者に頼もうとしてるわよぉ〜。」



至って普通の返しに、語尾だけおネエにしてみた。



「ふん。」



鼻で笑うか!…しかも右口角が上がっている?

何とも、人を小馬鹿にした感じ…



「業者に頼まなくて、誰に頼むのよ!」


「まぁ…いいんじゃない?ちゃんと調べたら分かりますよ?」



両手を耳の傍でお手上げのポーズをしながら、首を左右に振って目を閉じている。

何とも外国人によく見られる、呆れた時のベタなポーズをされた。



「ええ? ダメなの?」


「ダメとは言ってないです。さぁ考えて下さい。」



さっきまでのホンワカした空気が一変して凍る。



「分かんないよ。教えて?直くん…」



どさくさに紛れて名前で呼んでみた。



「…………」



お返事ございません。



「直くん?」



意図的に、名前で呼びましたぞ?どうする?



「……あのね。前にピンクちゃんの話したでしょ?」



おお?いきなり師匠の話が出てきましたよ。



「霊能力者ピンクちゃんの話?」


「そうです。彼女が俺に付いている者について、こう言っています。俺は、俺を含めて6人で成り立っていると…俺はその中でも年長者です。君には、俺と生活をしていく以上、そのことを受け止めてもらわないと難しいと思いますよ。」



多重人格のことだ……ルームシェアすることばかりに気を取られて、すっかり忘れていたけど、水沢くんは、自称多重人格者だった。そして今、主人格を含めた6人で成立していると、はっきり言っている。



「あなた年長者って言ったけど、何歳なの?」


「40歳か、41歳か、42歳くらい。」



何それ! 漠然としすぎ!



「んじゃ、真ん中取って41歳でいいですね?……直さん?」


「いいでしょ。」



直さんか……何か、めんどくさいわ。この人。



「ところで、さっきの話に戻るけど、荷物を業者に依頼することに対して、何で調べる必要があるのか教えてくださいよ?」



大きな欠伸をしている…



「…業者に頼むとめちゃくちゃ高い。後で調べて?困ったら俺に連絡すればいい。…さぁそろそろ帰りますか?」



そう言ってニカッと笑った顔は、馴染みのある優しい…いつもの水沢くんだ。決して41歳には見えない。



「うん。わかったよ…直くん。」



水沢 直くんは、多重人格者のような人。

不思議で魅力のあるこの人と、私は暮らすんだね。

不安はもちろんあるけれど…



「あっそうだ!直くん、ちょっと待って!!これ……どうぞ。」



それよりも何よりも…



「ん?…何?」



私はとても…



「わぉ!!」


「ハッピーバレンタイン〜」



楽しみなのです!



「このチョコ…うんまぁ〜い!! えへへっ」



……………………………………………………



……今回は、ここまでにいたしましょうか。

やっと、多重人格者の片鱗が見えて参りましたね?


次回はいよいよ引越しと、居住してからのお話に進みます。

水沢 直くんの中に潜む住人たちも気になりますが…

水沢 直くんを取り巻く愉快な仲間たちも、続々登場致します。

まず、最初に登場する愉快な仲間は、引越し当日までのお楽しみです。


では、乞うご期待!


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