第一話 そして俺は全てを無くした
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――――ここは一体。
俺は目を覚ますと、真っ白い部屋に居た。
――――俺は…いや、ダメだ。何も思い出せない。
一体ここは何処なのか、俺は誰なのか、何も……思い出せない。
少しでも何か思い出そうとしたとき、近くから音が聞こえた。
「よう、目を覚ましたようだな」
いつのまにか見覚えのない男が立っていた。
身に覚えの無い顔だ。
この人は何処から来たのだろう、どこにも出入り口などないと思うが。
「ふむ、記憶障害でも起こっているのか? 俺が誰か解らないという顔だな」
その通りだと言う。俺に何が起こったのか、何もわからない。
俺は男に質問しようとすると。
「んー、いや。ここで説明すると二度手間になるからな、落ち着いたら俺についてきてくれ」
男はそう言うと、突如現れた魔法陣らしき模様の上から消え去った。
着いてきてくれと言うが、一体どうすればいいんだ………。
とりあえず俺は男が立っていた場所に立ってみた、すると。
――――っ!?
足元が光ったと思うと、いきなり目の前がフラッシュしたかのような明るさと共に、白い空間から何処か見覚えのあるような洋館のロビーらしき場所に立っていた。
何が起こったのか分からず呆然としていると、後ろから声がかかった。
「よう、遅かったな」
先程の空間に居た男が後ろに立っていた。気配を感じなかった。
「本当に記憶がないんだな。いや、今は時間が惜しい。俺に着いて来てくれ」
男は話終わると階段を上っていった。
今は考えている状況ではないようだ、とにかく着いて行ってみるしかない。俺が走って男の後ろに着いて行く。
男は振り向きながら教えてくれた。
「お前の名前はユーリだ、いきなり声をかけられても自分の名前すら覚えてないんじゃ不便だしな」
男はそう言うともう話すことは無いと思わせるような顔をし、そのまま前へ進んでいく。
しばらく歩いて行くと、男は立ち止まった。
「俺の案内はここまでだ、ユーリはこの部屋に入ってくれ」
俺一人で入るのか、と聞いてみる。
「ここは決まった人物しか入ることができん、ユーリは数えられない程入ってたんだぜ?」
そんなことを言われても記憶にすらないというのに。困ったものだ。
仕方なく俺は大きい扉の部屋へ入っていく。すると後ろから声が掛かった。
「中に入ってるのは我が領主様だ、領主様にはお前の記憶が無い事は伝令してある」
いや、俺からしてみればそんな事を言われてもって感じなんだが……今更か。
俺が入ると同時に、何もせず後ろの扉が閉まっていく。
■
「早くこちらへいらっしゃい」
部屋の中は何処か資料室じみた内装だった。中の様子を伺っていうると、突如声が掛かった。
女性の声が聞こえる、俺は言われるがまま声が聞こえた方へ歩いていく。
本棚と本棚の隙間を抜けると、そこにはメイド服を着た女性とその横で資料机に向かっている黒いドレスを着た女性がいた。
「待っていたわよユーリ、先ほど記憶が無くなっていると聞いたけど本当なのかしら?」
俺は頷く、そしてここは何処なのかを聞いてみた。
「ユーリ様、質問は後ほど受け付けるので、今はアンナ様の質問に応えてください」
仕方ない、俺は質問を止めてアンナ様?の質問に答える態度を取ることにした。
「ごめんなさいね、私たちとしてもまさか貴方の記憶が無くなるとは思ってもいなかったの」
どうやら俺の記憶が無くなったのは事故か何かのようだ、一体何があったのか。
「少し長くなるし、その椅子に座わりなさい」
俺は頷くと、メイドさんが椅子を引いてくれたのでその椅子に座った。
読んでいただき有難うございました