表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由な蛇神  作者: ホニャ二ティ
3/32

2話_食べる子は育つ

(か、かゆい!)


激しい痒みに襲われ、意識を覚醒させる。すると、体がダブっているように見えた。


(どうなってんだ?)


体を動かしてみると、ダブっている体は、皮だということが分かった。近くの壁にある、突起などを利用し皮を脱いでいく。感覚的には服っぽいのだが、どうにも痒くて仕方がない。


(服の繊維が肌に合ってない感じだな)


そんな感想と共に脱皮を終える。昨日食べた蝙蝠は、半分くらいの大きさになっていた。そんなおなかを見て、燃費の悪さは、生まれ変わっても治らない。と、ため息を吐いた。


(赤ちゃんだし、多少はネ!)


気を取り直して、二本目の登り道を上る。因みに一本目は、豚蝙蝠街道という名前を付けることにする。


二本目の道を登りきると、特に何もない大きな空洞になっていた、目につくものといえば、壁から飛び出した水晶っぽいモノが、いくつもあるぐらいだ。蛇の目には分からないが、もしかしたら、この水晶は何か特別なものかもしれない。水晶街道と命名する。

この二本の登り道の間に、平坦な道と下り道があるのだが、下り道方面からは、偶に奇妙な鳴き声が聞こえてくるので、近づかずにいようとおもう。


平坦な道はまっすぐ行くと、40分ほどで行き止まりにぶつかった。特に何かがあるわけでもないので、大人になった時の寝床として候補に入れておこう。行きと帰りで80分とか、かなりの重労働だが大きくなればそれも苦にならないだろう...多分。

取り合えず、円になってるであろうこの場所の半分は、確認できた。残りの半分を確認する前に、蝙蝠をパクつきに行くことにする。

 豚蝙蝠街道に入ってしばらくすると、ちょうどお昼時なのか、蝙蝠たちがコバエに群がっていた。そのうちの一匹を噛みついて捕まえ、そのまま絞める

(今日、這いずり周ったおかげで、体の使い方が分かってきたかも)


体に慣れ始めたので、ご機嫌に蝙蝠を丸呑みする。昨日よりも早めに飲み込めたのも、慣れてきた証拠かもしれない、と思ったが、どうやら体が昨日より二回りぐらいでかくなっているようだった。それでも、蝙蝠のサイズが大岩から岩になっただけでまだまだでかい。

池の水を少し飲んでから帰ることにした。


帰宅後、すぐに寝るもアッという間に痒みで起きてしまった。


(脱皮早くね?)


それだけスクスク成長していると思えばいいのだろうか。そう思考していても痒みが治るはずもないので、すぐに脱皮を始める。器用に自分の皮から脱出すると、寝床の皮が二つになって少し手狭に感じる。


(ポイ捨てしても、きっとネズミが食べてくれるから汚れないよね!)


そう思い、通路に脱皮した皮を投げ捨てる。きれいになった寝床で綺麗にトグロを巻いてみる。思った以上に綺麗にできている。ただ、おなかの出っ張りが少し気になるが。前回の蝙蝠は、おなかのどのあたりにいるのかわからなくなっていた。


本当に燃費が悪い...いや、蛇の赤子とは、こんなものかもしれない。


脱皮するときの作業で、少し目が覚めてしまった俺は、噛みつくことと、締め付けること以外の攻撃方法を考えた結果、自分の下半身をしならせて鞭のように打つ攻撃方法を思いつく。


ヒュンッ


風切り音が気持ちいいが、打った体の部位が少しヒリヒリする。柔らかい豚蝙蝠や、ネズミならいいかもしれないが、亀とかの硬い物には使えなさそうである。後は、体を固定する関係上リーチが短い。

次に豚蝙蝠を落とす時に、実戦での有効性を確認しようと決め、もう一度眠りについた。


どれくらい経ったか分からないが、腹の減りに気がついて目が覚めた。体を動かして、寝起きの運動をしていると、この寝床が、自分の体で埋め尽くされていることに気がついた。


(...1晩で成長し過ぎだろ)


蛇を飼った事など無いし、こういう種類の蛇なのかもしれない。そもそも、大きくなって大変なことなど特に無いからコレで良しとした。

まぁ、強いて言えば、大きくなる分食べる量が増すことぐらいが、悪い事に分類されるのだろうか...


腹が減っては何とやら、先ずは豚蝙蝠で腹ごしらえをする事に。

地面に降りると、昨夜ポイ捨てした俺の皮が綺麗さっぱりなくなっていた。予想通りネズミ達が回収したのだろうと、ゆっくり豚蝙蝠街道に向かった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ