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――……。


俺は岬愛の、俺の心を掴んで離さない笑顔を脳裏にうかべた。


あの笑顔は、十九歳と言う年齢にしてはかなり子供っぽかった。


おそらく純真無垢。


汚れを知らないというやつか。


それなら話は簡単だ。


俺は宇崎に関するひどい下ネタの噂を、大量に流した。


これでもか、これでもかと。


それも直接彼女に言うような下手な真似はしない。


こいつに話しておけば、いずれ近い将来確実に、彼女の耳に入るであろうという人間を選んで吹き込んだのだ。


一人や二人ではない。


両手両足の指を全部使っても数え切れないくらいの人数に。


もちろん「これは信頼できる友人から聞いた話なんだけど」と言うのを、噂話を始める前に付け加えておくのを忘れなかった。


ライバルを蹴落とすために、捏造した悪い噂を流す。


学校でも職場でも、日本中いたるところで日常的におこなわれていることであり、それが下ネタともなれば、日本どころか世界中、それも数千年も前から当たり前のように使われているあまりにも使い古されたやり方ではあるが、その効果は抜群だ。


特に岬のような女には。


他人の下ネタの噂をなんの疑いもなく簡単に信じる女は、頭の中が四六時中ピンクの下ネタで埋まり続けている女か、逆にそういったことにはうとくて、免疫のない女かの二種類で、岬は後者のほうだからだ。


次から次へと醜聞が耳に嫌と言うほど入ってきて、その結果二人の仲が段々とぎくしゃくとしたものになっていくのが、俺には手に取るようにわかった。


俺は学校どころかそれ以外の場所であっても、宇崎か岬のどちらか、そして二人でいるときは二人いっぺんに、ひたすらつけまわしていたからだ。

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