第四話 そして俺はメイドにあった
1/16修正
今回は特に会話が多いですね
部屋から出た俺はアイリの案内のもと、中庭へ向かっていった。
しかし俺は中庭に向かう途中、後ろから声を掛けられた。
「ユーリ様? ユーリ様っ!」
――――っ!?
いきなり後ろから体当たりを食らった、勢いで前へ倒れてしまう。
俺は前へ倒れたあと後ろに振り向こうとする。
「なっ、何をしてるのですか! ユーリ様、大丈夫ですか?」
――――が、先に俺はアイリが出してくれた手を掴んで立ち上がる。
一体何が起こったというのだ、腰が痛い……。
「ごごごめんなさいっ、ユーリしゃま!」
後ろから声が聞こえた、ぶつかった本人だろう。
後ろへ振り返ると――――っ、猫耳メイド服の女の子が半泣きで立っていた。
可愛いと思ってしまったのは罪ではないだろう。
「まったくっ、申し訳ありませんユーリ様。後程私がきつく叱っておきますので」
後ろの女の子を気にしながらも、俺は気にしないでいいと言う。
そもそもこの子は一体誰なんだろうか。まだ背中に抱きついたままだし、俺的には嬉しい展開だが。
「えっ?」
俺の顔を見て何かを察したのか、凄く悲しませてしまった……。
なんだか同じことを繰り返しているような。俺も馬鹿なことをしたものだ。
アイリが説明しようとしたのを制して、俺自信で事情を説明した。
「――――そんなぁ。ユーリ様、本当に何も覚えていないんですか?」
俺は頷いた。するとアイリが横から説明をする。
「この子はエレンと言いまして、キャットウーマンという種族の子です。見た目通り猫耳に猫の尻尾が付いていますので直ぐにわかりますね」
ほほぅ、今は耳が完全に寝てしまっているが、その時の感情でも表しているのかな。
ナデナデしたくなってしまう。自重しよう。
「あうぅ、恥ずかしいです」
何故か顔を赤くしてしまった、どうしたんだろうか。
俺が不思議に思っているとアイリが少し頬を膨らませていた。
「恐らくじっと顔を見ていたからだと思われますが……」
アイリにジト目で見られてしまった。
ごほん、俺は話を変えるべくエレンに質問してみた。何故飛びついたのかと。
「だって、ユーリ様が重症を負って治癒室に入ってからもう一ヶ月ですよ?全然音沙汰も無いですし、本当に心配で心配で」
涙ぐみながら俺に言う。
またも罪悪感に囚われてしまった、とにかく俺は謝罪した。心配かけてすまない。
「いえいえっ! ユーリ様が謝る事ではないのです!」
「そうですよユーリ様、そもそも悪いのは隣国の人達です。無理やり転移させた挙句自我を失くし、奴隷のように扱う……、なんと卑劣な」
二人は大分お怒りのようだ、俺は二人を宥めた。
「すみません、一番辛いのはユーリ様のはずですのに」
アイリが申し訳なさそうに言うが、そもそも身に覚えがないので辛い等感じはしない。
俺はもう心配ない、今は復帰したと挨拶回りをしようとしている最中とエレンに伝えた。
「そうだったんですね、ごめんなさい。邪魔をしてしまって」
俺は気にするなと言う。
今から中庭に向かう所だから、終わったらエレンの仕事場に行くしよう。
「本当ですか!他のメイドの先輩方も喜ぶと思います!」
「私もそうしてくれると助かります。私だけずるいと嫌味を言われたりしますので」
女性関係は怖いと思った、ごふんごふん。
「それではお邪魔してしまいすみませんでした。私は自分の持ち場に急いで戻ります!」
エレンはそう言うと早歩きで来た道を戻って行った。
「あの子はいつも姦しくて、申し訳ありません」
元気が良くてかわいらしいじゃないですか、俺は楽しかったですよ。
俺は思ったことを口にした。
「そう言っていただけると他の子も喜びます」
アイリはそう言うと、「こちらです」と中庭への案内に戻った。
読んでいただき有難うございます