第3話 いざダンジョンへ!
俺は登下校の際にいつも使用しているリュックサックのジッパーを開け、アクアリアスが入っている2リットル水筒を入れる。押し入れにある木刀を入れようとするが、長くて入りきらない。木刀の長さは一メートルぐらいだ。長さ的にどうあがいても完全には入りきらない。仕方無いので木刀の半分ぐらいはリュックからはみ出して運ぶことになるった。
さて、お次は着ていく格好だ、俺は昔からファッションというものに理解がなかった。だが今この瞬間に限り、服の材質や露出度など見ている点は違えど、少し女心が分かった気がした。
五分ぐらいして服を決めた。結果、俺の装備(?)は以下の通りになった。これからダンジョンに入るときはこの格好になってから入ろう。
ユニシロで買った長袖の肌着(黒色)
袖の部分にゴムがるパーカー(ねずみ色)
伸縮性のあるジーンズ(青色)
使い古されたランニングシューズ(黒色)
「よし!準備完了!」
俺は自分の両頬をパチンと叩くとリュックを背負い、勢いよく家から飛び出した。
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外に出るとあたりは真っ暗になっていた。自転車に跨り、ペダルを踏む。夜の冷たい風が実に心地いいが、少し寒い気がする。いや、ただ俺が緊張しているだけか。
しばらく自転車をこいでいると例の森が見えてきた。そういえばこの施設の名前を俺は知らない、今度調べてみるか。
森の中へ入る。とても暗く、自転車の前輪付近についている小さいライトだけがこの森の中で唯一光を放っていた。俺の恐怖心を煽ってくるが我慢だ。
小道を少し進んだところに土が大きく削れている場所を発見した。俺が今朝転んだ場所だ。俺は自転車を止めると自転車を降りて周りを見渡した。自転車のライトは前輪が回転することによって発電をし、光を放っている。自転車は今止めているので当然ライトの光は消えた。
「うわぁ、暗れぇ」
このあたりには人工物は一つもないといったが街灯も例外ではない。あたりは真っ暗になった。スマホを起動して懐中電灯モードに切り替える。するとスマホから強い光が放たれた。
「よし、これならいける!」
早速俺は岩場の近くに立った。やっぱりダンジョンからは目に見えない「何か」があふれ出ているのを感じる。するとふと自分の体にもその「何か」が少量であるが体に流れているのを感じ取れた。
「こいつはもしかして」
ダンジョン、モンスター、レベルアップときて、何やら体に流れるこの不思議な感覚のことを考えると。
「これが魔力ってやつか?」
俺の心が弾むのを感じた。早速この不思議な感覚、もとい魔力を操作する実験を開始した。
「うーん」
しばらく試してみるがうまくできない。右手にこう、グッと!違うな......。魔力のことに関しては家に帰ってから考えよう。
「ま!とりあえずダンジョンに入るか」
俺は小さな穴の中に入り、下へと続いている階段へ向かっていった。
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「ふむ」
階段を下りるとそこは今朝と何も変わっていなく、ただ一本の道が伸びていた。俺はリュックサックに刺さっている木刀を抜き、両手で構えた。
「よし!行くぞ!」
俺は一本道を歩きはじめた。しばらくすると黒い影が一つ見えてきた。
「スライムだ!」
俺は小声で叫んだ。さらに近づいてみる。
「MOGUMOGU......」
どうやらお食事中らしい。道の端のほうでコケの上にのっている。たぶん苔を溶かして食っているのだろう。
「...........」
気づかれないように慎重に近づく。木刀が届く範囲に入った瞬間、スライムが大きく痙攣をした。おそらくこちらに気が付いたのだろう。
「だが遅い!おりゃ!」
スライムに向かって木刀を振り下ろす。
べちゃ!
「PIKIIIIIIIIII!」
スライムは断末魔とともに地面に広がった。
「おっしゃ!」
俺はガッツポーズを決めた。
「よし、もっと奥へ行こう」
さらにダンジョンの奥へと向かう。するとまた影が一つ見えた。しかしその陰の正体は
「でか!ネズミ!?」
体長30センチ程度の巨大なネズミだった。
「.....行くぞ!」
一瞬ひるんだがここまで来たんだ、ぶっ倒してやる!
「おっら!」
俺は大きく踏み込んで木刀を左から右へと振った。
ブン!
「KYUUUU!」
空ぶった。ネズミの野郎俺が木刀を振った瞬間、後ろに跳んでいたのだ。
「くそ!」
ブン!ブン!
ネズミに向かってがむしゃらに木刀を振る。
カーーーン!
木刀が地面にあたってしまった。
「って!」
少し手がしびれる。
「KYUIIIII!」
俺が手が痺れしびれたのを知ってか知らずかネズミは俺へととびかかってくる!
「ぐっ!」
俺はとっさに左手で顔をかばった。ネズミは俺の顔めがけて跳躍した。偶然左手がネズミを退ける。ネズミは着地が失敗したのかこちらに腹を見せていいる。このチャンスは逃せない。
「ふっ!」
右手で持っている木刀を思い切りネズミの腹にたたきつけた。
「KYUWAAAAAAA」
ネズミは断末魔をあげて動かなくなった。勝敗は決したようだ。
「ふぅ。アブナイアブナイ」
手がしびれたときはどうなるかと思ったが、成り行きで何とかなった。だがもしも今持っている武器が木刀ではなく金属バットだったら手のしびれはこの程度じゃ済まなかっただろう.....。結果が変わっていたかもしれない。
俺は冷汗をかきながらリュックサックの横のジッパーを開ける。そう、このリュックは横にジッパーがついてものを取り出す際はとても便利だ。皆さんも買ってみてはいだがだろうか?それはさておき。リュックの中にある水筒を取り出してふたを開ける、きゅぽん!と音を立てて開いた。水筒の中のアクアリアスを勢いよく飲む。持ってきて大正解だったな水筒。
「ふぅ。進むか」
ネズミの死骸を通り過ぎて先へ進む。するとすぐに敵が現れた。
「PIKIKIIII」
なんとスライムが三匹もいる。
「少しやばいかもな」
どうするか、今までは1対1だったから余裕があったがいきなり1対3はまずい。だが所詮スライムだ。戦ってみよう。やばそうだったら逃げればいいだけだし。
「やってやるッ!」
俺は10メートルは離れていたスライムたちに向かって強く踏み込み、肉薄した。体がとても軽い、一瞬ともとれる刹那の瞬間で俺は3匹の中の1匹のスライムにキックを食らわせる!
「らぁ!」
グチャ! パァン!
「PIKIIIIIIIIIII!!!!!!!」
そのスライムは一瞬で壁にたたきつけられて水になった。のこりのスライムたちは動揺しているのかプルプルしている。
「せいっ!」
俺は素早く振り向きそのエネルギーを利用してもう一匹のスライムにめがけて木刀を横に払った。
「PUGYAAA!!!」
パァン!
スライムがはじけ飛んだ。残るはあと一匹。だがここで一応念のため距離をとる。
「PIKIIIII.....」
残りの1匹は同胞を殺されたのが悔しいのかこちらに唸り声をあげている。
「PIKIKIKIKIKI!」
俺がスライムの様子を見ていると、スライムのほうから襲い掛かってきた。スライムは跳躍し、俺の顔めがけて飛んでくる、が。俺は完全にその動きを見切った。
俺は木刀を両手に持ち、上から下へ。全力で木刀を振った。
パァン!
「PIKYAAA」
スライムは破裂し、俺は勝利した。
「よし!調子がでて来たぞ!どんどん行くぜ!」
俺はさらにダンジョンの奥へと歩いて行った。