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第七話 そして俺は試合に負けた

「来てくれましたか、少々不安でしたが戯言でしたね」


 ザックは剣を構えながら言ってきた。

 なんだか嫌味のように聞こえたような、気のせいかな。


「やる気は十分のようですね、まずは小手調べから行きますよっ」


 ザックが走って向かって来る。

 俺はすぐに槍を構える、なんだか体が勝手に動いているみたいだ。


「っ! 構えが同じ、やはり……」


 ザックの体が一瞬だけ緩むが、すぐにまた突っ込んでくる。

 そのまま上段からの振り下ろしが来た。


 ザックの剣と俺の槍が打ち合う。

 今の速度なら見切ることができる、俺は剣を押し上げそのまま横に振り払う。

 ザックは後ろで飛んで距離をとった。


「まだまだ動きが遅いですが、視力と反射神経は変わりませんね。では少し速度を上げますよっ!」


 ザックが先程よりも素早く、今度は左右に動きながら攻めてきた。

 俺は足を少し広げ守る構えを取る。


 やはり馴染む……、もう少しやれそうな気持ちが沸いてくる。

 ザックの剣が真横から迫る、俺は距離を保ちながら槍先で振り払う。


 ――――甲高い音が鳴る


 何度かザックが攻めようとするところを槍で牽制しながら何度か打ち合う。

 ザックがより深く踏み込んできた、そのまま剣を振り抜いてくる。

 俺は剣を強く仰け反らせるよう強く振り払う。

 ザックの剣が斜め上へ剃れた為、少し前へ出て蹴りを入れる。

 

「読めていますよっ!」


 ザックが振り払われた反動を軸に体を回し、剣の柄で蹴りを防ぐ。

 俺は後ろへ下がろうとするが、ザックが距離を保ちながら前へ出てくる。


「逃がしません!」


 ザックが剣を横になぎ払う。

 俺はしゃがみそれを避け、ザックの足元に足払いを仕掛けた。

 ザックはそれを飛んで避け、そのまま上段から剣を振り下ろしてきた。

 俺は後ろへ大きく飛んで距離を取り、そのまま直ぐに槍を構える。


「ふぅ、やはり動けていますね。どうですか?」


 ザックが剣を構えながら聞いてきた。

 俺はとりあえず大丈夫だ、もう少し速くても行けると伝える。


「……さすがですね、今の数回の競り合いでも中々十分な速度なんですが」


 ザックが言うのはこの速度でもう一般の兵士を凌駕しているらしい。

 少し驚きながらも、とにかく問題ないと伝える。


「わかりました。それでは次からは魔法を取り入れて責めさせていただきます!」


 ザックは何かしら呟き出すと、体から赤い靄が吹き出してきた。

 ―――うん、そんなものもあるのか。さすがにびっくりした。


「これは常に魔力を使いますので長期決戦向けではありませんが」


 赤い靄を纏いながら力強い構えを取っている。

 ザックが構えながら説明する。


「元々は隊長、副隊長の固有魔法です。俺はそれを真似て使っていますので」


 俺も使えるらしい。しかし未だ魔力そのものを感じだ覚えがない。

 俺は体の奥底に何かしらあるのか探ってみるが、全然わからない。


「では、行きますよっ!」


 再度ザックが攻めてくる。

 先程と違い、何度も懐に入られてしまう。

 体術でなんとか自衛出来てはいるが、これは時間の問題か。


「早く思い出さなければ副隊長の負けですよ!」


 これはまずいな。

 しかしどうする……、だめだ、何も思い浮かばない。

 考えながら行動したせいか、多きな隙を産んでしまった。


「ふぅ、今回は俺の勝ち。で、よろしいですか?」


 俺は頷いた、完全に負けてしまったようだ。

 だがザックは眉間にシワを寄せている。


「正直今の副隊長から一本取った所で、全く嬉しくないので」


 頬をかきながらザックが言った。

 申し訳ないと俺は誤ると、手を振って断られた。


「どうでしょう。少しは何か思い出せましたか?」


 俺は首を振った。

 ただなんとなく、状況によってどう動くのかとかがわかるようになったとは思う。

 ザックは嬉しそうに頷いていた。


読んでいただき有難うございます

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