3話_新天地へ
前回のあらすじ
急激に成長していますねぇー。
成長期なのでしょうか。
豚蝙蝠街道に向かうと、今日は、何時にもまして静かだった。豚蝙蝠たちは天井にぶら下がり、じっとしている。いくら体が長くなったからといって、天井まで鞭攻撃が届くようにはなっていない。
(...寝てるのか?)
時間帯が悪かったのか、一匹も降りてくることは無かった。仕方が無いので、池の水を飲んだ後、調べていない道を見に行くことに。
最初に調べた4つの道と、反対の方向に向かって四つの道が伸びている。四つの道を直線で結べば、ちょうど環状洞窟の中心になるのではなかろうか。
とりあえず、横道2つ下り道2つになっている。順番は、自分の巣を起点に、豚蝙蝠街道、将来の巣候補、下への道(危険)、水晶街道、下への道(未知)、横道(未知)、横道(未知)、下への道(未知)、という感じに反時計回りになっている。
下への道の一つ目に入ってみると、そこには、複数のネズミ蛙が巣を作っていた、さながら縄文時代か何かのように集団で暮らしている。
(こいつ等、案外頭がいいのかも?)
奥の方には、俺がこの前ポイ捨て...もとい、ネズミのために放置していた脱皮した後の皮が、干し草のような物の上に置かれていた。
(保存食にされてるのか...)
ボケ〜っと、ネズミが集団で寝ている様子を、暫く見ていたが、起こしたらいけないと思い、その場を後にする。道の名前は「ネズミの郷通り」とした。
次は横に行く道を行く。すると、途中から階段になっており、その先には扉が待ち構えていた。木造の扉で、鍵穴がある。
(...鍵が掛かっている)
よくあるセリフを思い起こし、その場を後にした。
またしても横穴だが、微かに風が此方に流れているのを感じる。ただし、匂いは洞窟内部と変わらないので、外はかなり先にありそうだ。
(...まだ見てない通路がある。そこを調べよう。)
RPGゴッコが楽しくなってきた。動きもドット絵っぽく、少しカクカク動いてみる。
最後の下り道は、軟体生物、通称「蛸の住処」だった。どうやら、こいつらは淡水で生きていける種の様だ。床一面に、ギリギリ蛸が見ないくらいの水が張ってある。なぜ分かったのかというと、俺から逃げる様にして、前を飛んでいたネズミが水に触れた瞬間に、蛸の足がネズミを捉え、水に引きずり込んで行ったからだ。
(...生きてるタコ先輩はおっかねぇな)
引きずり込まれてしまった、ネズミ…いや、ネズミ特攻隊長には、足先を使って敬礼しておく。
(隊長、ありがとう!仇はいつか、必ず取ります!)
今の自分では、確実にパワー不足で負けるだろう。蛸の大きさは、足先だけでも俺と同じぐらいありそうだ。つまり、俺8匹を相手にしているのと同意義である。いや、頭を入れると俺10匹分くらいか?
(...お前を殺すのは最後にしてやる。)
これで全て巡ったかな。そういえば、飯を食いっぱぐれていたなと、そんなことを考えている間に、豚蝙蝠街道に到着。
蝙蝠達が起き始めたのか、通路の途中から、鳴き声が聞こえ始める。
(ようやく起きたか...)
豚蝙蝠は池近くのコバエに、夢中でこちらには気づいていなかった。なので容赦なく鞭攻撃を行う。
...ヒュパンッ
ブヒィッ
(...ヤバイ、なんか新しい扉が開けそう)
豚蝙蝠は鞭攻撃により、叩き落とされ地面に横たわっている。まだ息があったので、もう一度鞭攻撃を見舞う。
パァンッ
ブヒィィィッ
(…なんだろう、ゾクゾクする...あ、後一回だけ)
スパァンッ
ブヒィッブヒィィッ
(…)
パァンッ
ブフォッ
…
結局、豚蝙蝠が鳴かなくなるまで鞭打ちは続いた。
(...いけない扉を開けてしまった)
死んでしまった豚蝙蝠は、しっかりと食べた。食べ物で遊んではいけないと、分かっていてもついヤッてしまった。思考が体に引っ張られるのは、幼いから仕方ない事。そう思い直し、豚蝙蝠さんには深く感謝の念を送りながら、ゆっくり味わって食べました。
そろそろ、今の巣が手狭になってきたから、引っ越しを考えなければならない。だが、いい場所は今の所存在しない。
唸りながら家に帰ると、そこには、ネズミ達が俺の巣を見て待っていた。
(コイツら正気か?蛇はお前達の天敵だぞ?)
ゆっくり近づいて、後ろから襲おうか?そう思い、ゆっくり近づいて行くと1匹のネズミがこちらに気付き、「チュ」と短く鳴いてそれぞれ別々の方向に逃げて行った。
(頭が良いのか、偶々か…)
どちらにしろ、散ってくれたのなら直ぐには戻ってこないだろう。そう結論づけて寝床に入り、眠りについた。
しばらくして、体の周りをちっさい何かが這っている感触で目を覚ます。
ペリペリペリ
と、小気味いい音と「チュー」という鳴き声が聞こえる。体を動かさずに頭だけで確認すると、ネズミが3匹、鼻先や手に付いている小さな爪で、器用に脱皮した皮を剥がしていた。
(度胸あるな。っていうかそんなに美味しかったのか?俺の皮)
毎回脱皮する手間を考えると、ネズミ達によって綺麗に剥がして貰えるのは有難いので、このまま任せておく。
コレを機に、ネズミの郷に引っ越しても良いかもしれない。
で有れば、友好を築かなければ。
取り敢えず、起きた事を知らせるために、作業中のネズミを小突こうとする。しかし、ネズミの1匹が視線に気づき顔をあげてきた。と同時に目が合い硬直させてしまった。他2匹は、剥いだ皮をそのままに、脱兎のごとく逃げて行った。
(...ちょうどいいかもしれないな。)
硬直してしまったネズミを足先で捕まえて、剥がれた皮を口にくわえる。引っ越す準備はこれだけ。
いまだに硬直しているネズミを、足先で優しく捕まえて移動を開始する。半分くらいまで来ると、ようやくネズミの硬直が解けた。逃げようともがいたり、爪で引っ掻いてくるが、鱗に軽い傷がつくだけで特に痛くは無い。
自分たちの住処に向かっていると気づいているのか、先ほどよりも抵抗がより激しくなっている。
(もう少し落ち着いてくれてもいいんだがな...)
しかし、自分が逆の立場なら、必死に抵抗するのは理解できる。相手が何をしようとしているのか分からなければなおさらだ。
俺が住処に堂々と侵入すると、中は大パニックだった。さながら怪獣映画の人間のようだ。巣の奥の方に逃げていくネズミたちを見送りながら、自分の皮が置かれているところへと向かう。
その途中で、連れてきたネズミは解放しておいた。今は、他のネズミと混じって訳が分からなくなっている。
自分の皮を貯蔵している所に到着し、今日の皮を積み重ねる。巣の中のネズミたちは、皆壁際に寄り添ってプルプル震えている。ちょっとかわいい。
これを機に巣の中をじっくり観察してみると、干し草(雑草みたいなの)を合わせて、鳥の巣のようにしてあるものがところどころに置いてある。彼らの家的なものなのだろうと予想できる。ただ、どこにも糞が落ちていないのは不思議だった。どこかで用を足して、巣を清潔に保っているのだろうか。案外きれい好きなのかもしれない。
(人(生物)を見た目で判断するのはよくないね!)
ただしG、貴様はダメだ。
どうにもまだ恐れられているのか、1匹もよってこない。引っ越しの挨拶が、自分の脱皮した皮では不十分なのかもしれない。ならば、おいしいものを取ってくるしかないな。
ニヤァ...
移動してる間に、いつの間にか二ヤついていると気付いた。ネズミたちの巣から出る時からだろうか?だとしたら怖がられてしまったかもしれない...だが、今さらか。
豚蝙蝠街道に到着すると、今日も元気にコバエを食べていた。食べることは良いことだ。さて、今日はネズミたちの分も狩るから、二匹仕留めないとな...
ニヤァ...
(...フフフ)
…….....
(...ふぅ、今日もいい汗かいたなぁ。)
一匹は丸呑みに、もう一匹は下半身で巻いて持ち帰る。かぶりつきながら持ち帰ると、微量とはいえ自分の毒が回ってしまうかも知れないからだ。まぁ、毒が回るといっても、麻痺毒っぽいから、深刻なダメージにはならないだろうが。
巣に持って帰ると、また大パニックになってしまう。でも、何回も同じことをすれば、みんな慣れると思うんだよね。まぁ、ちょこまか逃げ惑うのも、それはそれでかわいいんだけども。
(...いかんいかん!最近ドS思考を通り越して、ただのサイコパスみたくなってきてるな。落ち着いて、冷静になるんだ...)
これからは、持ちつもたれつでやっていくのだ、相棒たちを怖がらせるわけにはいかんな。みんな早く慣れておくれ。
友好のしるし替わりに、採れたての豚蝙蝠をその辺に置いておく。俺は隅の方に移動して行くが、どこもかしこもネズミだらけで、近づくとプルプル震えるだけで逃げようとはしない。覚悟決めるの早すぎだろ!そう突っ込まずにはいられない。
まぁ、こいつらを襲う外敵と言えば、今のところ俺しかいないからな。取り合えず周囲に何もない、広い空地がある壁際に居座ることにする。
そこにいるネズミたちは、下半身で優しくどける。そして、できたスペースでトグロを巻いて就寝する。
次回更新は、土曜か日曜の予定です。