装着
見た目、SF映画や未来型FPSゲームなんかで出てきそうな容姿をしていて、眼球の部分は横一直線で青白い。スターシップなんとかのインベイなんちゃらとか言うCGアニメ映画に出てきた物に酷似した特徴をしていた。
「強化外骨格で合ってるよな?」
眼球の部分は光っていたため、起動しているのかと恐る恐る触れようとすると、空中画面が急に開かれる。
うぁっと驚きながらも、画面に投影されている文字を読んでいく。
>> 初期設定を行ってください。
>> これらは全て管理者のみ閲覧が可能です。
>> 管理者設定を行いますか? Y/N
(・・・初期設定か。多分事故の衝撃で電源が入ったんだろうけど、まぁいいや。とりあえず『Y』で)
>> 管理者設定を行います
>> 姓:
>> 名:
>> 年齢:
>> 入力完了 Y/N
(姓、名、年齢入力完了、『Y』っと・・)
>> 生体認証設定を行います。
>> 自身の名前を姓名の順で発声してください。
(ん? 音声認識もできるのか?・・・まぁいいや書いてある通りやってみるか)
「小谷哲哉」
>> 認証設定中、そのまましばらくお待ちください・・・
>> 音声による操作、認識/認証設定完了しました。
>> 管理者設定完了しました。
>> 続けて操作マニュアルを閲覧しますか?
※着用しながらでの閲覧も可能です。
(マジか・・・とりあえず乗って、というか着てみてから持っていくか置いてくか決めよう・・・)
哲哉は状況的に急がなければ行けないのだが、不謹慎にもワクワクしていた。
――強化外骨格。
何故ここにあるのかは不明だが、仮に実用化されていて、実験的に配備、秘匿していたのなら、今ほど有難い事は無いし、利用できる物は利用するべきだと考えた。
(自衛隊の救助用とかだったら少しは助かるし、音声でも操作出来て簡単みたいだし)
「どうやって着ればいいんだ?」
そう一言呟いただけで、強化外骨格が開き、着用出来る様になる。
「すげー音声入力パターンどんだけ入れてんだこれ」
技術的な事に感心しつつ、仰向けに置いてある強化外骨格を着る。
>> 生体スキャンを行います。
>> 生体パターン登録完了。
>> 着用者、小谷哲哉本人と確認。
>> 着用者、身体の一部に異常が見られます。
>> 治療ナノマシンによる処置を実行しますか? Y/N
「えっマジ? 判断も出来て更に治せるの? そんなナノマシンってSFじゃあるまいし、治せるならハイに決まって・・」
>> 治療実行中・・・処置完了。
>> 生体全正常。
>> 指示があるまで待機します。
いつの間にか実行許可を与えていたのか、左腕にチクリと極々小さな痛みがあったかと思うと先ほどまで我慢し続けた痛みが嘘のように消えていた。
「えっ?! ちょっ!? おまっ!? ちょっと待って! 確認!! 確認したい!! 内部確認!」
そうすると、先ほどまで背景色は黒と緑色の文字列しか無かったのが、外の映像が綺麗に映し出される。まるで何も着ていないかの様な錯覚に囚われる程、違和感が無い。
但し、視界の右上には小さく人型の全身が表示されており、全て緑色をしていた。
左上には円形でゲームで言うとこの地図表示。
機内の現在の形が表示されていた。
「マジ・・・ですか? ゲームですか? こんなの・・・えっ? 考えてたレベル超えてるんですけど!?
」
思考が停止するぐらい驚愕していた。
――明らかなオーバーテクノロジー
会社員として趣味として技術的な情報はアンテナを張って収集していたからこそ分かるこの破格な性能を。
哲哉は慌てて、強化外骨格の性能を調べる為、次々にマニュアルを閲覧し、確認していく。
そこには更に驚愕する文章が書かれていた。
>> 機能詳細は以下の通りです。
>> 治療ナノマシンによる身体機能向上および治療
一.着用者の脳細胞および心停止しない限り全身体復元可能
二.身体スキャン時、発覚した全ての病気、怪我の治療可能
三.着用者以外の外部対象にも同様の処理適用可能
四.治療を行った際に消費したエネルギーを取得する必要有
>> 外部装甲および強化外骨格全体の耐久性について
一.全耐性、防水、防火、防塵などあらゆる環境に対応可能
二.斬撃、殴打、銃撃それらに対する衝撃に吸収可能
三.装甲が破損した場合、ナノマシンによる自己再生可能
四.装甲再生行う場合、鉱物およびそれに準ずる材料を取得する事で実行可能
>> その他オプションについて
一.ナノマシンによる武器および建造物製造可能(ただし、それに準ずる材料必須)
二.製造に関して、それらの設計図が必要、現物からのスキャンでも可能
三.製造に関して、物質のみであり、生命体等を生み出すことは不可能
四.設計図は全てデータベースへ記録保存されいつでも閲覧および変更可能
>> セキュリティ項目に関して
一.製造した武器は基本強化外骨格着用者以外は使用不可
二.スーツの着用および起動、実行は管理者のみ可能
三.製造した武器および建造物はスーツとのリンク可能
四.スーツ自身のシステムアップデートは随時可能
「なんなんだ! この化物強化外骨格は!? オーバースペックにも程があるだろ!!」
現代技術では再現が難しいであろう事がマニュアルには次々と書かれており、哲哉は一時的に思考停止を余儀無くされた。






