円満夫婦に襲った悲劇 後編
登場人物
巍♂:四十代前半の男性、優しい性格で誰にでも好かれる体質
秋音♀:たかしと同じく四十代前半の女性、優しいが、厳しい性格があるので、頼られやすい
マネージャー♂or♀:巍の担当マネージャー。二十代後半
担当医師♂or♀
円満夫婦に襲った悲劇 後編
あの事件から約5年後。
今までリハビリを続けて来た成果もあり、今は漫画家やタレントなどの事件前にしていた仕事にも復帰出来た。あの事件は、発生当時から、かなりの期間ニュースなどで取り上げられた。その上、様々な専門家の解説も付いていた。俺は、当然だが、驚いた。まさか...ってね。しかし、当時の俺は、それしか考えられなかった。麻痺のリハビリに励んでいたからだ。おかげで、さっき言ったように事件前にしていた仕事にも復帰できたのだ。良かったと思う。もう、こんな事件は起こらないで欲しい。
しかし、この後、また、そのような事件が起きるとは誰も知る由はなかった。
2021年8月13日 某テレビ局第一スタジオ
その日、俺は復帰した事に対する特別番組に出演していた。
途中、マネージャーから呼び出された
マ「巍さん、大変です!あ...秋音さんが!」
巍「え!?秋音に何があったんだ!」
マ「今から5年前、あの事件の犯人と思われる人が秋音さんを...」
巍「な、何だってぇぇぇぇぇ!!」
マ「とりあえず、車の準備が出来たので行きましょう!」
巍「ああ!」
それから、俺とマネージャーは秋音の病院へと向かった
病院の個室で眠っている秋音がそこに居た。
医「あ、巍さん、来ましたね」
巍「秋音は!秋音は大丈夫なんですか!?」
医「一命を取り留めましたが、助かるかはまだ...」
巍「そ、そんな...」
医師によると...
医師が回診に行っている間、秋音が一人でナースステーションに居た。
医師が回診から帰ってくると、一人の男がナースステーションから出てきて、急いでナースステーションに入ると、床に横たわっている秋音を見つけたそうだ。
それから、医師は応急処置をしたが、意識は未だ戻らないまま現在に至る訳だそうだ。
秋音は頭を殴られていたそうだ。
そう、五年前の俺のように
それから俺は、秋音の傍で秋音の手を握り続けていた。
(助かってくれ!秋音!)
翌朝、俺は秋音の手を握り続けていた。しかし、その手の熱は急速に抜けていった
ピーーーーーーーーーーーーー
巍「あ、秋音?秋音?あきねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
俺の願いは虚しく、秋音は先立ってしまった...
それから、犯人はやはり五年前、俺を襲った奴だった。
今回は秋音がターゲットになっていたのが悪かった...
それから裁判が行われ、犯人は無期懲役の判決が下された。
当然の結果だろう。
しかし、秋音を失った俺の心には、ポッカリと穴が空いたような気がする。
裁判の夜。俺は秋音をまつっている仏壇の前に座った
巍(俺は、これからどうすればいいんだ?秋音、俺は、俺は、お前を守ることが...出来なかった...)
秋(そんなことないよ!巍!)
巍(あぁ、これは、幻聴か、幻聴が聞こえてきたんだ、秋音を失った事で、幻聴が聞こえてるんだ...)
秋(幻聴じゃないよ!巍!)
巍(幻聴以外の何物でもない。気にしないでおこう)
秋(...もう...巍ったら...まるで信じちゃいない)
巍(信じろ、だと?)
俺が後ろを振り返るとそこに居たのは...
巍「あ、秋音!?」
秋(やっと気付いてくれた...)
巍「どうして!」
秋(ごめんね、巍一人置いて先立っちゃって...)
巍「そんな事ないよ!」
秋(でもさっき弱音吐きまくりだったよね?)
巍「う...聞かなかった事にしてくれ...」
秋(聞いて欲しくて言ったんじゃなかったの?)
巍「それは...そうだけど...」
秋(さあさあ、多分巍とこうやって会えるのは最後だろうから沢山話そ)
それから俺と秋音は、昔話に花を咲かせた。
話していくにつれて、俺はいつの間にか涙が溢れていた。
そして、気が付くと眠りについていたようで、もう外は明るかった。
ふとテレビをつけると、秋音の特集がされていた。
よく話を聞いていると、あの犯人。元々小説家だったらしい。
構成や話の質が悪かったらしい。そこで俺の話を聞いて、羨ましくなったらしい。
しかも、今回は秋音が襲われて、死んでしまった事で、より大きく取り上げられていた。
また、ファンレターが沢山届いていた。今回は数百でも数千でもない、数万通も届いていた。
その内容は秋音を亡くした事への慰めやこれからの応援だった。
また、涙が溢れてしまった。
やっぱり俺らは愛されているんだなと実感した出来事だった。
━━━それから、俺はどんどん小説や漫画を描きまくって、どんどんテレビに出たりして、どんどん有名になって行った。
それから約40年後、80代で俺はこの世を去った。
それまでに届いたファンレターの数は約100万通だった。
俺はこの人生、とても充実していたと思う。
この人生を恵んでくれた神様に感謝しよう。
『円満夫婦に襲った悲劇』を読み上げて(読んで)いただきありがとうございます!
読み上げた感想はどうでしょうか?
是非感想をよろしくお願いします_〆(・ω・)




